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国内初の「バーチャルピッチグランプリ」とは? 5G時代に向けた「KDDI ∞ Labo」の取り組み
2019年2月13日 19:36
既報の通り、KDDIとクラスターは、VR空間内でのピッチイベント「国内初! バーチャルピッチグランプリ in cluster presented by KDDI ∞ Labo」を2月13日の20時から開催する。
KDDIのスタートアップ支援プログラム「KDDI ∞ Labo」(ムゲンラボ)が主導する今回のイベント。国内初という“バーチャルピッチイベント”とは何か、そして今後の通信事業とどのような関わりがあるのか、KDDIビジネスインキュベーション推進部の中馬和彦氏が解説した。
スマホ普及期に立ち上がった「∞ Labo」
KDDI ∞ Laboは2011年夏、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が本格的に始まる時期に始動した。端末からOS、ポータルサイト、サービスに至るまでのすべてをキャリアがコントロールできたフィーチャーフォンの時代から変わりつつある中で、スタートアップ企業と手を組み、支援をしてサービスを育てて行こうという攻めの姿勢が根底にあったという。
翌年に設立されたベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」と合わせて、スタートアップ企業のスピード感とアイデアを取り入れながら、将来的にKDDI本体のコア事業の一部として成果を還元していく狙いがあった。
5G時代に向けた「xR」への期待
KDDI ∞ Labo始動からの8年間には、3Gから4Gへ、フィーチャーフォンからスマートフォンへという大きな変革があった。中馬氏は「4Gではモバイルインターネットが花開いた。スマホ1つでなんでもできる時代」と語った上で、「5G時代は(IoTなどによって)すべてがインターネットに繋がる時代。1度スマートフォンに凝縮されたものたちが再び外に出てくるのではないか」と語った。
様々なものがスマートフォンに代わる“ポストスマホ”のツール、メディアになる可能性を秘める中で、5Gによって実現される「高速大容量」の通信を活かすことができる新領域として、VR/AR/MRといったxR技術に可能性を見出し、取り組んできたという。
例えば、無人島を舞台にARで恐竜退治ができる体験型アトラクション「JURASSIC ISLAND」(関連記事)や、VRゴーグルと触覚グローブを使った“遠隔旅行体験”(関連記事)などを昨年披露した。そして、これまでの流れを汲み、今回はVR空間内でのイベントを開催する。
ピッチイベントをVRで行うメリット
今回のイベントは、「KDDI Open Innovation Fund」を通じて出資した企業の1つでもあるクラスターの協力によって行われる。同社はバーチャルイベントプラットフォーム「cluster」を開発・運営しており、同サービス上のVRイベントルームを借り受ける形での開催となる。
ピッチイベントとは、主にベンチャー企業などが登壇し、短時間のプレゼンテーションで自社の製品やサービスを投資家にアピールする場だ。複数の企業が登壇して競い合うコンテスト形式で行われることが多い。
「国内初! バーチャルピッチグランプリ in cluster presented by KDDI ∞ Labo」では、最新技術に関わる5社のベンチャー企業が登壇する。
ピッチイベントを仮想空間で行うメリットとしては、地方や海外のスタートアップ企業でも参加しやすいことや、「VRイベントを体験してみたい」といった動機も含めて関係者や投資家以外の一般ユーザーにも参加してもらいやすく、サービスを訴求できる機会に繋がることが挙げられた。
また、アバターを使って登壇する副産物として、中馬氏は「ピッチイベントは良くも悪くも人物評価になりやすいが、アバターになることで純粋な企画評価が行われやすくなるのではないか」と期待感を示した。一定以上の観客が集まるようであれば、次回以降の開催も前向きに考えているという。
cluster上では既にVR音楽ライブなども開催されており、ピッチイベント以外にも今後さまざまなイベントの展開が考えられる。観客の参加方法としては、VRデバイス「HTC VIVE」または「Oculus Rift」を装着してVRイベントルームに入ることで、会場内を自由に動き回りながら観覧したり、拍手を送ったり、あるいは気に入った発表に対して花火などの有料アイテムを贈る、いわゆる“投げ銭”もできる。
また、今回はVRデバイスを持っていない観覧希望者のために、YouTube Liveでの動画配信も同時に行われる。開催日時は、2月13日の20時~21時30分。料金は無料で、最大5000人まで同時に参加できる(※YouTube Liveの視聴者は除く)。