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ソフトバンク、携帯基地局の電波でIoT機器にワイヤレス給電する技術研究

京都大学、金沢工業大学と連携、ミリ波帯を活用

 ソフトバンク、京都大学、金沢工業大学は、情報通信研究機構(NICT)の「Beyond 5G研究開発促進事業」に係る令和3年度新規委託研究の公募(第1回)で、「完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」が研究課題として採択されたことを発表した。

 ソフトバンクら3者は、この研究課題についてNICTと契約を締結し、共同研究を開始した。

システムのイメージ

 「Society 5.0」社会では、2035年に全世界のIoTデバイスが1兆個に到達し、1人あたり100台以上のIoTデバイスを扱う世界が予測されている。

 近年の5Gネットワーク整備により、膨大な通信トラフィックを処理できるインフラが構築されつつあるが、IoTデバイスのバッテリー交換や給電方法には課題が残る。こうしたバッテリー交換コスト削減や、給電方法を簡略化するためには、給電のワイヤレス化が重要なテーマとなる。

 現在、日本国内では総務省やブロードバンドワイヤレスフォーラム、ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアムを中心に、920MHz、2.4GHz、5.7GHzの3つの周波数帯でワイヤレス電力伝送の制度化が進められている。

 しかし、無線局の99.9%が6GHz以下の周波数帯に集中しており、他の通信システムとの干渉を抑えるためには、ワイヤレス電力伝送の出力電力や送電装置の設置場所などが大きく制限を受ける可能性がある。

 ソフトバンクでは、京都大学と金沢工業大学と協力のうえ、周波数の逼迫が少ないミリ波帯でのワイヤレス電力伝送の実現を目指している。通信と連携・融合させることができれば、通信と同規模の広範囲なサービスエリア展開が可能になるという。