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「Uber Eats」で楽天ペイと楽天IDが使えるように、連携の狙いとは

 楽天とウーバーイーツは、楽天IDとオンラインデリバリーの「Uber Eats(ウーバーイーツ)」で連携した。デリバリー料金を楽天ペイで支払えるなどの連携施策が開始される。

左=ウーバーイーツジャパン 武藤氏。右=楽天G 松村氏

 両社の連携により、ウーバーイーツでの注文時に「楽天ペイ(オンライン決済)」を利用できるようになる。決済時に、楽天カード、楽天ポイント、楽天キャッシュで支払った場合、楽天のポイントプログラム「楽天ポイント」が100円につき、1ポイント付与される。
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 また、ウーバーイーツに新規登録する際は、楽天IDを利用しての登録も可能になる。4月17日までに一部のユーザーに試験的に提供されたのち、4月下旬を目処に全ユーザーが利用できるようになる。

ウーバー・テクノロジーズ CEO ダラ・コスロシャヒ氏と楽天G 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏もビデオメッセージを寄せた

コロナ禍を背に拡大するデリバリー

 ウーバーイーツジャパン 日本代表の武藤友木子氏によると、ウーバーは世界71カ国1万以上の街でサービスを展開。「世界がより良い方向に進むための道筋を描いている」と同社のビジネスのビジョンを語る。

 日本では、2016年からウーバーイーツとしてのサービスを展開。当初の対応店舗は150店舗で東京の限られた地域のみで利用できた。現在ではドラッグストアなど含めて15万店舗以上で利用でき、47都道府県の多数の地域で利用できるようになった。

 武藤氏は「対応店舗が増えると、配達パートナーも増える。それによりユーザー満足度が上がりさらに店舗も増える」と成長のサイクルを語る。同氏によれば、登録店舗数やアクティブユーザー数、配達パートナー数、利用頻度数はいずれも(国内のデリバリーサービスとして)トップという。

 日本は重要な成長市場と位置づけるウーバー。今回の楽天との連携は「さらなる成長を加速するための、最重要な一歩」と連携の意義を示す武藤氏。今後は、楽天市場のセール施策やタクシー配車のウーバー、定額サービスの「Eatsパス」との連携も検討されているという。

 今後、国内に限らず海外でもシームレスかつ利便性の高いサービスの提供を目指して協議していくという。一方で、アフターコロナではこうしたデリバリーサービスの需要低下といったことも考えられる。

 武藤氏は「スピードダウンはあるかもしれない」としつつも、コロナ禍以前にも他国ではフードデリバリーサービスが一定の需要があり、成長を始めていたことを説明。日本においてもまだ成長の余地が十分に残っているとした。

 海外での展開については、配車サービスなど「あらゆる方面での(連携に関する)協議を行っている」とするに留められた。

EC流通額10兆円に向けたステップ

 楽天グループ 上級執行役員 コマースカンパニー ヴァイスプレジデントの松村亮氏は、今回の連携の意義を説明した。

 2021年における、ラクマ、トラベル、ブックスなどを含めた楽天の国内EC流通総額は5兆円以上を記録した。松村氏は「次のステップとしては10兆円」として、その達成に向けては複数のサービスを展開していく必要があると語る。

 楽天ペイもそのひとつ。今回の連携によって、25兆円を超す規模の飲食市場に楽天ペイがリーチすることになる。Eコマース以上の市場規模であり、コロナ禍の中急拡大するデリバリー市場で同社のサービスを提供することで、さらなる拡大を目指していく。

 1億を超えるIDを発行する楽天の顧客基盤や全国47都道府県で15万店舗以上にサービスを提供するウーバーイーツの掛け合わせで、多くのユーザーに新しいデリバリー体験を提供していくとしている。

 楽天では現在、「楽天ぐるなびデリバリー」も提供している。これについて、松村氏は「デリバリーサービスは拡大期。一人でも多くの人にこういうサービスを体感してほしい。さまざまなパートナーと一緒に、まずはマーケットを大きくしていきたい」とコメントした。