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グーグル「My Ad Center(広告センター)」を提供開始へ――広告を自身でパーソナライズ、広告に「いいね!」ボタンも

 米グーグル(Google)は、エンドユーザー自身で広告をカスタマイズして管理できる「マイ アド センター(My Ad Center)」の提供を開始した。検索やYouTube、Discoverに表示された広告からアクセスできる。たとえばYouTubeの場合、広告の横にある3つの点のメニューをタップすると「マイ アド センター」にいアクセスできる。

マイ アド センターのめざすもの

 ユーザーの大多数は「企業がどのようにデータを使用しているか」を気にかけよく理解したいと思っていると同時に、多くのユーザーが「自分の一日の行動」をプライバシー保護やサービスへの信頼がないためにそのサービスを使わない検討をしている。

 その一方で、人々はパーソナライズされたサービスを好んでいることも確認している。パーソナライズされたコンテンツは、ユーサーの興味関心に合致し、ユーザー体験を向上させられる。

 グーグルのユーザープライバシートラスト担当プロダクトマネージャーのカリン・ヘネシー(Karin Hennessy)氏は、「『広告を含む有益なサービスやコンテンツを体験すること』と『プライバシー情報がどのように利用されているかを理解すること』は、本来対立関係にある」と説明。グーグルでは、これらの相反する関係を両方解決するために、3つの柱でその改善を図ることにしたという。

 具体的には、「ユーザーに真の透明性を提供し、ユーザーに広告を表示させる方法や理由を理解してもらうこと」と、「ユーザーの選択を『真の選択』としグーグル製品に反映されること」、「ユーザーが体験をダイレクトにコントロールし、ユーザーがグーグルとグーグル製品で見たいものの実現に向けて推進していくこと」に大きな重点を置き、これを基礎に今回の取り組みで新しいユーザー体験を提供していく。

 たとえば、Googleアカウントのデータについて、データをエクスポートできる機能を2007年に導入し、2019年に18カ月以上前のデータを自動削除できる設定機能を導入しており、ユーザーは自分でデータをコントロールできるようになっているとヘネシー氏はアピールする。

 今回の広告センターもこの取り組みの延長だとし、グーグルでの広告体験に対して、さらに強固なコントロールができる方向に舵を取っているとした。

 広告センターでは、ユーザーがグーグルでみるすべての広告をコントロールできる。広告センターの目標は、グーグルでより多くの望んでいるものを得るため、全く新しい人に寄り添った体験を提供することだと説明する。

 ユーザーは、広告センターで見たいトピックやブランドに基づいて広告をコントロールすることができるようになる。

 広告センターでまず表示されるのは「ハブ」と呼ばれるもので、広告全体のパーソナライゼーションを設定できる。

 次に画面上部で「トピック」を設定できる。たとえば「ハイブリッド車」や「美容」などといったトピックに対して、表示頻度を多くしたり少なくしたりできる。トピックのほか、ブランドを設定することもでき、「自動車のブランド」に掘り下げて設定することもできる。あわせて、Google検索やYouTubeで最近表示された広告を確認でき、「もっと見たい広告を選択する」といった形で広告の内容をコントロールできる。

 より深くカスタマイズしたい場合「カスタマイズ」タブに移動することで、「最近表示したトピックやブランド」などを確認でき、自分用にアレンジできる。

 また、センシティブなカテゴリーについて、よりユーザー自身でコントロールできる。センシティブなカテゴリーには、アルコールやギャンブル、妊娠、子育て、デート、ダイエットなどより主観的なカテゴリーが含まれるという。

 センシティブなトピックは、ユーザーごとに異なる嗜好を持つ場合があり、多くの人々にとって適切なカテゴリーではない場合もある。このため、ほかのものと分けてカテゴライズされているほか、件数などほかのカテゴリーにはない独自の制限を設けている。

 広告センターでは、どの広告主がどの広告を掲載しているかといったことも確認できるようになる。広告主の確認機能は、米国ですでに利用できるほか、今後2~4週間で世界展開される。

 なお、グーグルでは、広告センターでの取り組み以外にも、ユーザーのアクティビティを自身で柔軟に管理できる「マイアクティビティ」機能を提供する。Webサイトの閲覧やYouTubeの履歴、広告などパーソナライゼーションの使用を個別にオフにすることができる。

 グーグルは、企業としてユーザーのデータ利用と信頼性に対して十分配慮することが非常に重要としており、これにあわせて一連の取り組みを行っているとし、引き続きプライバシー技術に関して業界をけん引すべく取り組んで行くとしている。

コントロールできる広告の種類は?

 広告センターでコントロールできる広告は、Google検索やDiscover、YouTubeのほか、サードパーティアプリやWebサイトで表示されるGoogle広告にも適用される。

 また、ユーザーがより利用しやすいように、広告センターまでアクセスしなくてもパーソナライズできるような機能を用意する。たとえば、YouTube広告では、広告のトピックやブランドについて深く知りたいと思ったものを「いいね!」できるボタンを用意するという。

 なお、広告センターでカスタマイズした機能は、ユーザーがGoogleアカウントでログインした状態でないとパーソナライゼーションされないという。広告センター導入について、収益面(YouTubeクリエイターが得る利益を含む)に関する影響については、答えられないとしている。