ドコモとトヨタ、5Gを活用したロボット遠隔制御に成功

　NTTドコモとトヨタ自動車は、5Gを用いたロボット制御のトライアルを開始し、遠隔地点（約10km）を想定した実験環境において、その一部区間に5Gを活用し、トヨタが開発したヒューマノイドロボット「T-HR3」を制御することに成功した。

実証実験イメージ

　「T-HR3」は、家庭や医療機関などの場面で人々の生活を安全にサポートすることをめざして開発されたロボットで、トルク（力）を制御するトルクサーボモジュールと、全身を自在に操るマスター操縦システムなどにより、操縦者がロボットにかかる外からの力を感じながら、ロボットに操縦者と同じ動きをさせることができる。

　「T-HR3」の動きを実現するためには、「T-HR3」とマスター操縦システム間で制御信号をやり取りする際に発生する通信遅延をなるべく少なくすることが求められる。実証実験はこれまで、比較的通信遅延の少ない有線接続で行われたが、より実用性の高い環境での使用に向けて、5Gの特徴の1つである低遅延性を活用し、5Gを用いた無線接続を一部含む遠隔地間を模擬した環境で同ロボットの制御に成功した。

　今回の実験は、神奈川県横須賀市のドコモR＆Dセンター内で実施され、5Gの周波数帯として28GHz帯が用いられた。

　実証にあたり遠隔地間の5G区間以外で発生する通信遅延をセンター内で模擬するため、事前にお台場エリアと東京スカイツリー間の有線接続で発生する遅延時間を計測のうえ、実測した遅延時間を遅延負荷装置で加えた状態で5G基地局と5G端末を経由して「T-HR3」を制御できることが実証された。

　今回の実証実験では、ボールを両手で掴んで持つ、ブロックをつまみ積み上げる、人と握手をするなど、力の伝達が必要となる動作を、有線接続と遜色ないレベルで行えたという。

　なお、同取り組みは12月6日～12月7日に東京ビッグサイトで開催予定の「DOCOMO Open House 2018」にて、会場と東京スカイツリー間を結んでデモンストレーションが実施される。