ニュース
カシオが考える理想のスマートウォッチ像
(2015/6/4 20:47)
6月10日の「時の記念日」から東京都世田谷区の樫尾俊雄発明記念館で期間限定で実施されるカシオ計算機製多機能時計の一般公開に先立ち、同社が報道関係者向けに展示物を披露した。あわせて同社取締役 専務執行役員 時計事業部長の増田裕一氏から、これまでの歩みと今後の展望についての説明があった。
多機能デジタルから高機能アナログにシフト
増田氏は、Apple Watchをはじめとするスマートウォッチの登場により、腕時計の存在が注目を集める状況となっているが、同社は数十年前からこうした分野での製品開発に取り組んできたことを、過去の商品ラインナップを振り返りながら解説。
同氏が「今から考えれば技術や手段は稚拙かもしれないが、実は80年代、90年代の我々の商品にはそのコンセプトが先行して入っていた」と言うように、スケジュール管理、GPS、歩数計、脈拍計、音楽プレーヤー、カメラ、ゲームなど、現代のスマートウォッチがウリにしているような機能のほとんどは、カシオにより実現されていた。
増田氏によれば、カシオが多機能デジタル時計の経験から、面白い機能が必ずしも日常生活において必要な機能とは限らないことや、多機能化を進めるあまりに操作が複雑になり、使いづらくなってしまうこと、機能がデザインに悪影響を与える場合があることを学んだという。
こうした経験から、カシオは2004年に時計事業の軸足を多機能デジタルから高機能アナログに移すことを決断。これがスマートフォンとBluetoothで連携する「G-SHOCK GB-6900」や「EDIFICE EQB-500」といった近年の商品群の開発に繋がっている。
「汎用の電子部品や半導体がものすごい勢いでばら撒かれる状況で、誰もがスマートウォッチを作れる時代に、他社と同じことをやっていてもダメ」と語る増田氏。同氏は、あくまでスマートフォンが主役となるApple WatchやAndroid Wearのようなアプローチではなく、腕時計としての使い勝手を最優先に考え、時計の機能を高めるためにスマートフォンを使うというのがカシオとしてのアプローチだと説明する。
とはいえ、「時計の常識が邪魔する場合もある」(増田氏)ため、同社では、時計事業とは別に、新社長(樫尾和宏氏)直下の新規事業プロジェクトとしてリストデバイスの開発にも取り組んでいる。開発中の製品は、2016年のCESで披露される見込みだ。