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「発火事故の軽減に貢献したい」、ドコモがモバイルバッテリーに力を入れる理由
2026年7月23日 00:00
モバイルバッテリーの安全性が大きく注目されている。発火や焼損事故が相次ぐなか、NTTドコモがスマートフォンを使う日常を、より安心安全なものにすべく新たな製品を市場に投入した。
ドコモから準固体モバイルバッテリー発売
10日に発売されたのはモバイルバッテリー「準固体モバイルバッテリー01M」。容量は1万mAhで最大出力は45W、USB Type-AとType-Cポートをひとつずつ搭載する。価格は5500円。
最大の特徴は、製品名からわかる通り、バッテリーセルに「準固体リチウムイオン」を採用した点だ。通常、内部の電解質は液体だが、流動しにくいゲル状のものを採用した。これにより、液漏れや気化を抑えて、落下の衝撃などに強い構造を実現している。
さらに充放電サイクルはおよそ2000回と、一般的なリチウムイオンバッテリーと比較して2倍ほどに寿命が伸びており、0~40度ほどの気温でも動作を保証する。
市場には、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーやナトリウムイオンバッテリーなども存在する。ドコモでは、本体の大きさや販売価格なども考慮して、準固体リチウムイオンバッテリーを選んだ。国内ではまだ少ない「CCC」(中国強制製品認証)を取得したモバイルバッテリーで、中国の国内線の機内にも持ち込める。
容量のほか、釘を刺しても燃えないか、加熱しても発火しないかなどの要件をドコモが策定し、開発が進められた。ドコモのメンバーも製造を担う中国の工場を訪れ、実際のものを確認しながら製品化を進めるなど、品質にはこだわった。
安心・安全はドコモの社会的責任
今回の製品をリリースした背景には、相次ぐモバイルバッテリーの事故がある。直近では首都圏の鉄道車両内で乗客のモバイルバッテリーが発火し、列車が遅れる事態となった。東急電鉄では「モバイルバッテリーによる充電は控えて」との声明を公開した。
ドコモは2011年ごろからモバイルバッテリーを販売している。製品不良による発火などの事故はいまだ0件ではあるものの、多発する発火事故を受けて、物理的に発火しない安全なバッテリーを提供すべく、2025年に今回の新製品の企画がスタートした。
一方でモバイルバッテリーは、国内でもさまざまなメーカーが手がけている。ドコモの本業は通信だが、同社があえてモバイルバッテリーに力を入れる理由を、NTTドコモ プロダクトマーケティング本部 プロダクトクリエーション部の市川智隆氏は「ユーザーが常に持ち歩くモバイルバッテリーの安全性を高めることは非常に重要な課題であり、社会的責任。安全性の高い製品をドコモ自ら提供し、事故の軽減に貢献したいと強く思っている」と語る。
多くのメーカーの端末を取り扱う、ドコモならではの強みも商品開発に活かされている。一般的な周辺機器メーカーは、新たにモバイルバッテリーなどを開発する際、市場にある特定の機種のみでしか接続試験を実施できない。しかしドコモであれば、同社で取り扱うさまざまなメーカーの端末で試験ができ、発売前の最新機種でも安全性を確かめられる。
不要になった後もサポート、ドコモショップで回収
「捨て方」もまた、モバイルバッテリーを選ぶ基準になりえる。ドコモでは、過去に同社が発売したモバイルバッテリーの回収を全国のドコモショップなどで受け付けている。準固体モバイルバッテリー01Mもすでに回収可能な製品としてリストアップされている。
同社では、これまでも携帯電話やスマートフォン、タブレットを回収しており、年間でおおむね300万台前後の回収実績があるという。新たにモバイルバッテリーが回収対象に加わったのは、やはり事故の多発が大きいとNTTドコモ 経営企画部 サステナビリティ推進室の山口蓉氏は語る。回収できる製品はドコモ製品のみだが、これは環境省による公的な制度に基づいて実施している取り組みで、回収できる製品が自社製品に限られているためだ。
ユーザーが使用中に発火することもあるが、燃えるゴミなどに捨てられた結果、中間処理施設で火災が発生するというケースも少なくない。家庭以外での事故についても課題意識があり、モバイルバッテリーも回収対象として加わることになったという。今後発売される新型のバッテリーも随時、回収の対象になる。
販路拡大へ、バッテリーも新製品を継続投入
現在、ドコモのアクセサリー販売の売上は大半をケース、フィルム、充電器が占めている。市場全体で年間数百万台規模となるモバイルバッテリーは、伸びしろがあると市川氏。今回の新製品で得た知見をベースに、さらに事業規模を拡大していきたいと展望を示す。
これまでドコモショップが中心だった販路も徐々に拡大している。メインとしてはドコモショップを訪れる40~50代以上であることに変わりはないものの、2024年ごろからAmazon.co.jpへの出品も始めており、売れ行きも伸びつつあるという。量販店での販売も検討しており、販路をドコモショップ以外の外部にも拡げることで、ドコモ以外のユーザーにもアプローチする。
製品展開としては今後、さらに大容量のモデル展開なども視野に入れる。災害への備えや制限が厳しい航空機へ持ち込むユーザーを念頭に置いた考えで、市場の動向を見ながら来夏までには新製品を投入したいという。







