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ドコモが5G新製品・サービス発表会――吉澤氏「新たな価値創出、社会課題解決の最も太い柱に」

 NTTドコモは18日、「5G・新サービス・新商品発表会」を開催した。ドコモの5Gサービスは3月25日からスタートする。

 今回の発表会は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、ライブ配信の形で執り行われた。発表の場に登壇したNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、同社のコールセンターにおける協力社員のコロナウイルス感染について、緊急対策本部を立ち上げコールセンターの運営を停止するなどの措置をとり、通信会社としてのサービス継続に努めていると述べた。

開始は25日から

 吉澤氏は、同社の5Gサービスが3月25日からスタートすることを明かし、「5Gで世界を変える」とこれからの世界に意気込みを見せる。そこには、「新たなサービスによる価値創造」と課題先進国日本としての「社会課題解決」を実現する2つの意味があり、5Gはその最も太い柱となる。発表の中では、5G時代のドコモの今後2~3年間の戦略が語られた。

吉澤和弘氏

 ドコモの5Gは2020年スタート時点で全国150箇所、基地局数は500局でスタートする。6月末時点では東京2020大会の主要施設でもサービスが提供され、その時点での通信速度は下り最大4.1Gbps、上り480Mbpsという。

 このほか、サービスインの1年後となる2021年3月末時点で全政令指定都市を含む500都市で5Gが利用できる計画で、さらに1年後の2022年3月末時点で全国で2万局の基地局展開を予定している。2023年度中には基盤展開率97%を達成するという。

 社会課題の解決に向けて、ソリューションを展開するためには5Gの親局を全国へ展開することは非常に重要だと吉澤氏。基盤展開率97%という数字は実質的に人口のほぼすべてをカバーする。これをもとに新たな価値創出、社会課題解決を図るとした。

 なお、5G開始直後には5G可搬型基地局(キャリー5G)を全国で33台配備される。

 2020年3月時点での5G利用可能エリアの一部がドコモ公式サイトで公表されている。

デバイスへの取り組み

 「魅力的なデバイスを用意し、使ってもらうことが大事」と吉澤氏。2023年度にはスマートフォンを中心とした契約数を2000万規模にしていくという。

 今回、発表された5Gスマートフォンは全部で6機種。「Xperia 1 II」や「AQUOS R5G」などに加えてハイエンドモデルとしての「arrows」が「arrows 5G F-51A」という形で帰ってきた。全機種が「スマホおかえしプログラム」の対象となり、同プログラムはドコモユーザー以外にも利用できるよう改定された。

 吉澤氏は5G時代は「社会課題解決や革新的なエンターテイメント体験のためにはマイネットワーク構想は重要。そのためには周辺機器の拡充が不可欠」と語る。ドコモが推し進める「マイネットワーク構想」を現す第1弾としてMagic leap社製のVRゴーグル「Magic leap」の発売も発表された。

「AQUOS R5G」を手にする吉澤氏

 さらに、5G対応デバイスを持たないユーザーでも手軽に体験できるよう、茨城県立カシマサッカースタジアムや有明アリーナなどでの5G環境の準備を推し進めていく。

5G専用の料金プランも

 5G向けプラントして「5Gギガホ」と「5Gギガライト」が3月25日から提供される。5Gギガホは、100GBまで利用できる7650円のプラン。当面は「データ量無制限キャンペーン」によりデータ量が無制限となる。5Gギガライトは、1GB~7GBの4段階で利用できるプランで、料金は使用したデータ量に応じて2980円~5980円。

サービスも拡充

 5G時代を見据えたサービスとして、ドコモではすでに「新体感ライブ CONNECT」を提供中だ。スマートフォンとVRゴーグルを組み合わせて使えば、ライブ会場の最前列にいるかのようなVR体験ができる。

「身体感ライブ CONNECT」発表会より

 このほかにも、dアニメストアで利用できる「タテヨコ動画」やマルチアングル観劇、VRショートストーリー「Disney MYTH:アナと雪の女王/秘められた神話」などが配信される。

 また、ひかりTV for docomoでは、最大7番組が同時視聴できる「マルチストリーミング」が提供される。

 dゲームではクラウドゲームとして「真三國無双8」や「FINAL FANTASY 15」が配信される。対応ゲームは100を超えるゲームが用意され、順次追加されていくという。さらに、5Gの特徴を活かした複数同時対戦ができる「エヴァンゲリオン バトルフィールド」も提供される。

 また、Jリーグでのマルチアングル視聴体験などのほか、来シーズンから卓球リーグ「Tリーグ」のトップパートナーとなり、マルチアングル視聴含めた公式サービスの共同企画に加えて映像制作の高度化などを共同で進めていく。

ソリューションも展開開始

 ドコモはこれまで「ドコモ 5Gオープンパートナープログラム」により、さまざまなパートナーと300を超えるソリューションを展開してきた。この内、22のソリューションは5G開始直後の「Day1」からスタートする。

 また、さまざまなソリューションをさらに社会実装していくためには、ソリューションを提供するパートナーとそれを活用するフィールドパートナーへのサポートも重要となる。ソリューションパートナーの拡大に向けて、新しい共創ビジネスの創出を目指すため、幅広いアセットの発掘を目指す「docomo 5G DX AWARDS 2020」を開始、本日から募集を開始する。

 フィールドパートナーについては、ユーザーの要望に合わせたネットワークを構築する「ネットワークカスタマイゼーション」を提供する。5Gを中心としたネットワークのエリア調査、構築設計、導入支援までの総合コンサルティングを提供する。吉澤氏は「イベントや工事など期間限定の利用にも柔軟に対応する」と語る。

 また、低遅延なクラウドサービス「docomo Open Innovation Cloud」を提供開始する。

 吉澤氏は「ドコモは5Gを通じて新しい価値の創出や社会課題の解決に貢献する。ご期待ください」と5G時代への熱意を示した。

質疑応答では

 会見終了後の質疑応答では、5Gのエリアや整備などに関する質問が出た。「現在の5Gエリアを見るとスポット的な展開だが、面展開されるのはいつごろか」という声に対して、NTTドコモ 無線アクセスネットワークの小林氏は、「多くの場所で使ってもらうことが大事だと考えている。サービスやソリューションの展開に合わせてまずはここからという場所で現在は展開している。来年の後半から面展開にも力を入れていく」とした。

 また、「KDDIやソフトバンクのような共同での基地局整備は検討していないのか」という質問に対して吉澤氏は「5Gは電波特性の関係で基地局の数が多くなる。独自でやる部分もあるが、共同でやる方が効率的でもある。ドコモも共有についての検討は以前からしており、前向きに考えていきたいと思う」と他社との設備共用について言及があった。

 ミリ波の展開については、「建物の中で高速スループットが利用できる場所などを検討している」とした上で「ミリ波ネットワークの開始は6月以降となる」とした。

 料金プランについて、5Gギガホの容量無制限があくまでキャンペーンという形が取られていることについては「どういう使われ方になるか分からない。設備などへの影響を見定める事が必要だったためキャンペーンの形をとった。利用状況を踏まえて次のキャンペーンやもしくはそのままで行くこともあると思う」とした。