ニュース

クアルコム、CD品質の音楽体験をBluetoothで実現する「aptX Lossless」

 米クアルコム(Qualcomm)は9月1日、オーディオ関連の新技術として「aptX Lossless」を発表した。

 aptX Losslessは、同社のオーディオコーデック「aptX Adaptive」と、3月に発表されていた技術「Snapdragon Sound」における拡張機能として、CD品質の音楽体験をBluetooth環境下で実現する。

44.1kHz/16bitのロスレス音源の伝送に対応

 aptX Losslessは、44.1kHz/16bitのロスレス音源の伝送に対応している。「ロスレス」とは、圧縮したデータを圧縮前と同じ形で復元できる「可逆圧縮」のことを指す。今回は一般的なCD音源の44.1kHz/16bitに対応したことで、CD品質の音楽が劣化なく楽しめるようになる。

 Snapdragon Soundではすでに96kHz/24bitの高音質をサポートしていたが、こちらは「ロッシー(lossy)」とも呼ばれる「非可逆圧縮」となっており、ロスレスとは違って音質の劣化が起きてしまう。

 拡張機能としてaptX Losslessが発表されたことにより、ユーザーは44.1kHz/16bitのロスレス音源か、96kHz/24bitの非ロスレス音源を選べるようになる。

Bluetooth通信の品質に応じてビットレートを調整

 aptX Losslessは、aptX Adaptiveや「Bluetooth High Speed Link」といったクアルコムの技術とシームレスに連動し、ユーザーのBluetooth通信の品質に応じて1秒間あたりのデータ量(ビットレート)を調整する。

 混雑している環境下では140kbpsだが、Bluetooth品質が良好な時には1Mbps以上までスケールアップし、状況に合わせて音楽を楽しめる仕組み。

オーディオ技術に関する消費者調査の結果は?

 クアルコムでは、オーディオ技術に関する消費者調査「The State of Sound」を毎年実施している。2021年は、米国や日本を含む6カ国のスマートフォンユーザー6000人を対象として調査を行った。

 その結果、新型コロナウイルス流行の影響もあり、オーディオ機器の利用が増えていることが判明した。

 回答者の73%が「音楽やポッドキャストを聴くことが、生活に良い影響を与える」と答えた。また、62%が「日常的にオーディオ機器を利用している」、59%が「自宅で仕事をする際にワイヤレスイヤホンやヘッドホンを使う」と回答した。

 また、回答者の半数以上が「ロスレスもしくはハイレゾのオーディオに興味がある」と答え、「音質」に対する人々の興味が高まっていることが浮き彫りになった。

 クアルコムによれば、aptX Losslessは2021年後半に利用可能になる予定だという。