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ソフトバンクなど、障害物に強い“自己修復ビーム”の300GHz帯テラヘルツ無線通信技術

 岐阜大学工学部の久武信太郎教授、ソフトバンク、情報通信研究機構(NICT)の諸橋功研究マネージャーと、名古屋工業大学大学院工学研究科の菅野敦史教授らの研究グループは、自己修復ビームにより障害物に強い300GHz帯テラヘルツ無線伝送を実験し、その成果を発表した。Beyond 5G/6G時代を見据えた取り組みと位置づけられる。

 一般的に、300GHz帯というテラヘルツ無線伝送は、5Gで用いられる28GHz帯と比べて波長が1桁以上短く、ビームの広がり角も1桁以上小さい。ビーム径が細くなり、障害物が横切ると、通信が切断される可能性が高いという。

 そこで研究グループは、300GHz帯で、自己修復特性があるというベッセルビーム(ビーム断面内の振幅分布がベッセル関数に従うビーム)を用いた通信に取り組んだ。その結果、ベッセルビーム断面内に設置された障害物により乱されたビーム形状が自己修復することと、通常のガウスビームと比べて通信エラーの発生が少なくなることを実験的に確認した。

 本研究成果は、障害物によるビーム遮蔽に脆弱であるという問題を解決し、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信の実用化の一歩となったとしている。

 この研究成果は、12月18日(現地時間)にApplied Physics Letters誌のオンライン版で発表された。