ケイ・オプティコム、Wi-Fi/3Gの「eoモバイル」を本格提供


 ケイ・オプティコムは、公衆無線LAN(Wi-Fi)サービスと3Gデータ通信を組み合わせたサービス「eoモバイル」を2010年3月より本格提供する。

 「eoモバイル」は、関西電力グループのケイ・オプティコムが提供するモバイル通信サービスの名称。これまでもイー・モバイルのネットワークを借り受けて、MVNOとしてデータ通信サービスを提供してきたが、今回の発表により、関西一円で公衆無線LANスポットを増強するほか、3Gサービスでも新たに下り21Mbps対応のサービスを追加する。

 公衆無線LANサービスでは、IEEE802.11b/g(一部はIEEE802.11n対応)のアクセスポイントを駅やコンビニ、娯楽・商業施設、ガソリンスタンド、ファミリーレストラン、スーパーマーケットで展開する。2010年3月から設置しはじめ、当初は約2000カ所、2010年度末には約1万カ所に設置し、2011年度以降、最終的に約3万カ所設置する。当初の設置エリアは阪神間11市で、2010年度上期には41市町村と、徐々に同社の光ファイバー(FTTH)提供エリアで拡大していく考え。

公衆無線LANサービスの概要公衆無線LANサービスの事業計画3Gサービスの概要

 一方、3Gサービスについては現在イー・モバイルのネットワークを借り受けて、下り最大7.2Mbpsのデータ通信サービスが提供されている。2010年3月からは同じくイー・モバイルのネットワークを利用し、下り最大21Mbpsの通信サービスが提供される。サービスエリアはイー・モバイルのエリアに準じる形となるが、2009年12月末の時点で、下り最大21Mbpsのエリアは全国の人口カバー率が60%以上になる予定とのこと。なお、3Gサービスは、公衆無線LANサービスを補完する役割と位置付けられており、契約期間は2年間となる。

 現時点で明らかにされている料金プランは、固定網サービスの「eo光ネット」(戸建て向け月額4900円)とセットにしたもの。公衆無線LANサービスを利用する場合は月額315円の追加となり、下り最大7.2Mbpsの3Gサービスと公衆無線LANサービスを利用する場合は月額1000円~4680円(1パケット0.042円)、下り最大21Mbpsの3Gサービスと公衆無線LANサービスを利用する場合は月額1000円~5680円(1パケット0.042円)、固定網の利用料に加えて支払う形となる。

 同社ではサービス開始時に、優先度順に接続先を切り替えるパソコン用接続ソフトウェアや、公衆無線LANサービスおよび3Gサービスのみ利用する料金プランを用意する考え。料金プランについては、今回明らかにされた固定網とのセット料金とは異なる料金になる。また、将来的にはWiMAXやLTEなどもMVNOとして利用していく考えが示されたものの、具体的な時期については示されていない。

料金概要今後のスケジュール固定とモバイルとのシームレスな利用を目指す

 

ニーズを受けて提供

ケイ・オプティコム社長の藤野氏
ケイ・オプティコムの河田氏

 同社では29日、都内で報道関係者向け説明会を開催した。代表取締役社長の藤野 隆雄氏は「固定網サービスに続き、モバイルブロードバンドサービスを本格提供することにした。当社のFTTHサービス契約数は2008年度末(2009年3月)時点で84万件、現在では90万件に達し、今年度の目標である100万件に向かって伸びている。携帯ゲーム機やスマートフォンなど、無線LAN搭載のモバイル機器の普及や屋外での通信ニーズの伸びを受け、今回新たな分野としてモバイルブロードバンドサービスへ本格的に取り組むことになった。関西における通信サービスの革新に取り組み、新たなサービスを提供したい」と意欲を見せた。

 事業内容についてプレゼンテーションを行った同社サービス戦略グループ チームマネージャーの河田靖弘氏は、「通信市場の動向を見ると、WiMAXやLTEなどによるネットワークの高速化や多様化が進み、端末の進化で大画面でのWebブラウジングが可能になってきた。またクラウド化も進むなど、モバイルブロードバンドのニーズは拡大する傾向にある。携帯ゲーム機やスマートフォンは40代以下のユーザーが大半を占めており、これらの層は当社固定サービス顧客層の61%にあたる。モバイルブロードバンドを拡充することで、当社サービスの利便性向上に繋がる」と説明した。

 今回は主に個人向けサービスについて紹介されたが、将来的には、デジタルサイネージへの情報配信・掲載サービスや学校での監視カメラといった地域内セキュリティサービスなど、法人向けサービスについても検討していく。無線LANスポット設置に向けた投資額は非公開だが、屋外では関西電力の電柱などに展開していく。ただし具体的なエリア展開は、現在検討中とのこと。

 MVNOとして携帯電話の音声通話サービスは提供する計画はない。端末については、USB接続型の3Gデータ通信端末の提供が予定されているほか、将来的にはモバイルルーターなどの投入も検討していく。

市場環境の変化について法人向けサービスも検討光サービスとの組み合わせで利便性を向上させる

 



(関口 聖)

2009/9/29 16:56