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ドコモのMVNO向け音声通話の卸料金、見直しが妥当――総務省
2020年6月12日 15:56
総務省の電気通信事業紛争処理委員会は、日本通信が裁定申請を行ったNTTドコモの音声通話サービスに係る卸役務の提供について、総務大臣から諮問された裁定案への答申を行った。
日本通信は、ドコモに対して音声通話サービスに係る卸役務の提供に関する協議が不調となったため、ドコモに対して音声通話サービスを能率的な経営の下における適正な原価に、適正な利潤を加えた金額を基本とする料金で日本通信に卸役務として提供することおよび、その卸役務の一つとしてドコモが提供する「かけ放題オプション」や「5分通話無料オプション」などの通話定額サービスを、同じく適正な原価に適正な利潤を加えた金額を基本とする料金で日本通信に提供することを求めて、総務大臣に対する裁定申請を昨年11月に実施した。
日本通信からの裁定申請に対して、総務大臣はドコモからの答弁書の提出を求めたほか、日本通信およびドコモの両社から、それぞれ意見書を提出する機会を与えた上で裁定案を検討し、同委員会に裁定に関する諮問を行った。
総務大臣による裁定案では、日本通信に対する音声通話サービスの卸役務提供の料金について、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定し、さらに新料金の算定にあたっての算定方法、課金方法及び精算方法、新料金の設定日および適用日ならびに、再協議に係る取り扱いについても裁定を行う一方、通話定額オプションの卸提供については、日本通信の主張を退ける方針となった。
紛争処理委員会は、総務大臣と日本通信およびドコモから事情を聴取した後、計7回の会議で審議を行い、日本通信に対する卸役務の料金を見直すべきであるという日本通信の主張を認める答申を行った。答申では、ドコモが日本通信に提供する卸役務の料金について、適正な原価に適正な利潤を加えた金額が妥当としている。
ただし、新料金の設定にあたっての課金方法単位、課金方法および精算方法、新料金の設定日や適用日については、総務大臣が両事業者から意見を聴取して裁定をすべきと答申している。
もう1点の、通話定額サービスおよび準定額サービスの卸提供に関しては、日本通信の契約者の1契約者当たりの通話時間が超過した場合、ドコモの収入がその原価を下回ることは明らかであり、ドコモに対してそのリスクを負わせることは、日本通信に不当に有利な条件で音声卸役務を提供させることとなり、公正競争確保の観点から妥当性を欠くとして、これを認めない総務大臣の裁定案を妥当と答申した。