ケータイ用語の基礎知識

第914回:JPQRとは

統一QR決済コード「JPQR」

 「JPQR」とは、総務省が推進する、統一QR決済用コードのことです。PayPayやLINE Payなど、コード決済サービスを提供する9社が対応しています。ひとつのバーコードを提示することで、ユーザーが使いたい決済サービスを選べるようになる予定です。

 キャッシュレス化が進む中、さまざまなサービスが登場してきています。しかし、そうしたキャッシュレスサービスの仕様や決済プロセスが異なることから、店舗側の負担が増しています。そうした負担を軽減し、より導入しやすくするため、2019年3月29日にキャッシュレス推進協議会において、統一QRコードが策定されました。

 政府としては、2019年現在、約2割程度とされるキャッシュレスの普及率を2025年までに4割に引き上げる目標を立てています。その一環としても期待されています。

 2019年8月1日から、岩手、長野、和歌山、福岡の4県において、JPQRを使った実証事業が行われます。実証期間中は、地域のスーパーや商店街など、県内の約2〜3割の店舗全体でQRコード決済ができる環境が整備され、キャッシュレス化による店舗での業務効率化や消費者の利便性向上についての効果が検証されます。

 キャッシュレスサービスでは、8月1日から「Origami Pay」「J-Coin Pay」「メルペイ」「PayPay」、10月1日から「au PAY」「ゆうちょPay」「YOKA!Pay」がそれぞれJPQRへの対応を開始する予定になっています。

 「LINE Pay」や「d払い」もJPQRに参加していますが、まだ対応時期が明らかにされていません。

店舗提示(MPM)方式と利用者提示(CPM)方式

 ところで、QRコードの決済方法としては、店舗のQRコードをユーザー側が読み取って決済する「店舗提示方式」(MPM)方式と、それとは逆に、ユーザーがスマートフォンなどで表示したQRコードを店舗の端末で読み取って決済する「利用者提示方式」(CPM)の2種類の方式が存在します。

 ほとんどの事業者はMPM、CPM両対応で、JPQRではこの両方がともに利用できるようになる予定です。

 店舗によって、ユーザーがQRコードを読み取るのか、あるいは表示するのか、という使い方は特に変わりありません。

 ユーザー側がいずれかのキャッシュレスアプリをインストールしておき、使いたいサービスを選ぶ、ということに、基本的には変わりはありません。

 コンビニエンスストアのセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンでは、普及事業が行われる4県だけでなく、全国の店舗で8月1日にJPQRへ対応する予定です。CPM方式を利用し、ユーザーがスマートフォンのQRコードを提示すると、店舗のレジで決済サービスを判断し、価格を自動的に引き落とすというプロセスで決済されます。

 中小の店舗では、MPMが利用されることが想定されています。たとえば、店舗のレジ上、あるいは店員がパウチされたQRコードを持っており、決済の際にユーザーはそのQRコードを読み取ります。すると、決済画面が表示され、使いたいサービスを選び、金額を入力して決済が完了することになります。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)