RIMが語る「BlackBerry Bold 9900」がもたらす魅力とは


BlackBerry Bold 9900

 リサーチ・イン・モーションは、NTTドコモの新機種として「BlackBerry Bold 9900」が発売されることを受けて、報道関係者向け説明会を開催した。リージョナル・マネージング・ディレクター(副社長相当)東アジア担当のグレゴリー・ウェイド(Gregory Wade)氏がプレゼンテーションを行った。


BlackBerry Bold 9900

 現行の最新OSであるBlackBerry 7を搭載した国内初の機種となる「BlackBerry Bold 9900」は、一見すると、これまでのBlackBerry Boldシリーズと同等だが、さまざまな機能拡充が図られ、操作感が大幅に改善されている。

 ウェイド氏は、「BlackBerry Bold 9900」の大きな特徴として、「エレガンスな外観、長いメールも難なく使えるキーボードに加えて静電方式のタッチパネル、描画エンジン『Liquid Graphics(リキッドグラフィックス)』による映像などの鮮やかな表示」を挙げる。

 それらの機能により、従来の機種からはより使い勝手の改善が図られているほか、QWERTY配列のハードキーとタッチパネルという組み合わせは、他のスマートフォンでは味わえないメリット、とする。さらに先進的な機能として、近距離無線通信規格の「NFC」(Near Field Communication)がサポートされたこと、AR(拡張現実)アプリ「Wikitude」がBlackBerry向けに提供されていることなども紹介された。

 ベーシックな機能でも、Webブラウジングは、これまでのBlackBerry 6より40%、ページの読み込みが高速になり、JavaScriptもスピーディに処理されるようになり、同氏は「ユーザーのWeb体験は著しく向上する」とアピールした。

9780(左)と9900(右)充電台に載せたところ
QWERTYキーを装備ブラウザはWebKitベース

ローカライズ重視へ、開発者サポートにも注力

ウェイド氏

 RIMの一員として10年間を過ごしてきたというウェイド氏は、「BlackBerryには7000万人のユーザーがおり、それぞれが異なる使い方をしている」と、幅広い層に利用されていることをアピール。同社が支持される背景には、「ユーザーコミュニティ」「選択(端末の多様なラインナップ)」「体験(BlackBerryサービス全体)」があるとする。

 一方で、こうした状況は、必ずしも日本市場で当てはまるわけではない。質疑応答で、同氏は英国ではスマートフォン市場の首位を維持し、インドネシアでも同じくトップになるなど、先進国・新興国のそれぞれで成功した経験があり、そうした成功を日本市場でも、と意気込む。会見後の個別インタビューに応じたウェイド氏は、「どのようなビジネスにも機会と課題がある。日本ではドコモとのパートナーシップ、そして日本法人での取り組みが重要になる。そして本国やアジアからのサポートが重要になる」とRIMとしての取り組みを強化するとした。

 同社では、日本のスマートフォンユーザーが2012年~2013年にかけて2倍に成長すると分析。その期間中、ユーザーの2人に1人がスマートフォンを持つようになる、と大きな成長の機会があるとする。日本市場の特徴としては、ユーザーが他国よりもテクノロジーに精通しており、プライベートでもビジネスでも、より良い製品を求める傾向があると説明した。国内では、ドコモ以外とキャリアとの関係について問われると「世界各国で600以上のキャリアと取引がある。いくつかの国で複数の取引、ということはあるが、日本ではドコモとの関係は重要で、非常に大事にしたい」とコメントした。

 個別インタビューにおいて、ウェイド氏は日本だけ、あるいはアジアだけのモデルを提供する予定は、現時点ではない、としつつも、RIMが重視する投資の方向として「個々の市場をより良く理解すること」を挙げた。その重視する市場に日本も含むとして、今後の展開に含みを持たせた。

 iPhoneやAndroidとの競争の中で、BlackBerryでは、ネットワークを含めたトータルソリューションが大きな違いになり、プッシュメール配信などを簡単に利用できる。しかし、BlackBerry以外のスマートフォンでは多くの通信を行うことで使い勝手の向上を図る部分がある。ウェイド氏は、「国際ローミング中でも普段通り使えることは、BlackBerryの良さが最もよくわかるのではないか」と述べ、環境の変化に左右されない点をアピールした。このほか同氏は、開発者向けのサポートにも注力する姿勢を示す。前日に発表されたBBXにはほとんど触れられず、質疑でも開発者にとって、より収益をあげやすい次世代プラットフォーム、という紹介に留まった。12月初旬にバンコクで開発者向けイベントを開催するとのことで、BBXでAndroidアプリをサポートしたのも、開発者の参入を促進する取り組みと位置付けた。




(関口 聖)

2011/10/20 20:59