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東京駅を攻略する「東京ステナビ」アプリ、グランスタ東京開業にあわせ

 鉄道会館は、8月3日にJR東京駅の駅ナカ商業施設「グランスタ東京」を開業する。これにあわせて、現在配信中のスマートフォンアプリ「東京ステーションナビ(東京ステナビ)」を大幅リニューアルする。

 駅の現在地から目的地までの詳細なナビ機能のほか、商業施設の詳細や混雑情報の確認、順番待ち予約、土産物の事前注文と駅ナカピックアップなどの機能が3日から利用できる。

複雑な東京駅をスムーズに移動できるナビ機能

多層構造の東京駅をわかりやすく案内

 ナビゲーション機能では、Wi-Fiアクセスポイントの設置位置や屋内測位技術(アップルのCore Locationなど)で現在地を測定する。地上3階から地下1階までと、京葉線地下コンコース、横須賀総武線地下コンコースと非常に複雑な駅構造であるが、正確に現在地を測定する。

 アプリ内では商業施設の検索やみどりの窓口、特定の改札口、コインロッカー、プラットホームなどの情報を確認できる。

カテゴリでは、みどりの窓口や改札口、化粧室や休憩所などから検索できる
現在地から近いコインロッカーを検索。たどり着くまでの時間やロッカーの空き状況も案内

 たとえば、現在地に近いコインロッカーを検索すると、コインロッカーごとの空き状況を確認できる。繁忙期で空いているロッカーが遠くにあっても、ナビ機能でたどり着くことができる。

 ナビ画面はフロアマップとルート画面の2種類に分けられる。フロアマップは、目的地までのルートがひと目でわかるようになっている。ルート画面では、検索結果のルートの詳細が表示される。上の矢印「↑」では、上のフロアに移動することを示し、タップすると、上のフロアのルート画面に移動する。下矢印「↓」も同様に下のフロアに移動することを示している。

山手線ホーム下から京葉線コンコースのコインロッカーまで
「↑」は、ここから上の階に上がることを示す
「↑」をタップすると、上のフロアのマップに移動する
「↓」も同様に下のフロアに移動する
「↓」をタップしたところ。目的地は「GOAL」と表示される
近くの場所でも地下など見渡せないわかりにくい目的地ではルート案内が便利だ

 このほか、今回新しく開業する化粧室には、各個室にセンサーが取り付けられ、そのセンサーと連動し個室の空室状況がリアルタイムで確認できる。状況は、化粧室入り口のモニターのほか、ナビでも確認できる。同機能は今後東京駅のほかの化粧室にも対応を検討中としている。

化粧室入口のサイネージ。個室の空室状況がわかる
アプリでも確認できる

JR東海敷地内の施設や駅周辺の施設も案内

 今回のナビ機能では、東海道新幹線高架下の東京一番街の一部施設にも対応する。「東京キャラクターストリート」と検索すると、現在地からのルートを検索できるほか、ホームページへの移動もできる。

 このほか、八重洲地下街の代表的な場所や東京駅周辺のホテルなども検索できる。この場合、最寄りの改札口や駅出口まで東京ステナビのアプリで案内し、出口から目的地まではGoogleマップなどの地図アプリに情報を渡して案内する。

バリアフリールートもワンタップで検索

 車いすユーザーやベビーカー、キャリーバッグをもつユーザーには、上下移動をエレベーターで行えるようルートを検索できる。

 なお、場所によってはバリアフリールートのほうがルートが短い場合がある。今回開業した区画は山手線と京浜東北線のホームの真下にあるため、直近にホームまでの直通エレベーターがある。利用する際はバリアフリールートもあわせて確認するのがよさそうだ。

山手線ホームまでのルートを検索。通常ルートはエスカレーターなどを利用するため、2フロアにまたがって移動する
山手線までのバリアフリールート。地下1階から山手線ホームまで直通のエレベーターがあるため、こちらのほうがスムーズに移動できる

独特の構造である駅構内をわかりやすく案内

 同アプリを開発した鉄道会館総合企画本部ステーションシティマネジメント室の鎌田 洋二氏によると、ワンストップでシームレスに駅の情報がわかるようにアプリ開発したという。特にナビ機能は2D表示だけでは複雑な駅構造を案内することは難しく、マップの表示のさせ方、見せ方を工夫し、わかりやすく理解できるような案内にしたとしている。

 また、同アプリ開発で苦労した点を尋ねると、駅には改札内外があり、距離優先でルートを検索すると、改札を行ったり来たりするルートができることがあったという。そのため、改札内もしくは改札外で完結するルートを案内するように開発したといい、わかりにくい案内などがないか何度も検証を重ねたとコメントした。

同アプリの概要を説明する鉄道会館総合企画本部ステーションシティマネジメント室 鎌田 洋二氏
東京駅の案内図。これだけでも改札内改札外があるほか、さまざまな階層・場所にのりばがあり非常に複雑な構造であることがわかる

商業施設の順番待ち予約

 今回開業する区画の商業施設のうち約30店舗に順番待ち予約システムを導入している。予約システムは同アプリと連携しており、店舗情報を検索すると、現在の混雑状況を確認できる。

設置の大型サイネージや店頭、スマートフォンで確認できる

 また、順番待ちが発生しており予約する場合は、これまでの店頭で整理券を発券するほか、アプリやウェブサイトで発券できる。アプリやウェブサイトで予約した場合、順番がくると店から通知がくるようになっており、店頭で待つ必要がない。新型コロナウイルス感染症感染予防になるほか、待っている間ほかの商業施設などを利用できる。

アプリから店舗検索した場合、混雑状況のページに飛べる
スマートフォンで対応店舗の情報を一覧でも確認できる

お土産の事前注文と駅ナカピックアップ

 対応の商業施設の商品を事前に注文し、東京駅の指定カウンターでピックアップできる「ネットでエキナカ」サービスを開始する。

 複数の店舗の商品を同時に注文でき、受け取りカウンターでまとめて受け取ることができる。特に混雑する繁忙期でも、各店舗をまわることなくワンストップで商品を受け取ることができる。

 注文した商品は、地下1階の手荷物一時預かり所で受け取れるため、購入予定の商品を事前に注文しておいて、ほかの商業施設を利用したりできそうだ。

「エキナカで受け取り」をタップすると(左)、対象の商品が表示され注文できる(右)

これからもアップデートしつづけるアプリ

 鉄道会館の鎌田 洋二氏は、エキナカ施設以外の情報などは、東京駅構内の案内カウンターのスタッフからヒアリングし、よく尋ねられる場所を中心に追加しているとしており、今後も随時施設の追加を行っていくとしている。

 また、ユーザーが増えていくなか、案内の精度が更に向上するよう、引き続き検証を続けていく考えを示した。

鉄道の0キロポストのレプリカを手に語る鉄道会館代表取締役社長 平野 邦彦氏

 鉄道会館代表取締役社長の平野 邦彦氏は、東京駅は日本一複雑でわかりにくい駅と言われていることをとりあげ「東京ステーションナビ」をぜひ活用してほしいと話す。グランスタ東京の開業と同アプリのアップデートで「リアルとデジタルで(東京駅を)一新」されると期待の旨をコメントした。

【お詫びと訂正 2020/7/31 13:26】
 本記事初出時、同アプリの位置測位方法に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。