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近場でふらっと観光気分に――東京駅で5G・AR活用の東北体験イベント、KDDIとJR東日本

 新型コロナウイルス感染症の影響も長引き、首都圏に発出されていた緊急事態宣言が解除されたとは言っても、やはりまだ「足を伸ばして観光を……」というのはためらわれる方も多いことだろう。

 JR東日本とKDDIによる5GとARで楽しめる東北の魅力体験は、ちょっとした観光気分を味わえるひとつの選択肢になるかもしれない。

大画面で東北の景色を楽しめる

 今回の取り組みは、JR東日本が主催する「東北デスティネーションキャンペーン」(東北DC)の開催を記念したもの。震災から10年目の節目となる今年は4月1日~9月30日の期間で開催される。

 東北DCは、JR東日本が従来から開催しているキャンペーンで、東北6県の自治体や観光業者などと共同で取り組む。期間中には自然や文化・歴史、食といった各カテゴリーで、地域ごとの魅力を集めたガイドコンテンツや新幹線「東北DC復興号」の運行などさまざまな催しが行われる。

 東京駅でのイベントは、その東北DC開催を記念したもの。同駅の地下1Fにあるイベントスペース「スクエアゼロ」では、東北の観光名所をコの字型に配置された大型スクリーンに投影。中央に立つと、自らを囲むような形にディスプレイされた四季折々の東北の風景を楽しめる。

中継映像を見る観客の様子

 さらに、宮城県三陸町にある「南三陸さんさん商店街」と5Gを活用した中継を実施。10分程度の中継が行われており、同商店街にある飲食店など店舗の様子を4K相当の映像で鑑賞できる。TV中継と映像で現地の様子を試聴できる

 この映像を体感できるのは、3月25日(11時~18時)となっている。

超クオリティなARねぶたも

 今回の取り組みのもうひとつの取り組みはスマートフォンを活用したねぶたAR体験だ。こちらは、手持ちのスマートフォンから会期中、いつでも参加できるもの。「XR CHANNEL」を起動することで楽しめ、東北DCの期間中(9月30日まで)利用できる。

まるで実際にそこにあるかのような臨場感がある

 アプリを起動後、周囲の環境をスキャンした後にねぶたが現れる。夜間では使えない可能性がある点に注意しよう。

 スキャン完了後にスマートフォンの画面を覗くと、ねぶたやのぼりが出現した。一般にARというと、ひと昔前のゲーム画面にも近い印象のものもよく見かけるが、ここで体験できるねぶたARは、細部まで丁寧に表現されており、驚くほどに周辺の環境に溶け込んでいる。

 実際に目の前にねぶたがあるかのような感覚で楽しめ、祭りの雰囲気を少し味わってみたいという人にはうってつけだ。

 XR CHANNELには写真撮影機能が備わっているため、スクリーンショットを撮らずとも、画面右側に現れるシャッターボタンを押すだけでねぶたと東京駅の駅舎を収めた写真を撮影できる。

筆者近影

 もちろん、このように浮かれた1枚もばっちりだ。今回は東京駅の丸の内出口付近で試したが今後、山手線の主要出口などこのアプリが楽しめる場所は順次拡大していく予定だ。なお、4Gモードと5Gモードの両方を兼ね備えており、5Gスマートフォンを所有していなくても5G版とさほど遜色ないクオリティで楽しめるとのことだった。

 青森県の名物である、ねぶた祭りの起源については定かではないというが、一節には灯籠を川や海に流して無病息災を祈る祭事が発祥とされている。この灯籠がねぶたと呼ばれていたという。

 今回のコンテンツでねぶたが題材になったのも、昨今のコロナ禍の収束を願ったもののよう。今後、そのほかの祭事の要素を取り入れることも検討中という。前述の映像コンテンツでは、東北の観光地の数々が紹介されている。いつか、日常が戻ってきたときの旅先への思いを馳せるのもいいかもしれない。