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ホームボタンの代わりにFace IDを搭載する新iPad Pro発表会詳報

11インチと12.9インチのiPad Pro

 Appleは10月30日、ニューヨークで発表会を開催し、iPad ProやMacの新製品を発表した。また、iOSの最新バージョンとなるiOS 12.1の配信開始も発表された。いずれも新製品も日本では予約受付を開始しており、11月7日に発売される。

 Apple Storeでの価格は、11インチのWi-Fiモデルが8万9800円(税抜、以下同)~、Wi-Fi+Cellularモデルが10万6800円~。12.9インチのWi-Fiモデルが11万1800円~、Wi-Fi+Cellularモデルが12万8800円~。

 今回発表されたのは、11インチのiPad Proと12.9インチのiPad Pro。いずれもデザインが全面的に刷新されている。ホームボタンは廃され、代わりにiPhone Xシリーズと同様にFace IDが搭載される。

10.5インチiPad Proと同じサイズだが、上下が狭額縁化したことで画面サイズが大きくなった(左右のベゼルは計算上、大きくなっている)

 11インチのiPad Proは、従来の10.5インチのiPad Proの後継となるモデル。本体のサイズはほぼ同等だが、デザインは変更され、狭額縁化したことによりディスプレイが大きくなった。ディスプレイの解像度は2388×1668ピクセルで、10.5インチiPad Proの2224×1668ピクセルよりも少しだけ増えている。

 これまでのiPadシリーズはすべて、ディスプレイのアスペクト比は4:3(1:1.33)で統一されてきたが、公表されているピクセル数によると、11インチiPad Proは初めて異なるアスペクト比(1:1.43)を採用している。10.5インチiPad Proに比べると、ディスプレイの短辺側の実サイズ・ピクセル数はほぼ同じで、長辺側に7.3%伸びた形になる。なお、より細長くなったと言っても、たとえば一般的な16:9(1:1.77)よりもずっと正方形に近い。

 また、1:1.43はいわゆる白銀比(1:1.41あるいは1:√2)に近い比率でもある。白銀比は半分に切っても白銀比のままとなる比率で、A判やB判など、紙や印刷物の多くは白銀比を採用する。そのため、印刷物をそのまま電子化したような電子書籍は、単ページでも見開きでも、より無駄なく表示できると思われる。

薄さは両モデルともに5.9mmで、iPadとしては最薄となる。断面形状は四角くなった

 ただし、このアスペクト比変更により、アプリ表示がどのような影響を受けるかは不明。古いiPad向けアプリは解像度固定であるため、そうした古いアプリでは表示のないエリアがディスプレイ両端に生じる可能性がある。

 11インチモデルの本体サイズは247.6×178.5×5.9mm、重さはWi-Fiモデルで468g。従来モデルである10.5インチモデルは250.6×174.1×6.1mm、重さWi-Fiモデルで469gで、サイズ感はほぼ同等となっている。

12.9インチiPad Proは画面サイズはそのままで小型化している

 12.9インチのiPad Proは、従来の12.9インチモデルと同じディスプレイサイズ・解像度のまま、狭額縁化によりコンパクトになった。

 従来モデルは305.7×220.6×6.9mmで重さがWi-Fiモデルで677gだったが、新しいモデルでは280.6×214.9×5.9mmで重さがWi-Fiモデルで631g(Wi-Fi+Cellularモデルは633g)となっている。紙でいうA4判(297×210mm)に近くなっているが、こちらのアスペクト比は従来同様の4:3で白銀比にはなっていない。

 ディスプレイとサイズ以外の仕様は11インチモデルと12.9インチモデルでほぼ共通。両モデルともにディスプレイは完全な四角ではなく、iPhone Xシリーズのように、四隅が丸みを帯びている。アップルの製品情報ページによると、この丸みのある部分を無視し、標準的な長方形として考えたときのスクリーンサイズが11インチと12.9インチとのこと。デザイン面でも従来のiPadから変わり、側面は垂直となり、断面形状が四角くなっている。

別売りキーボードで横位置に置いていても、Face IDが機能する

 iPhone Xシリーズのようにホームボタンがなくなり、代わりにFace IDで個人認証する。Face IDは短辺側に搭載するが、iPhone XシリーズのFace IDと異なり、横位置や天地が逆でも顔認証ができる。

 Lightning端子の代わりにiOS製品では初めて、USB Type-Cが採用される。Lightning端子のiOSデバイスでも、別売りのアダプターなどを使うことで、デジタルカメラやディスプレイを接続できたが、新しいiPad Proは汎用のUSB Type-Cを採用することで、より周辺機器を利用しやすくなっている。発表会ではiPhoneを接続して充電できることも紹介された。

