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電子決済サービス「MasterPass」、UCカードとDNPが協働

「オムニチャネルによる送客で付加価値を」

 MasterCardがグローバルで展開する電子決済サービス「MasterPass」の日本向けのサービスを、UCカードと大日本印刷が協働することに合意した。昨年2月のMWC(Mobile World Congress)で発表されたMasterPassは、すでにグローバルにおいてサービスを開始している。日本では2014年の年末に提供開始を予定している。

 MasterPassは実店舗やオンラインストアで、モバイル端末(スマートフォン、タブレット、パソコンなど)を使って決済するクラウド型の電子決済サービス。クレジットカード情報や住所を事前に登録すれば、セキュリティが確保されたクラウド上で管理され、支払いの際に登録したカードを選択して決済を行う。実店舗では、POSと連携したタブレット端末にQRコードを表示、ユーザーはスマートフォンのアプリからQRコードを読み取り、スマホの画面に表示された「決済」ボタンをタップすることで支払いが完了する。今後はNFCの対応を検討しており、かざすだけで決済が完了するおサイフケータイのような支払いができるようになるという。

 MasterCardだけではなく、他社のブランドのクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなど複数のカードを登録でき、カードを持ち歩かなくても利用できる点と、一度登録してしまえばオンラインでも実店舗でもシームレスに決済できる点がメリットとなる。

 昨年アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリスの4カ国でサービスインし、その後は提供国が増えている。またMasterPassが利用できるインターネット加盟店は世界4万以上になったという。今回ようやく日本でのサービスインに目処がついたということで、MasterCardとUCカードが、日本のメディア向けに説明会を実施した。

 UCカードは、MasterPassを利用した“独自のウォレット”をさまざまなパートナー企業に提案するという。MasterPassの技術と、チェックアウト・ウォレット・付加価値の3つの要素を組み合わせたプラットフォームとしてUCカードがOEM提供することになる。ここでの付加価値とは、大日本印刷が手がけるオムニチャネルサービスで、たとえば、店舗へチェックインした際にお得情報をプッシュ通知したり、クーポンを配布したり、店舗が顧客管理できるようなサービスを示す。

ユーシーカード事業開発部長兼モバイルサービス事業室長 中野征冶氏

 ユーシーカード事業開発部長兼モバイルサービス事業室長の中野征冶氏は「決済におけるユーザーの(カードなどの)媒体、(モバイル端末などの)デバイスに変化があるオムニチャネル時代の中で、(クレジットカード会社は)単なる決済サービスでは成長が見込めない。マーケットの変化を取り入れたいという思いから今回の協働を決めた」と述べた。サービス名は未定だが、UCカードを前面に出すのではなく、あくまでもMasterPassのプラットフォームを提供することで“加盟店の販売活動を総合的に支援するもの”という位置づけであることを説明。「会員組織を展開している加盟店さんに新たなプラットフォームを提供して、送客に結びつけることで差別化を図りたい」(中野氏)と語った。

 日本初の導入事例として美容サロン情報アプリ「サロン・ド・ワレット」にMasterPassの決済機能を追加して提供する。アプリ内で予約をし、来店時にも会員カードなどは不要、支払いも財布やクレジットカードを取り出すことなく、スマートフォンでQRコードを読み取り決済が完了となる。MasterPassのサービスインに合わせて提供される。

川崎 絵美