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ホテル用スマホ「handy」、予約を含めた総合旅行プラットフォームへ飛躍

客室用オールインワン・スマートドックも披露

 hi Japanは、旅行の予約から旅行後の情報のシェアまで、旅行関連商品を総合的に扱うOTA(Online Travel Agent、オンライン旅行会社)事業を手がけていく方針を明らかにした。

hi Japan 代表取締役社長のピーター・リー氏

 hi Japanは、これまでhandy Japanの名称で活動してきた会社。グローバルで活動するhiグループの日本法人で、世界共通の「hi」ブランドに統一した。客室備え付けのスマートフォン「handy」を展開しており、日本では1700施設・24万室に、グローバルでは60万室に採用されている。

客室備え付けのスマートフォン「handy」
「handy」の導入状況

 社名の変更後、hi Japan 代表取締役社長に新たに就任したピーター・リー氏は、2月19日に開催した事業戦略発表会で、今後は客室向けのスマートフォンだけでなく、旅行の予約からすべての行程をカバーする、総合的なオンライン旅行会社としてのサービスを提供する方針を明らかにした。予約サービスについては、第2四半期(4~6月期)に詳細を発表するとしている。

 具体的なサービスやデモは行われなかったが、PCやスマートフォンを使ったオンラインのホテル予約に加えて、すでに提供している「handy」のプラットフォームも活用し、旅行先でのお土産やアクティビティの予約・購入もカバーする。旅行後に体験をSNSでシェアするといった部分もサポートすることで、旅行の前から後まですべての行程をカバーするという。また、これらはいずれも旅行者自身が好む言語で検索したり利用したりできるという。

 「旅行に関するすべてを内包できるプラットフォーム。ソフトとハードの組み合わせで実現した」同氏は語り、すでに提供している「handy」をベースに、ホテルを訪れる前から利用できるようにしたサービスであることを示した。

思いつきや旅の計画
予約
旅行中の体験、アクティビティ
シェア
大手OTAなどと比較、総合プラットフォームが強みになるとした

 同氏はまた、質疑に答える形で、エクスペディア、プライスラインという業界の2大OTAでも売上高は旅行業界全体の5%に満たないと指摘、OTAに相当するサービスの立ち上げに勝機はあるとし、すでに「handy」というハードウェアプラットフォームを手がけていることから、技術革新の利益を先頭集団で享受できる立場であるという認識を示している。

 ゲストとして登壇した、ザ・キャピトルホテル東急 総支配人の末吉孝弘氏は、日本で2番目に早く「handy」を導入したとのことだったが、導入から1年半が経過しても1台も盗まれていないと、当初の懸念は外れたことを語った。現在は全室に導入しており、宿泊客の5~7割が利用しているという。また、訪日客は外食のレストランとして寿司屋を最も検索しているといった具体的な事例も示しながら、これまでホテル側では入手が困難だった、宿泊客のホテル外での行動という膨大なマーケティングデータを、宿泊客のために活用できる段階に入っていることを明らかにした。

 末吉氏はまた、例えば火災報知器が鳴った場合、端末に通知を配信して対応方法を案内するなど、新しい活用方法も紹介。こうした非常時にはフロントに一斉に電話がかかってくるため、ホテル側で必然的に起こるフロントの混乱(重度の混雑)も未然に防げるといったメリットを紹介した。

高機能化した「handy スマートドック」

 hi Japanはこのほか、客室に設置する「handy」の充電台を高機能化した「handy スマートドック」を披露、今後1年をかけて導入を図っていくことを明らかにしている。

 「handy スマートドック」は、客室向けのWi-Fiのアクセスポイントの機能や、客室設備の操作機能、Alexa対応の音声アシスタント機能、Bluetoothスピーカー機能を搭載。「Handy」のスピーカーホンとして利用したり、Alexaを介して、フロントへのオーダーを音声で行ったりできる。ホテルのPBXとも連携でき、客室にかかってきた電話を、外に持ち出している「handy」に転送するといったことも可能になるという。

「handy スマートドック」