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まるで“スカウター”、アイウェアデバイス「Telepathy Jumper」

一般販売は来夏、まずはビジネス向けに

 テレパシージャパンは、ウェアラブルデバイス「Telepathy Jumper」の詳細を発表した。工場や物流、宿泊施設などビジネス向けには2015年3月、一般コンシューマー向けには2015年夏に販売される。価格は未定。まずは開発者向け製品の受付が開始された。

 「Telepathy Jumper」は、普段、首にかけておき、必要なとき、片方の目の前にディスプレイユニットを持ってくる形。常に目の前にディスプレイを置く場合はアタッチメントを使う。ディスプレイユニットには小型ディスプレイ(960×540ドット)、500万画素カメラ、マイク、加速度・傾き・地磁気など各種センサーを搭載。そしてバッテリーやBluetoothリモコンを搭載するパワーユニットと、フレキシブルフィッティングケーブルで繋がる。カメラは撮影のためではなく、ユーザー同士で、視線を交換してコミュニケーションするためのものと位置付けられている。コンセプトして、テレパシージャパンでは、「体験を分かち合う」製品と説明する。

 メインCPUはARMデュアルコアで1.2GHz駆動、8GBのストレージが用意される。Wi-FiやBluetooth 4.0+EDRをサポート。重さは30g。OSはAndroid 4.2で、一般的なAndroidアプリも利用できる。ただし、方向キーなどを備えたBluetoothリモコンで操作するため、専用のホームアプリが用意される。18日の発表会において、取材陣はディスプレイをのぞき込み、再生される映像を楽しめるようになっており、外がよく晴れて明るくともディスプレイは見やすいことを確認できた。一方で、操作することはできなかったが、1月に米国で開催される「International CES 2015」では、体験できる形で展示されるという。

 コンシューマー向けアプリとして、Telepathy Jumperのユーザー同士で、見ているもの(視線)を交換できる「Eye Connect」、ユーザー同士で空き時間にスキルや知識を伝えられる「Talent Buzz」が用意される。ただし今回はコンセプトの紹介に留まり、その具体的な利用スタイルは明らかにされていない。

法人での活用

 一方、コンシューマー向けの提供に先駆け、来春、ビジネス向けに提供される。今回の発表会では、いくつかの企業がTelepathy Jumperの活用方法を紹介する。

 たとえば日立ソリューションズでは、法人向けソリューションで、本社にいる熟練のスタッフが、現場にいる若手スタッフにリモートで手ほどきする、という状況でTelepathy Jumperが選択肢の1つになると説明。タブレットやスマートフォンと比べて、フリーハンドで、電子化された資料を見つつ、リモートで他のスタッフをコミュニケーションして作業する、といったことが可能になる。

 飲食店向けソリューションを提供するジェネックスソリューションズでも、店舗スタッフの習熟度向上の方法として、Telepathy Jumperが活用できるかどうか、検討していくのだという。

「常に目の前にある必要はない」

 メガネ型スマートデバイスの開発を掲げられて設立された同社だが、この2年間は長かったと、代表の鈴木健一氏は率直にコメント。

鈴木氏
 「もう製品を出せないのではないか、と思うことは何度もあった。20年以上ノートパソコンの開発に携わったが、2年もプロジェクトが続くのは珍しい。当初はメガネ型だったが、現在の技術で当初のコンセプトを実現しようとすると、大型化してしまう。この2年、多くのことを学んだ。その1つが“常にディスプレイは目の前にある必要はない”ということだった」

当初のコンセプト(左)を形にしようとすると、大型化(右)してしまう

 創業者の井口尊仁氏は、現在、フェローという肩書きで、米国に滞在。なにかしら有益な情報があればテレパシージャパンにアドバイスを送る、とのことで、開発からは離れている。そうした中で、現実的な解であり、なおかつ、新たな体験を実現し、ビジネスの上でもメリットをもたらせる形状として、ディスプレイユニットとパワーユニットをケーブルで繋ぐことになった。

 メガネを使っている人の場合は、のぞき込む部分とメガネのレンズをギリギリまで近づけて利用する形。グラス型デバイスと比べれば、メガネの上から利用できることも、今回の製品のメリットの1つだという。普段は首からぶらさげておき、使うときにだけディスプレイユニットを目に当てる、という格好で、常に画面を見る必要がある場合は、専用アタッチメントを使う。このアタッチメントの3Dデータは公開され、誰でも自分の頭にあわせて3Dプリンタで生成できる。製造にあたっては日立がパートナーになったという。

 ビジネスでの活用に関し、プレゼンテーション資料の一部で、東京ディズニーランドとおぼしき写真が用いられたたことから、オリエンタルランドで導入されるのか、という問いに鈴木氏は、言葉に詰まり、コメントを避けるも、否定はしなかった。

関口 聖