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メルカリがネットショップ提供、「第4の柱」目指す新事業「メルカリShops」が目指すもの

 ソウゾウは、スマートフォンでネットショップを開設できるECコマースプラットフォーム「メルカリShops」を発表した。

左=ソウゾウ 石川氏 右=メルカリ 山田氏

 ソウゾウは、メルカリの子会社。当初2015年に設立され、地域コミュニティアプリの「メルカリ アッテ」やシェアサイクルの「メルチャリ」などをリリース。2019年に解散したのち、2021年1月にあらためて新会社として同名の「ソウゾウ」が設立され、現在に至る。

 新会社としてのソウゾウがその第1弾としてリリースするのが、メルカリShopsだ。

使い慣れた感覚で出品できる

 メルカリShopsは、スマートフォンだけでネットショップを開設し、運営者が商品を直接販売できるEコマースプラットフォーム。メルカリへ出品するのと同様に簡単な操作でメルカリアプリ内にネットショップを開設でき、商品管理や在庫管理などもすべてスマートフォンで完結できる。

 メルカリ内への出店のため、独自の集客施策がなくてもメルカリユーザーにアピールできるという。さらに、AIを活用した商品レコメンドや個々のユーザーにパーソナライゼーションされる機能なども提供される。

 こうした、簡単に開設でき、売れる機会を作りやすいというメリットを先行する類似サービスとの差別化ポイントと位置づける。

 初期費用や月額利用料は無料。商品が売れた際に販売価格の10%が手数料として発生する。利用対象者は個人、個人事業主、法人。法人の場合、事業規模などの制限は特にないが、パソコンでの操作や多機能さを求める大手企業は今後のターゲットとして、あくまで小規模な事業者をメイン層に据えている。

 個人のメルカリアカウントとメルカリShopsの店舗のアカウントは使い分けられる。メルカリでよく見られる値下げ交渉にも対応する必要がないため、商品の制作などの時間に専念できるという。

 要冷蔵の食品は、2021年中に予定しているクール便の提供開始後に販売が可能になる。

EC促進の助力に

 ソウゾウ 代表取締役社長 CEOの石川佑樹氏は、新型コロナウイルスにより、観光客の現象や営業時間の短縮など、オフラインでの営業が困難になったこと、緊急事態宣言により人々が自宅でECを多用したことを「2大変化」と説明する。

 同社の調査によれば、特に小規模事業者が経営困難などに直面しており、オンラインでの営業活動に結びつける動きがあるという。

 2020年のEC市場は、2019年比で23.6%の増加と規模拡大を見せる中、経済産業省の調査では日本全体のEC化率は低く、6.7%。また、ソウゾウの調べでは、ECサイトを開設した小規模事業者の中で「売れている」と回答したのは全体の2割強だった。

 ECサイト開設の障壁として立ちはだかっているのが、管理・運営できる人材がいない、売れるかわからない、ICTに関する知識不足といった理由と石川氏。「大きな需要があるにも関わらず、課題によりうまく進まない問題に対して、メルカリの強みを活かして解決する」と語る。

 今回発表のメルカリShopsであれば、ICTへ対する理解やノウハウが薄くても、普段使っているメルカリと同じ感覚で、簡単にネットショップが開設できる、さらにメルカリのユーザーに対してアピールすることで、独自の集客施策がなくても、売れるチャンスが得られ、これまでEC開設に踏み切れなかったユーザーに対して、アピールしEC化の流れを促進する。

 2021年中にも、メルカリアプリ外にも独立したWebサイトとしてのネットショップを開設できるようになる予定。独自の集客施策を行いたいユーザーやツイッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSからの流入も狙える。

 メルカリShopsでは、卸先の開拓に苦労する農家や漁師、コロナ渦で苦境にある飲食店、観光地の産物の販売者、さらにハンドメイド作家やアパレル・雑貨販売者などに注力していくという。

第4の柱を目指す

 メルカリ 代表取締役CEO兼ソウゾウ取締役の山田進太郎氏は、メルカリShopsについて「スマホ決済のメルペイからおよそ2年ぶりの大型新規事業。グループの次なる柱として育てていきたい」とコメント。

 メルカリShopsを通じて、メルカリがこれまで取り組んできた循環型社会を促進。「今後、すべての価値あるものに売れる場所を提供することで、一次流通事業者とも連携強化し、循環型社会の流れを加速させる」と語った。

 さらに「メルカリShopsは、第4の柱となる事業。この成功がグループ全体の中長期での成長になる」とした。

先行出店、購入者向けキャンペーンも

 9月の本格提供に先駆けて7月28日から先行出店の受付けを開始した。対象の運営者(クリエイター、生産者、小規模事業者など)は本日からショップ開設手続きや出品・販売が可能になる。選考出店で開設したショップは本格提供開始後も継続して利用できる。

 先行出店開始を記念して、購入者を対象に「実質半額キャンペーン」が8月2日~8月30日の期間で提供される。期間中、メルカリShopsで商品を購入し、評価を完了すると合計購入金額の50%分のポイントが付与される。

 付与上限は期間中最大で5000ポイントまで。

 一般のユーザーは、メルカリアプリ内の「ショップ」タブ(順次提供)からメルカリShopsで出品された商品を購入できる。