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カウントフリーでも上限超過後は一律規制を、総務省がガイドライン案を公開

 総務省は、「ネットワーク中立性に関する研究会」の下で進める「ゼロレーティングサービスに関するルール検討ワーキンググループ」の第6回を12月25日に開催した。

 同ワーキンググループでは、MNO・MVNO各社が提供している「カウントフリー」「ゼロレーティング」などと呼ばれる特定のコンテンツの通信料をカウントしない仕組みのサービスについて、主にネットワーク中立性の観点から是非を議論している。

 今回、「ゼロレーティングサービスの提供に係る電気通信事業法等の適用に関するガイドライン(案)」が示された。ガイドライン案では、(ゼロレーティング対象外のサービスによる)データ通信量の上限超過後に速度制限を実施する場合はゼロレーティング対象のコンテンツでも一律に制限を実施すること、混雑時やヘビーユーザーに対する帯域制御を行う場合も対象・非対象のサービスを問わず一律で実施することが望ましいとされている。

問題視される行為

 ガイドライン案では、ゼロレーティングが問題視される要素として、大きく分けて「電気通信事業法上の問題となり得る行為」「通信の秘密を守る上で問題となり得る行為」「消費者に対する取り組みとして問題となり得る行為」の3つが挙げられている。

 「電気通信事業法上の問題となり得る行為」としては、特定のコンテンツサービスをゼロレーティングのパートナーに選定することによる市場競争や消費者の選択への影響、透明性や公平性を確保する必要性が指摘された。

 「通信の秘密を守る上で問題となり得る行為」としては、ゼロレーティング対象サービスの区別を行うために、必要な情報の範囲や内容を明確にした上で情報取得への同意を適切に得る必要性があることを指摘。必要最小限の範囲を超えた情報利用に警鐘を鳴らした。

 「消費者に対する取り組みとして問題となり得る行為」としては、帯域制御を発動する可能性や非公式アプリの利用、対象サービスの配信サーバー変更などで正確にカウントされない場合があることなどを十分に説明するよう求めた。

電気通信事業者が採ることが望ましい行為

 ガイドライン案では、実施せずともただちに電気通信事業法上の問題になるとは判断されないものの、公正な競争の促進や利用者利益の保護のために、「電気通信事業者が採ることが望ましい行為」として、以下のような内容が例示されている。

 まず、ゼロレーティングサービスを提供する場合は対象コンテンツの選定について合理的かつ明確な基準を定めて公開すること。そして、ユーザー自身による適切なサービスの選択を支援する観点から、対象サービスと非対象サービスそれぞれのデータ通信量を計測し、各ユーザーに利用状況のデータを提供すること。

 あわせて、ゼロレーティングサービスの提供によってトラフィックが増加した場合はそれに応じたネットワーク設備の増強を行い、ゼロレーティングサービスを利用しないユーザーの通信品質の維持に努めるよう要求している。