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ドコモと竹中工務店がデジタル変革の共同検討を実施へ、建築業界の魅力・付加価値向上を目指し
2020年7月14日 15:18
「協働」の支援
今回の取り組みでは、建築現場におけるコミュニケーションにデジタル技術を取り入れていく。具体的な取り組みとしては、デジタル朝礼、デジタルKY(危険予知)、スマホなどによる工程進捗共有が紹介された。
デジタル朝礼
建築現場ではこれまで、作業員が全員で集まり情報を伝達。その後解散しそれぞれの作業場所へ移動するというスタイルが一般的だった。これをデジタル技術を活用することにより時間や場所の成約を減らし生産性の向上を目指す。
デジタル朝礼では、スマートフォンやデジタルサイネージなどを活用し全員集合する集中型の朝礼からそれぞれの作業場所などに人が分散していても、情報共有が可能で、伝達の忘れや伝わり方が不十分ということも軽減できる。
デジタルKY(危険予知)
建設現場における従来の危険予知は、毎日の同じ作業の繰り返しが続くなどして安全意識が薄れてしまうこともある。また、手書きでの資料作成や形式的承認など手順が複雑で負担となっていた。
スマートフォンを活用したデジタルKYにより、デジタル承認やクラウド管理を導入し、作成手順を簡略化、過去の事例や対応策を蓄積し、経験の浅い作業員でも安全意識を高めた作業が可能になる。
個人の活動支援
建設現場のデジタル変革とともに個人の活動支援として、「AIエージェント」「タスク管理と共有」「パーソナル管理」の3つも合わせて検討を進めていく。
AIエージェント
これまで、必要な情報は人を介して確認してきたが、いつでも作業者に最適化した情報を手に入れられる仕組みを構築する。たとえば、図面が更新された場合、その旨がデバイスに通知され、現場で人を探す際にAIに尋ねると現場のどこにいるのかが瞬時にわかるなど、より活動に集中できる取り組みを導入する。
タスクの管理と共有
現場においておこりがちな作業・指示忘れなどに起因する作業の遅滞を防ぐために、工程管理の情報と作業実績をかけ合わせ、確実な実施が求められる「マストタスク」を抽出し、完遂されるまでフォローアップされる仕組みを導入する。
人間行動モデル×プロセス管理
両社では、生産プロセスの最適化のために、リソース、リスク、生産性を、計画や実績データを活用し可視化することが必要と捉えており、建築現場における重要な要素である人を「人間行動モデル化」という新しい概念で定義し、それをプロセス管理と組み合わせて新たな価値を創出するという。
建設現場では、さまざまな人にまつわるIoTデータが発生し、それを新たに人間行動モデルの中で分析する。一例としては、人間の活動を観察し、これから何が起こるのかなどを予期するなどした上でさまざまなデータと掛け合わせる。こうしたことからこれまで見えていなかったリスクなどを示し、新たなビジネス価値へつなげる狙い。
現場から集められた行動モデルと作業のプロセス管理を未来予測、最適化することで、リスクや歩掛の向上などがフィードバックされる。こうして最適化されたプロセスで進められる現場からはまた新たなデータが取得され、それらを同じく分析することでさらに生産性の高まりを狙う。
建築業界全体の魅力・付加価値向上へつなげる
両社はこれらの取り組みから、建築業界の生産性向上や魅力向上を図る。建設現場では働く人たちの一体感が重要であり、デジタル技術を活用し、今までよりもより良い品質・安全性を備える取り組みを進めるデジタル変革を進めていくとした。
また、建築業界の働き方のスタンダードモデルの構築を目指し、準備ができたものについては、他社にも提案していきたいとした。
竹中工務店 取締役専務執行役員の篠井大氏は、世界のあらゆるものがデジタル化志向にある中で、建築業界は他産業と比較して、立ち遅れている部分があるという。そうした中で「竹中工務店はドコモと共に建築現場の最前線に注目。建築業界の新たなスタンダードモデルを構築する」と語る。
また今後は、優れたソリューションを持つスタートアップ企業との連携も視野に入れていることを語り改めて、業界全体の付加価値・魅力向上を目指すことを強調した。
NTTドコモ 常務執行役員 法人ビジネス本部長の坪内恒治氏は、「建設業界全体の課題に対応していくには、オープンかつスタンダードを目指した強力なパートナリングが必要だった。今回の共同検討により優れたソリューションを早期に実現し生産性向上、働き方改革につながる取り組みを推進していく」と語り、さらに新型コロナウイルスの影響から求められる新しい働き方についても合わせて検討していくとした。