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“PayPayでお賽銭”が正式対応、増上寺や東別院など年内に全国7つの神社・寺院で
2024年12月23日 13:21
PayPayは23日、全国の神社や寺院などでのお賽銭で、同社のキャッシュレス決済サービス「PayPay」が利用できるようになると発表した。東別院(愛知県名古屋市)と浄土宗大本山増上寺(東京都港区)にはすでに導入されており、年内までに合計7箇所で導入される。
PayPayでの本人確認(eKYC)が完了しているユーザーが対象で、「PayPayマネー」残高からのみ利用できる。
今回は、23日から導入された増上寺を取材し、実際の様子や寺院側の狙いなどを聞いた。
集金のスキームを活用
一般的に神社や寺院でのお賽銭は寄付行為となる。今回のPayPayによるお賽銭では、寺院側がビジネスアカウントを開設し、参拝者はそこに送金するようなイメージでお賽銭を納めるかたちになる。決済のかたちではないため、PayPayジャンボなど決済にかかわるキャンペーンやPayPayポイントの付与、PayPayステップは対象外。
とはいえ、お賽銭を納めるまでの流れは、通常のQR決済に近い。参拝者は、寺院に設置されているQRコードをアプリで読み込み、任意の金額を入力し「お気持ちを送る」ボタンをタップすると完了する。
お賽銭は、PayPayマネー残高からのみ納められる。PayPayマネーへは、本人確認後、銀行口座やセブン銀行/ローソン銀行ATMなどからチャージできる。
キャッシュレスが徐々に浸透
増上寺 参拝部部長の武智公英氏は、参拝者のなかでも、小銭を持っていないユーザーが徐々に増えてきており、特に海外からの参拝者では現金ではなくクレジットカードの利用を希望するユーザーが多いと語る。
増上寺では、お守りなどの物販においてすでにクレジットカード決済などに対応している。こちらは、課税対象の取引となるが、お賽銭は非課税となる行為であるためこれまでキャッシュレス決済には対応できていなかった。今回の取り組みで武智氏は「お賽銭をPayPayで納めても非課税扱いになることが認められた」とコメントする。
将来的には、海外の決済サービスを導入していきたいと話す武智氏。取材中も、海外からの参拝者がQRコードを読み込み決済を試みる姿も見られ、一定の障壁になっているように感じられた。
なお、増上寺ではお賽銭の計算について、「信用金庫が計算してくれている」(担当者)とし、小銭の入金に際して追加のコスト負担は発生していないという。とはいえ、担当者は「大手の銀行などは(コスト負担無しで)やってくれない。信用金庫もいつまで負担無くやってくれるかもわからない。手数料がかかると大きな負担になってしまう」と説明する。
キャッシュレス決済や個人間送金サービスの普及で、財布に小銭がなかったり、海外旅行者が日本円の現金を持っていなかったりすることで、参拝時のお賽銭が難しい時代になりつつある。これまで、非課税であるためにキャッシュレス“決済”が利用できなかったが、今回の取り組みで正式に「キャッシュレス決済サービスを使った寄付」ができるようになり、寺院のキャッシュレス化が加速しそうだ。