ソニー、Android搭載ウォークマンの第2弾「F800」シリーズ


 ソニーは、OSにAndroidを搭載したデジタルオーディオプレーヤー「ウォークマン」の新モデル「NW-F800」シリーズを10月20日に発売する。価格はオープン価格で、販売予想価格は64GBモデルが3万5000円前後、32GBモデルが2万5000円前後、16GBモデルが2万円前後。


ビビッドピンクブルー
ホワイトライトピンク
ブラック

 

「NW-F800」シリーズ

 「NW-F800」は、3.5インチ、800×480ドットのタッチパネルディスプレイとタッチセンサー式ボタンを装備し、CPUはNVIDIAのTegra 2(デュアルコア・1GHz駆動)、OSにAndroid 4.0を搭載する。多数の高音質技術を搭載し、ウォークマン最高クラスの高音質を実現したとしている

 2011年9月に発表された“Androidウォークマン”第1弾となる「Z1000」シリーズと比較すると、ディスプレイやボディが小型・軽量化され、手に持ちやすくなったほか、カラーバリエーションも5色に増えている。楽曲ファイルとして新たに、高音質なロスレス形式のFLAC(16bit/44.1kHz)が標準搭載のプレーヤーでサポートされた点も新しい。

 外部メモリには対応せず、バッテリーは着脱できない仕様とする一方、ボディは8.9mmと薄型になっている。外部端子の「WM-PORT」や、楽曲操作をすぐに行える「W.ボタン」などは引き続き搭載している。右側面にはボリュームボタンも用意され、Androidのマスターボリュームを操作できる。WM-PORTにラインアウトを備えた端子を接続すると、本体のボリュームボタンは無効化され操作できなくなる。


 

 標準搭載の音楽プレーヤーアプリ「W.ミュージック」では、ソニー独自の高音質技術がサポートされている。有線のイヤホン・ヘッドホンを接続した場合は、フルデジタル処理でノイズのレベル抑制や小音量でも解像度の高い音質を実現するデジタルアンプ「S-Master MX」が有効になる。

 また、周囲の騒音を約98%カットするというデジタルノイズキャンセリング機能を搭載。電車・バス、航空機、室内の3つのモードが用意されている。付属のイヤホンのほか、ノイズキャンセリング対応ウォークマンでの利用をサポートしたイヤホン・ヘッドホンで有効になる。Bluetoothヘッドホンなどでは、「ノイズキャンセリング機能(アナログ)」を利用できる。

 スピーカー開発で培われてきた高音質技術「クリアフェーズ」を付属のイヤホンにも適用。本体側のデジタル処理で付属イヤホンの音響特性が補正され、音場定位に優れ、臨場感のある音楽が楽しめるとする。スピーカーとのセットモデルのスピーカーもクリアフェーズに対応。別売りのヘッドホン「MDR-NWNC33」でもクリアフェーズが有効になるほか、年内のソフトウェア更新で「MDR-NWNC200」にも対応する。「クリアフェーズ」は、標準搭載のアプリ「W.ミュージック」「ビデオプレーヤー」で有効になる。

 「W.ミュージック」ではまた、「ライブラリ」「おまかせチャンネル」「カバーアートビュー」の3種類のモードを用意。「おまかせチャンネル」では本体に保存された楽曲を12音解析で「アップビート」「リラックス」など14種類に分類して表示する。「歌詞ピタ」に対応し、再生中の楽曲の歌詞をスクロール表示したり、歌詞から再生場所を指定したりできる。

 Android端末として、Google Playストアに対応。Gmailやマップ、YouTubeなど、Googleの標準的なAndroidアプリがプリインストールされている。ウォークマンに最適なアプリを紹介するWebサイトも展開される。「Music Unlimited」「mora」などのネットワークを利用した音楽サービスも利用できる。なお、「mora」は10月1日にリニューアルされ、パソコン・スマートフォン向けのサービスを統合。AAC-LC 320kbpsでの高音質な配信を開始し、DRMは廃止される予定。本体から直接楽曲を購入できるようになる。

 2012年内にはソフトウェア更新が予定されており、「nasne」で録画した番組を視聴できるDTCP-IPや、DLNA機器との連携機能が追加される。既存モデルの「Z1000」シリーズも、Android 4.0へのバージョンアップや、Fシリーズで搭載の新機能が年内に追加される見込み。

 Bluetooth 3.0に対応し、対応ヘッドセットやヘッドホンと接続できる。サポートされるプロファイルはA2DP、AVRCP、OPP、HID。通信機能はWi-Fiで、IEEE802.11b/g/nを利用できる。主に音楽再生を目的とした小型スピーカーを内蔵するほか、マイクも内蔵している。

 メモリー(RAM)は512MB。楽曲ファイルはMP3、ATRAC、ATRAC Advanced lossless、AAC、HE-AAC、WMA、Liner PCM、FLACをサポート。動画ファイルはMPEG4、AVC(H.264 Baseline)、WMVがサポートされる。GPS、加速度センサー、FMラジオ機能を搭載している。

 3.5mmのヘッドホンジャックは、ノイズキャンセリングに対応する関係から5極のプラグに対応するジャックとなっている。このため、市販されている4極プラグのイヤホンマイクを接続しても、マイク部分の動作はサポートされない。なお、本体前面の上部には、外からは見えない形でマイクが内蔵されており、アプリなどで利用できる。

 駆動時間は音楽再生時で約25時間、動画再生時で約5時間。大きさは約56.8×114.5×8.9mmで、重さは約100g。ボディカラーはビビッドピンク、ブルー、ホワイト、ライトピンク、ブラックの5色がラインナップされる。

 なお、「NW-F800」シリーズでは、充電ドックを兼ねた小型のスピーカーとセットになったモデルや、Bluetoothイヤホンとセットになったモデルもラインナップされるほか、ソニーストア限定の特別カラーや、ディズニーとのコラボモデルも用意される。ケース、液晶保護シートなどのアクセサリーも本体と同時に発売される。


 

イヤホンなどでは高音質を求める傾向、ウォークマンにもチャンス

 20日には都内で記者向けに発表会が開催された。ソニー 業務執行役員 シニアバイスプレジデント、ホームエンタテインメント&サウンド事業本部 副本部長の高木一郎氏は、ソニーのサウンド事業の強化方針を、「いい音を追求する」「地域のユーザーの声を活かす」「ソニーグループ全体への展開」などの項目で解説。音にこだわることは大前提とした上で、世界全体の戦略の上では地域に密着した調査や展開を行っている様子を紹介した。

 ソニーマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部の徳田耕一氏は、国内のデジタルミュージックプレーヤーの市場が、スマートフォンの普及などを受け縮小している状況を示す一方、スマートフォンの普及により、より良い音質を求めてイヤホンやヘッドホンの売上は伸びていると指摘。10代で特に支持されているというウォークマンシリーズにもチャンスはあるとした。

 徳田氏からは、「F800」シリーズを中心に特徴が紹介され、「最高のモバイル音楽体験をお届けしたいとして、進化を続けている。ご期待下さい」と自信が語られた。

 発表会ではこのほか、新しいテレビCMに出演する西野カナ、土屋太鳳が登場しトークショーも行った。

プレゼンテーション


ソニー 業務執行役員 シニアバイスプレジデント、ホームエンタテインメント&サウンド事業本部 副本部長の高木一郎氏 
ソニーマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部の徳田耕一氏 
西野カナがトークショーで登場同じCMに出演した土屋太鳳(左)も登場した

 




(太田 亮三)

2012/9/20 18:42