HTCが「HTC Desire」の後継機を発表、日本での展開も示唆


ロンドンで開催されたグローバル向けの発表会

 HTCは、ロンドンでグローバルモデルとなる「HTC Desire HD」と「HTC Desire Z」を発表した。

グローバルでのブランド認知が向上していると語るCEOのピーター・チョウ氏「Windows Phone7」も近々発表される予定となっている

「HTC Desire HD」と「HTC Desire Z」

 「HTC Desire HD」は、4.3インチのWVGAディスプレイを備えた、フルタッチのスマートフォン。OSにはAndroid 2.2を採用し、720pでの動画撮影や、DLNAなどに対応する。日本でソフトバンクから発売された「HTC Desire」の後継機にあたる。CPUのクロック数は1GHz。内蔵メモリは1.5GBで、microSDカードスロットも搭載。Wi-Fiは、IEEE802.11b/g/nに対応する。カメラは8メガピクセル。3.5mmのステレオジャックを備え、「ドルビー・モバイル」にも対応した。「Wi-Fi Hotspot」というテザリング機能も利用可能となる。サイズは123×68×11.8mm。重量は164gとなる。

4.3インチのフルタッチディスプレイを備えた「HTC Desire HD」「HTC Desire HD」の側面
背面には金属素材を用いており、質感は非常に高いDLNA機能を備え、サーバー、クライアントとして使える
端末をモバイルルーター代わりに使える「Wi-Fi Hotspot」カメラのユーザーインターフェイス。画像加工機能なども備える

 会見でHTCのCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)ホラス・ルック氏が、金属素材の時計を例に出したように、「HTC Desire HD」は端末のマテリアル(素材)にこだわっている、背面には金属素材を採用した。前面と背面は基本的に一体となっており、バッテリーやmicroSDスロットだけが取り外せる仕様だ。このカバーは、Wi-Fiや3Gのアンテナにもなる。

CIOのホラス・ルック氏背面はこのように取り外す。下のカバーが3G、右のカバーがWi-Fiのアンテナとなっており、手で覆いそうな場所を避けている

 「イノベーティブなハードウェアキーボードを採用した」(ホラス氏)というように、「HTC Desire Z」は、独自機構のQWERTYキーボードが特徴。この機構は「Zヒンジ」と呼ばれ、端末が分離するように開いたあとにスライドする。角度がつかず、キーボードとディスプレイの段差がほとんどなくなるため、文字を入力しながらでも画面にタッチしやすい。「HTC Desire HD」同様、本体の質感は非常に高く、キーの開閉にもやや重みがありカッチリとしている。

 OSにはAndroid 2.2を採用。内蔵メモリは1.5GBで、microSDスロットも搭載する。CPUは800MHz。3.7インチのWVGAディスプレイを採用している。カメラは5メガピクセルで、720pのHD動画撮影も可能だ。Wi-Fiは、IEEE802.11b/g/nで、「Wi-Fi Hotspot」というテザリング機能も用意する。サイズは119×60.4×14.16mm。重量は180gとなる。

QWERTYキーボードに特徴のある「HTC Desire Z」QWERTYキーボード開閉中の写真
キーの質感も高く、しっかりとしたクリック感がある横スタイルに適したメニューも用意

「HTC Sense」も進化

 これらの機種には、進化した「HTC Sense」が搭載されている。「HTC Sense」とは、HTCが考えるユーザーエクスペリエンスのこと。ウィジェットやユーザーインターフェイス(UI)も通常のAndroidと異なる。ただし、「HTC Sense」はUI単体を指しているのではない。CMO(チーフ・マネージメント・オフィサー)のジョン・ワン氏によると「ユーザーエクスペリエンスを全体的に向上させるもの」だという。例えば、「HTC Desire HD」は「わずか10秒で起動し、飛行機から降りた際にもすぐに使える」(ジョン氏)。こうした、高速化も「HTC Sense」の一環だと考えられている。

 Googleマップにも改善が施され、キャッシュを持つことで、拡大・縮小が従来の端末よりスムーズになった。複数アカウントを統合したメールの受信トレイや、ウィジェットなども、ここに含まれる。また、PCから自分のHTC端末を検索できるソリューションも加わった。遠隔操作でのデータ消去などにも対応している。

「HTC Sense」を語るCMOのジョン・ワン氏「HTC Desire HD」はわずか10秒で起動する
「HTC Sense.com」では、端末の場所を探したり、データをリモート消去することが可能

 ただし、新しくなった「HTC Sense」はハードウェアとも密接に連携しているため、「既存の端末への対応は未定」(HTC関係者)とのこと。まずは「HTC Desire HD」と「HTC Desire Z」の2機種で利用可能となる。

気になる日本での展開は?

報道陣の質問に答えるピーター・チョウ氏

 イベント終了後、HTCのCEO、ピーター・チョウ氏は、報道陣とのQ&Aセッションに出席した。その中で、ピーター氏は筆者の質問に答え、「日本でも今年中にリリースする予定だ」と述べている。2機種両方なのか、どちらか一方になるのかには言及されなかったが、少なくとも日本市場での展開も予定しているようだ。納入キャリアについてのコメントはなかったが、両機種ともW-CDMAであることを考えるとドコモ、ソフトバンク、イー・モバイルが候補になる。日本での詳細は、キャリアから追って発表されることになりそうだ。また、ピーター氏は日本市場に関して「非常にユニークなマーケットで、競争環境も厳しいが、キャリアとの良い関係を築けている」と述べている。

 このほか、ピーター氏は、NFC(国際規格の非接触IC)に関する質問に対し、「日本はドコモが率先してJRやクレジットカード会社と協力したことで、おサイフケータイが成功している。ただし、同じことをグローバルでやるのは非常に難しい」とコメントしている。

(石野 純也)

2010/9/16 10:50