au版「iPhone 4S」の海外ローミングに注意、高額請求の可能性も


 アップル製スマートフォン「iPhone 4S」のau版を海外で利用する際にはローミングに注意を払う必要がある。

 au版の「iPhone 4S」は、海外でデータ通信を利用する際もパケット通信料が段階制で定額となる「海外ダブル定額」に対応している。このサービスでは、CDMAやGSM、UMTS(W-CDMA)の各通信事業者のうち、特定の携帯電話会社に接続した場合に限って、4万円までのパケット通信が1日最大1980円、4万円を超える分は1日最大2980円となる。

 海外でも安心してパケット通信が使えることを売りにしたサービスだが、「iPhone 4S」で利用する場合は細心の注意が必要だ。まず、au版の「iPhone 4S」は、海外で接続する携帯電話会社を手動で選ぶことはできず、設定画面に「キャリア」という項目がない。事業者は自動的に接続されることになる。CDMAでローミングした場合、ステータス画面にはローミングとだけ表示されるが、GSMとW-CDMAについては接続した事業者名が表示される。

 このとき、自動接続した事業者が「海外ダブル定額」の指定事業者でなかった場合、パケット通信料は従量課金となる。一般に、海外ローミングでパケット通信を行うと通信料が高額になる場合が多い。現状では手動で事業者が接続できず、接続先を切り替えられないので注意されたい。海外でのパケット通信は、設定画面の「データローミング」をオフにすると使わないことはできるため、不便を感じるものの無料のWi-Fi環境のみで通信するといった使い方も可能だ。

 これまで国内のiPhoneシリーズは、ソフトバンクのみで製品展開されており、「iPhone 4S」がauにとって初のiPhoneとなった。この影響か、iPhone向けの対応が後手にまわっている印象があるのは否めない。海外ダブル定額についてKDDIでは、ローミング時の接続先を選べるようアップルに改善を求めているという。

 このほか、KDDIでは、「iPhone 4S」の通信規制について、Androidスマートフォンと同等の仕様であることを明らかにした。いわゆるヘビーユーザー規制というもので、直近3日間に300万パケット以上を利用した場合に、通信速度が制限される場合があるというものだ。

 一部でau版の「iPhone 4S」は、このヘビーユーザー規制の対象外であると噂されているが、KDDIによると、先週よりAndroidスマートフォンと同様の設定が適用されているという。結果的に発売よりも対応が遅れたことになるが、iPhoneの発売決定が他のスマートフォンよりも急に決まったためだとしている。

 なお、仮に300万パケット以上を使った場合でも、必ず規制されるというものではない。ヘビーユーザー規制は、より多くのユーザーが快適に利用できるように各社が導入しているもので、全体の通信環境に応じて規制がかかるかどうか判断される。このため、300万を超えても通常通り使える場合もある。

 




(津田 啓夢)

2011/10/27 17:38