従来のiPad Pro同様、プロ向けのブツールという位置づけで、9.7インチiPadと差別化している

 プロセッサーにはiPhone XSなどでも採用されたA12 Bionicを強化した「A12X Bionic」を搭載。7nmプロセスで8コアのCPUと7コアのGPUを搭載し、発表会では市場にあるノートパソコンの92%よりも高速で、Xboxクラスのグラフィックパフォーマンスと紹介されている。iPadとしては初めてNeural Engineを搭載し、機械学習のCoreMLをより高速に動作させられる。

 発表会ではiPad Proはプロ向けのクリエイティブなツールという面が強調されており、各種プロ向けアプリが高速化していることが紹介された。発表会のステージではアドビも登壇し、数週間前に発表されたiPad版のPhotoshopもプレビューとして紹介された。

 背面カメラは12メガピクセルでシングル構成のf/1.8。前面カメラはFace IDにも使う立体形状を記録できるTrueDepthカメラで、解像度は7メガピクセル、f/2.2。顔の表情をリアルタイムに反映したCGアニメーションを作る「アニ文字」と「ミー文字」にも対応している。

Apple PencilとSmart Keyboard Folioを装着した状態

 iPad Proの特徴でもある別売アクセサリーのApple Pencilと専用キーボードカバーも刷新される。

 第2世代のApple Pencilは、今回発表された11インチのiPad Proと12.9インチのiPad Pro(第3世代)専用で、iPadの側面に磁石で貼り付き、その状態でペアリングと充電を行う。その影響で断面形状は丸ではなくなった。さらに「側面をダブルタップすると消しゴムツールに切り替え」といった操作も可能になっている。Lightning端子は無くなり、従来のiPad Proでは利用できない。

 第2世代のApple Pencilは価格はiPad Proと同時発売で、価格は1万4500円。オンラインのApple Storeで購入する場合、レーザーでメッセージを刻印するサービスも提供される。第1世代のApple Pencilは、11インチおよび第3世代の12.9インチiPad Proでは利用できない。

 専用キーボードカバーは名称が「Smart Keyboard Folio」となり、本体背面に貼り付く形式で、背面も保護するようになった。また、iPad Proを立てるときの角度も2段階から調整できる。iPad Proと同時発売の予定で、価格は12.9インチ用が2万2800円、11インチ用が1万9800円。日本のApple Storeでも日本語(JIS)以外にも英語やスペイン語、中国語、韓国語などの配列も選べる。

USB-Cとなったことで、対応ディスプレイに直結できるようにもなった

 従来のiPad同様、Wi-FiモデルとCellularモデルが用意される。

 Wi-Fi+Cellularモデルは従来のiPad Proが内蔵していたApple SIMではなく、iPhone XSなどと同じく「eSIM」内蔵とされている。Wi-Fi+Cellularモデルは両モデルともに北米向けとグローバル向けの2モデルが用意され、日本はグローバルモデル(11インチはA1934、12.9インチはA1895)となる。

 グローバルモデルの対応LTEバンドは、1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、34、38、39、40、41、42、46、66。日本で販売されているiPhone XS/XS Maxとほぼ同等。

 両モデルともに本体のカラーはシルバーとスペースグレイの2種類、ストレージは64GB/256GB/512GB/1TBの4種類。従来モデルではスペースグレイ以外のカラーではディスプレイ周囲のベゼルが白だったが、今回のモデルではすべて黒ベゼルとなっている。

 今回の新製品の追加により、12.9インチiPad Proは入れ替えとなるが、10.5インチiPad Proは引き続き併売される。iPad mini 4も後継製品は発表されなかったが、引き続き販売ラインナップに残る。

 なお、発表会ではMacBook AirとMac miniの新製品も発表された。

MacBook Air

 MacBook Airはデザイン・仕様ともに刷新していて、ディスプレイが13.3インチのRetinaディスプレイ(2560×1600)となり、狭額縁デザインになった。Touch IDセンサーによる指紋認証機能も搭載する。プロセッサーはIntel Core i5だが、アップル独自デザインのApple T2 Securityチップも搭載し、Touch IDの処理やデータの暗号化、Hey Siriのウェイクワード待受などを行う。インターフェイスはUSB Type-C(Thunderbolt 3)に集約されている。価格は13万4800円から。

Mac mini

 Mac miniは現行モデルが2014年モデルなので、実に4年ぶりのモデルチェンジとなる。従来はどちらかというと、「無駄を省いた安価なMac」という位置づけだったが、今回のモデルではスペックの強化が強調されており、プロにも使えるモデルとして案内されている。本体カラーも従来モデルのシルバーから、iMac Proなどで採用されているスペースグレイに変更されている。指紋認証には対応しないが、こちらもApple T2 Securityチップを搭載する。USB Type-Aポートも搭載するが、USB Type-C(Thunderbolt 3)も搭載。有線LANに10ギガビットイーサを選択することも可能。価格は89,800円からで、今回発表された11インチのiPad Proと同額。

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