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Yahoo!ショッピング、“やらせレビュー”や不正決済などの対策レポートを初公開

 LINEヤフーは12日、「Yahoo!ショッピング」について、2024年上半期(1月~6月)版の「安全・安心への取り組みレポート」を公開した。レポートは今回が初めての公開となり、今後も定期的に公開されるという。

LINEヤフー 執行役員 コマースカンパニーショッピング統括本部長の畑中基氏。LINEヤフーの取組みを紹介した

トラブルが増加するインターネットショッピング

 多くの人が利用するインターネットショッピングだが、利用の増加に伴ってトラブルも増えている。

 「Yahoo!ショッピング」での事例のひとつとして紹介されたのは“未着詐欺”。これは大量に注文を受け、商品を発送せずに代金だけを受け取るものとなっている。

 また、偽造品の販売も横行しているという。注意が必要なストアとして「明らかに市場価格より安い」「商品ページが不自然な日本語になっている」「レビューなどの評価が低い」といった特徴が挙げられた。

 こうした事例に対し、LINEヤフーでは主に3つの対策として「信頼できるストアの厳選」「不適切なストアや商品の排除」「不正行為の防止」を実施している。

「信頼できるストアの厳選」

 「Yahoo!ショッピング」ではこれまで、正規代理店の商品などに「ブランド公式商品アイコン」を表示したり、一定の条件を満たしたストアを「優良ストア」として認定したりして、利用者の安心につながるような取組みを行ってきた。

 これに加えて、2024年1月には出店段階の審査を強化し、個人事業主を対象として「在庫証明審査」を実施。同5月には法人にも拡大されている。

 また、2024年4月以降には携帯電話やフリーメールアドレスを利用した出店の申込みを禁止した。結果として、2024年上半期における出店時の審査合格率は前年同期比で減り(25.2%→11.2%)、不正が疑われる出店の抑制につながっている。

「不適切なストアや商品の排除」

 先述の対策は、“入口”である出店時の不正行為を取り締まるもの。しかし、たとえば印鑑証明や開業届などを出した出店者が急に業態を変えたり、悪質な商品を販売したりといった事例もあったため、出店後の取り締まりも強化した。

 具体的には、アクセスログなどに基づいて不正が疑われるストアをリスト化し、途上審査を定常的に実施。こうした対策により、悪質なストアが減っているとする。

 商材の取扱い審査では、医薬品や酒類、化粧品といった特定の商材について、審査を強化。個人事業主の受入れを不可としたり、仕入れ書類の提出を必須化したりしてきた。

 これにより、2024年上半期のブランド審査の合格率は前年同期比で減少し(89.0%→74.3%)、より厳しい審査となっていることを示している。また、ブランド未審査ストアの商品削除数は増加した(1750件→2292件)。

「不正行為の防止」

 自己注文による“やらせレビュー”をはじめとした不正なレビューは、「Yahoo!ショッピング」でも散見されていたという。そこでユーザーの傾向を分析し、不正なレビューの可能性が高い投稿を削除した。

 2024年9月までに、3150ストアを対象として約60万件のレビューが削除されている。

 クレジットカードなどの不正決済については、「自社開発の不正検知システム」「EMV3Dセキュア」「目視による判定」という3段階の判定フローで対策を実施。

 2024年4月以降は、自社開発の不正検知システムの判定精度が改善され、2024年上半期の不正決済の被害金額は前年同期比で69.9%減少した。

今後の取組み

 今後は既存の取組みを強化するほか、「LINEヤフーグループ内での連携強化」「無在庫転売の意見受付フォームの開設」「クレームを繰り返し発生させるストアへのペナルティ強化」などを実施し、ストアとユーザー間の取引トラブルを2027年までにゼロにすることを目指す。