総務省、今年度“重大な事故”5件のKDDIに指導


 総務省は、KDDIに対し通信障害の再発防止策や対策を早急に実施して、その結果を報告するよう指導した。2011年度に、auの携帯電話サービスにおいて、法律上“重大な事故”とされる通信障害が5件発生したことを踏まえた措置となる。

 電気通信事業法では、サービスの停止あるいは品質が低下した事故で、3万人以上のユーザーに影響し、なおかつ、2時間以上続いた通信障害を「重大な事故」と定義している。総務省では、2011年4月30日、同年11月2日、2012年1月25日、同年2月9日、同年2月11日にauの携帯電話サービスで重大な事故が発生したと指摘。このうち、昨年4月30日と今年2月9日の事故はスマートフォンユーザーが急増する中で、スマートフォンユーザーのデータ通信が利用しづらくなったとしている。

 KDDIのこれまでの通信障害に関する発表と、今回の総務省の指摘を見ると、昨年4月30日の通信障害は報道発表されておらず、今年2月9日の通信障害は障害発生時間に違いがある。これはKDDI側が考えていた“サービスが利用できない、あるいは利用しづらかった時間”に対し、報告を受けた総務省がより広い範囲を障害としたためという。

 これまでのKDDIからの報告を受けて、機器故障などがきっかけで事故が発生しており、「システムの信頼性向上対策など、設備管理のために必要かつ適切な措置が十分に講じられていなかったことにより、発生したものと考えられる」として、今後の適切な対応を求め、3月30日までに報告するよう指導した。

 指導内容としては、ユーザーや通信量の増加に対応する設備の配備、機器故障などの発生に対応する適切な予備設備と監視体制、過負荷試験などによる輻輳(輻輳、急激な通信量増加で通信が滞る状態)防止、ユーザーへの適切な対応となっている。

 これに対しKDDIでは、社長をトップとする調査委員会を2月14日に発足したことを明らかにしている。これまでに発生した事故は、原因や現象がそれぞれ異なっており、関連性はないと見られているものの、設備の再点検、開発や設計、運用手順などの見直しを行う。その結果については、あらためて公表するとしている。

 なお総務省では、NTTドコモに対しても1月26日に指導を行っている。




(関口 聖)

2012/2/15 15:19