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「透明性高い手数料にした」、PayPayが中小加盟店向け手数料を発表

 PayPayは、10月からの中小規模事業者向け手数料を発表した。発表会の中では、PayPayの事業状況についても同社 代表取締役 社長執行役員 CEOの中山一郎氏から語られた。

左=PayPay 馬場一氏 右=中山一郎氏

伸びるキャッシュレス決済

 中山氏によると、日本の決済回数に占めるスマホ決済の割合は、徐々に上がりつつあり、2019年には4%だったものが2021年には14%と伸びている。

 キャッシュレス化が進んだ要因をPayPayの登場、政府のキャッシュレス還元事業、新型コロナによる非接触需要の高まりの3つにあると中山氏は分析。PayPayは現在、スマホ決済の2/3ほどのシェアを獲得している。決済取扱高は2兆8000億円、決済回数は17.9億回にのぼった(2020年)。

 2021年第1四半期の実績は2019年度の1年分に相当する決済金額・決済金額を達成しておりユーザー数、加盟店数ともに進捗を続けており、「2021年度は2020年度を上回る勢いで成長する」と中山氏。

 オフライン、オンラインを問わず、また請求書払い、個人間送金などの機能を通じて「PayPay Everywhere」というワードをかかげ、PayPayブランドの金融サービスとの連携も含めて、さらなる利便性向上に取り組む姿勢を示した。

インバウンド向け施策も

 アフターコロナを見据え、訪日客向けアピールとしてもさらにキャッシュレス決済の普及を進める考えも示した。

 東アジア諸国と比較して、日本はキャッシュレス率が低いと中山氏は指摘。普及が進んでいる国はいち企業だけでなく、官民連携での施策を行っていると説明。「民間企業としてやるべきことは積極的に取り組む」としつつ、2025年にキャッシュレス率40%、その先の80%に向けて官民連携での取り組みで実現していきたいと語った。

 2020年度のPayPay取扱高3兆2000億円に対して、日本の個人消費は300兆円。これについて、利便性を提供することで現金からキャッシュレスメインの効率の良い社会を作っていきたいとコメント。

中小規模事業者の手数料有料化

 発表の場では、10月以降の中小規模事業者のPayPay加盟店に求める手数料も発表された。加盟店向けのサービス「PayPayマイストア ライトプラン」を利用する場合は1.6%からで、同サービスを利用しない場合は1.98%。

 導入時に、詳細を聞きたい・導入支援が欲しいという場合は全国の営業拠点のサポートも受けられる。売上支援キャンペーンとして、最大で6カ月間、PayPay決済額合計の3%が振り込まれるキャンペーンも実施される。

PayPayキャンペーンを実施した各自治体の首長もオンラインで参加

質疑応答

――10億円以上の売上規模の事業者の料金は? 現金に勝てる水準なのか?

中山氏
 すでに決済手数料をいただいており、相対の取引となっている。引き続き採用いただいているのでそういうこと(現金より魅力的)だと思っている。

――手数料で加盟店増加にブレーキがかからないか。店舗数減少なども含めてどの程度の影響があると見ているか

中山氏
 1店加盟店も(減少が)ないように進めていきたい。PayPayにとっても持続可能であって透明性が高い手数料にしたつもり。これからも多くのユーザーが利用し、納得できるような施策を手数料に限らず進めていきたい。

――加盟店の経営支援の競争軸は? PayPayの優位性はなにか

中山氏
 取り組みとしては「マイストア」。加盟店にとっては新しい客が来たり来店頻度が上がったりと、売上につながる施策を期待されていると思う。デジタルの力でPayPayが新しい取り組み、提案をしていくということに尽きる。(経営支援は)始まったばかりなので、どういった機能をスピーディに提供するかが腕を試されるところ。

――現状の集客効果はどの程度のものなのか?

中山氏
 確実に中小加盟店の決済回数・決済額はうなぎのぼりに伸びている。その部分が加盟店にとっては集客効果として感じられると思う。特に、店頭に「PayPayつかえます」のサインを置いている場合は、効果が高いことがわかっている。お店によってさまざまな効果を感じられていると思う。

――手数料によるPayPayの売上はどう変化すると見ているか

中山氏
 売上増にはつながると思うが、比率などについては非開示としたい。

――中小加盟店は手数料無料ということで拡大してきた側面があると思うが、ここは転換点となるのか

中山氏
 2021年の9月まで無料というのは当初からお知らせしていた。加盟店も理解した上で加盟いただいた。スムーズに(有料化について)説明はできると思う。

――全加盟店に占める中小規模の加盟店はどの程度か?

中山氏
 比率については非開示としたい。

――MPMとCPMの比率は?

中山氏
 非開示だが、必ずしもMPMは小さくなく、その広がりがPayPayの特長のひとつではないかと思っている。

――手数料有料化により業績も上向くと思うが、黒字化の目処は?

中山氏
 事業なので、色々考えてはいるが外的要因などもあり、その都度調整しながら進めている。ダイレクトな回答は差し控えたい。しかし、自信を持って進めており、持続可能な経営をこれからもしていきたい思う。