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iPhoneのディスプレイサイズが変わると何が変わる? 歴代モデルで比較してみた
2019年9月15日 14:04
iPhoneにはさまざまなディスプレイサイズのモデルが存在する。「iPhone 11 Pro」と「iPhone 11 Pro Max」のように、ディスプレイサイズしか違わないというモデルも多い。ディスプレイサイズが違うと何が変わるのか、ここでは過去のモデルも含め、ディスプレイのスペックや実用上での違いについて比較解説する。
ディスプレイサイズだけ見ると2019年iPhoneは2018年iPhoneと変化なし
一昨年はiPhone X、昨年はiPhone XRとiPhone XS Maxと、ここ2年は新しいディスプレイサイズのiPhoneが登場していた。しかし2019年の3モデルは、2018年の3モデルを踏襲し、ディスプレイのサイズ・解像度ともに変わっていない。2019年モデルはまだ実機に触れて折らず、実際の表示がどうなるかわからない。しかし、この記事ではスペック上ほぼ同じである2018年モデルと、表示も同じと仮定させていただく。
細かいスペックを見ても、iPhone 11とiPhone XRはまったく同じだ。まったく同じパネル(複数社が供給している可能性はあるが)なら、修理部材を含めたサプライチェーン的にかなりの節約になり得る。実際はどうなるかわからないが、仮にそうであればメーカーにもユーザーにも利益がある取り組みと言える。
一方、iPhone 11 ProとiPhone XS、iPhone 11 Pro MaxとiPhone XS Maxは、それぞれディスプレイのサイズ解像度は同じだが、コントラストや最大輝度が向上している。もともと液晶とは桁違いのコントラスト比を持つ有機ELなので、もはや知覚範囲外というレベルだ。また、最大輝度が625nitsから800nitsに向上しているのは、明るい場所での視認性などに良い影響がありそうだ。
文字の大きさなどはディスプレイサイズが違ってもだいたい同じ
過去のiPhoneを含めたディスプレイサイズのバリエーションやそれぞれの表示の違いなどはどうだろうか。筆者がまとめたものは、ディスプレイの対角インチ数と解像度から計算しており、細かい誤差はある。ご了承いただきたい。
サイズ | 解像度 | ピクセル密度 | サイズ(縦×横) | 拡大表示 | |
iPhone XS Max/11 Pro Max | 6.5インチ | 2688×1242 | 458ppi | 約149×69mm | 5.8インチ相当 |
iPhone XR/11 | 6.1インチ | 1792×828 | 326ppi | 約140×65mm | 5.8インチ相当 |
iPhone X/XS/11 Pro | 5.8インチ | 2436×1125 | 458ppi | 約135×62mm | なし |
iPhone 6 Plusほか | 5.5インチ | 1920×1080 | 401ppi | 約122×68mm | 4.7インチ相当 |
iPhone 6/6s/7/8 | 4.7インチ | 1334×750 | 326ppi | 約104×59mm | 4インチ相当 |
iPhone 5/5s/5c/SE | 4インチ | 1136×640 | 326ppi | 約89×50mm | なし |
解像度の大きさは表示の鮮明さに影響するが、300ppiを超えているなら、よほど視力が良く、ディスプレイを注視しない限り、鮮明さの差はそうそうわからない。少なくとも最近、近いところが見えにくくなっている老眼の筆者には判別できないだろう。一方、ディスプレイサイズは、大きいほど映像などは見やすくなる。しかし一般的なアプリがどれだけ見やすいかは、文字などがどのくらいの大きさになってるか次第で、スペックの数値だけだと読み取りにくい。
そこで、文字の大きさや表示できる情報量を比較するために、それぞれのディスプレイサイズのスクリーンショットを実際のサイズに合わせて拡大縮小し、並べた画像を作ってみた。いずれも設定画面のスクリーンショットなので、どれだけの項目が表示されているかなどを見比べていただきたい。
iPhoneでは画面上に表示される文字などの各UIの大きさが、異なるモデルでもだいたい同じになるように調整されている。しかし、5.5/5.8/6.5インチモデルの方が文字などの各UI要素がごくわずかに大きく表示されている。
