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ソフトバンク孫氏、「ギガ単価は一番安い」

通信事業の人員を4割配置転換、新規事業振り替えへ

 ソフトバンクの1GBあたりの単価は圧倒的に安い。世界で最も安い事業者のひとつではないか――5日、ソフトバンクグループの決算説明会で、代表取締役社長の孫正義氏が携帯電話事業について、安さをあらためてアピールした。

 孫氏自身は菅義偉官房長官の発言に触れることはなかったものの、前週後半にNTTドコモが来春の値下げを予告したばかりのタイミングでの発言で、政治主導の「値下げ圧力」に反論する格好となった。

9月に分離プランで値下げ済み、「実質4割値下げ論」も

 ドコモの値下げは具体的にどうなるかわからないがソフトバンクは9月に導入したプランで、25%~30%値下げ済みという孫氏。

 そのプラン「ウルトラギガモンスター+」では、一部の動画やSNSの通信量をカウントしていない形となり、そのトラフィックが43%をカウント対象外にしている。

 孫氏は「(総務省などの議論では)低価格のあまり使われない方が語られるが、8割のユーザー、特に若者を中心にYouTubeやInstagram、SNSなどをたくさん使っている若い世代がいる。格安スマホというよりも大容量を使いたい層」と述べ、「実質4割値下げにあたる」(孫氏)と胸を張る。

ギガ単価で安さアピール

 孫氏は「競合他社の半額か1/3くらい。ギガバイト単価は欧米事業者と比べても我々は世界で最も安い事業者のひとつではないか」とソフトバンクの料金プランをアピール。

 菅義偉官房長官が4割程度下げる余地があると発言したことに「真摯に受け止めながらしっかり対応したい。私どもは、安い料金のワイモバイルと、大容量のデータ単価の安いソフトバンクがある。これからさらにしっかり推し進めたい」と語り、ブランドごとに異なる価値を提供する方針をあらためて示す。

端末はSIMフリー選びやすく

 分離プランでは、端末割引が高くなり、結局ユーザーの負担は変わらないのでは? という質問に孫氏は「端末は安いものをより選びやすくなる」と説明。

 孫氏は「今までは高い物を中心にしていたが、SIMフリー含めて、選択肢が広がる。ユーザーはコストダウンをはかりやすくなる」と述べ、SIMフリー端末をユーザーが選ぶことで、トータルでも安くなるとする。

 ITリテラシーが高くない層へのフォローも「ソフトバンクショップはそのためにありますから。店員に遠慮なく聞いていただく。ご紹介していくことになろうかなと思う」(孫氏)と対応していく方針を示した。

ソフトバンクの人員は4割削減へ、配置転換

 上場時期などは明らかにされなかったが、このところ通信関連株は値下げが続く時期もあった。孫氏は我々としては今日、あらためてしっかり増益していきたい。そのために人員を4割削減して、コストダウンし、言い訳抜きで増益を図りたい」と述べる。

 端末販売は、先述したように分離プラン導入のため「SIMフリーの安い端末をユーザーがより自由に選択できるようになれば、その端末の売上の絶対額が減っていくことは十分想定できる」(孫氏)と解説。売上増になるかどうかは不透明ながら増益を達成する意気込みを示す。その要因の一つとして、法人市場ではまだスマートフォンの普及率が39%に留まっており、成長の余地があることを紹介する。

 一般的に上場前に配当について語ってはいけない、としつつ「高配当を打ち出したい」とする孫氏は、増益や高配当の原資の一端として、ソフトバンク事業のスタッフを4割削減する方針を打ち出した。

 ただそれは、単なる削減ではなく、RPA(ロボッティック・プロセス・オートメーション)など単純作業の自動化の導入や、AIの活用、新規事業への配置転換といった形で進めていくとのことで、「人員削減の時期はこれから粛々とやっていく。具体的に決めていない。おそらくこれから2~3年という形になるだろう」(孫氏)とした。

 ドコモの4000億円還元には「我々もしっかりと顧客還元をしていきたい。あわせて増益を実現させたいとして具体的な金額には踏み込まなかったが、さらなる還元を示唆するコメントとなった。

ワイモバイル、来年上期に分離プラン

 ソフトバンク代表取締役社長の宮内謙氏は、ワイモバイルの分離プラン導入について、すでに導入済みでは? と問われると「今、一部で入っている。(ワイモバイルでの分離プランは)来年上期に対応したい」とコメント。

 続けて宮内氏は「端末のトータルの値段として少し下がる。ワイモバイルの月々料金が下がる。9月から始めたソフトバンクブランドの新プランでは、分離型を導入することで、2~3割下がっている。ワイモバイルは十分安いが、1~2割下がることになると思う」と語った。