画面内に表示できる情報量は、おおむねインチ数どおりの順番に多くなるが、6.5インチは6.1インチをちょうど拡大したような形で、まったく同じ内容が表示される。UIサイズの差は6.5÷6.1=1.066、つまり約7%くらいと思われる。
つまり「動画を大きく表示したいから6.5インチを選ぶ」というのは正しいが(正確には16:9動画なら5.5インチも大きさは同じ)、「画面上にたくさんのテキストやメッセージを表示したいから6.5インチを選ぶ」はちょっと違う。正しくは「画面上にたくさんのテキストやメッセージを表示したいなら、6.5インチと6.1インチどちらでも同じ」だ。細かいかもしれないが、そうした視点でどの機種を買うか迷う場合は、心に留めておいても良いだろう。
上の画像のアカウント関連の項目を比較すると、1行に表示できる文字数も見えてくる。4.7/5.8インチはいずれも「〜iTunes StoreとApp S...」まで表示しているので、1行の文字数は同じ。同様に5.5/6.1/6.5インチも1行に表示できる文字数は同じと見られる。
1行も文字数が同じなので、5.8インチは4.7インチを、6.1/6.5インチは5.5インチを縦に2割増、つまり行数が2割増えたような形となっている(ただし実際のサイズは若干違う)。
縦長ディスプレイはいろいろなアプリが見やすくて便利
4.0/4.7/5.5インチのホームボタン搭載iPhoneの画面縦横比は16:9(1.78:1)、5.8/6.1/6.5インチのFace ID搭載iPhoneの画面縦横比は2.15:1となっている。
どちらが良いかは個人の好みにもよるが、概ね2.15:1の方が便利と考えてもらっても良いだろう。
2.15:1のディスプレイだと、縦に長いコンテンツを利用するときに、抜群の見やすさを発揮する。日常的に使うスマホのアプリやコンテンツ、操作メニューは、縦に長いものが多い。たとえばTwitterのタイムライン、LINEのメッセージ画面、Webページ、設定画面などなど、テキストベースのコンテンツは縦に連なっていくので、縦に長いことはかなり有利になる。
一方、16:9の動画や3:2の写真などのコンテンツを全画面表示したときは、2.15:1のディスプレイだと左右(ないしは上下)に黒枠が入り、ディスプレイをフル活用できない。しかしディスプレイの一部が使われないというだけで、小さく表示されたりコンテンツの一部が表示できなかったりするわけではない。地図を表示すると東西が狭く表示されるように感じるが、実際には南北が広く表示されているだけで、東西が狭いわけではない。
ゲームも最近のアプリはほぼほぼ2.15:1のディスプレイにも最適化し、ディスプレイをフル活用できるものが多い。とくに横置きスタイルでプレイするFPS/TPSは、2.15:1の方が有利だ。しかしFPS/TPS以外、ゲーマー的に言うとトップビュー・クォータービュー・サイドビューはともに、上下と左右で視界の広さに差があってプレイしにくいことがある。とはいえ、それを理由に2.15:1画面を避けるほどではないだろう。
「拡大」はiPhone 8 PlusかiPhone 11 Pro Maxがオススメ
画面全体の表示を拡大するモードは、一部のモデルのみが搭載している。5.5インチの拡大表示は4.7インチ相当の表示になり、4.7インチの拡大表示は4インチ相当の表示になる。このiPhoneの拡大表示モード、実在するワンサイズ小さなiPhoneの表示に切り替えるだけなので、多くのアプリでレイアウトを崩すことなく表示を大きくできる。最近スマホの文字が見にくいな、と感じている人には安心な機能だ。
拡大したあとの文字の大きさで言うと、iPhone XR/11の6.1インチだけ文字の大きさが若干小さい。iPhone 11 Pro/XS/Xの5.8インチとiPhone SEなどの4インチは拡大モード自体がない。iPhone 8も文字サイズは上位モデルと同じになるが、表示内容が4インチiPhone相当になるため、かなり画面が狭く感じられる。
ここまでご紹介した画面サイズとそこに表示される情報量などを踏まえると、読者のみなさんはどのモデルを選ばれるだろうか。筆者のオススメは、表示できる情報量と文字サイズのバランスを考えると、iPhone 8 Plusなどの5.5インチか、iPhone 11 Pro Max/XS Maxの6.5インチだ。6.5インチは縦長ディスプレイなので表示できる情報量も多く、利便性が高い。一方で本体価格がそれなりになる。そうした点も踏まえ、お好みの機種を選ぶ際の助けになれば幸いだ。