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接客用のオフライン翻訳機「ili PRO」(イリー プロ)発表
2018年7月31日 16:28
ログバーは、オフライン翻訳機「ili」(イリー)において、接客用に翻訳エンジンをカスタマイズした「ili PRO」(イリー プロ)を発表した。同端末を中心にした訪日観光客向けの対応を行う事業者を支援するサービス「ili インバウンド」として提供を開始している。また200社限定で、無料の体験サービスの受付も開始している。「ili インバウンド」の利用料は月額2980円~。
「ili PRO」は、同社がこれまで提供してきた「ili」とハードウェアや操作方法は同じで、完全なオフラインで動作し、ボタンを押して話けかるだけという簡単な操作が特徴。翻訳は英語、中国語、韓国語に対応する。双方向の翻訳は行えない(パソコンを使って設定変更が可能)が、メインのボタンがひとつだけというシンプルな操作方法とスティック型の小型ボディで、高い年齢層のユーザーの利用にも応えている。翻訳結果をボタン一つでリピート再生したり、日本語で翻訳内容を確認したりする機能も既存モデルを踏襲している。外装は、汚れにくい素材を採用し、ブラックに変更されている。
新しい翻訳エンジンを搭載、接客向けを強化
「ili インバウンド」サービスで提供されるオフライン翻訳機「ili PRO」は、NICTと共同開発した、ニューラル機械翻訳をオフラインで実現する第二世代オフライン翻訳エンジン「STREAM 2」を搭載。一般会話まで翻訳範囲を広げた上で、翻訳精度は「オンライン並み」とうたう。加えて、接客分野の精度と翻訳範囲を強化しており、宿泊施設、販売店、交通機関、飲食店、病院などの事業者が使いやすくなったとしている。
固有名詞や定型文の登録に対応
「ili インバウンド」ではまた、「ili PRO」とパソコンを接続し、Webブラウザ上で機能のカスタマイズを行える「ili クラウド」が提供される。
このクラウド機能では、店舗の名前や固有名詞など、独自の単語の登録が可能な「単語カスタマイズ」機能のほか、日本を7つのエリアに分けて、地名や特産物など導入エリアに特化した翻訳を強化する「ili ローカライズ」機能、よく案内する定形の説明を短いフレーズで呼び出せる「ili ショートカット」機能が提供される。
設定で翻訳方向の切り替えが可能
「ili PRO」は、入力が日本語で、英語、中国語、韓国語の3種類の言語に翻訳が可能。端末のボタンを押すことで順番に翻訳言語が切り替わる。この3言語は、訪日外国人観光客の約91%をカバーするとしている。
一方、「ili PRO」をパソコンと接続すれば、翻訳方向を切り替えることが可能。入力言語は英語、中国語、韓国語のどれかを端末のボタンで切り替えて利用し、日本語に翻訳する。
翻訳方向の切り替えはパソコンに接続して行うため、会話中にすぐに切り替えることはできない。双方向で利用する場合は、2台の「ili PRO」を使う想定で、「ili インバウンド」では端末が2台提供されるプランも用意されている。
トラブル時には電話通訳も用意
さらに、(翻訳機ではカバーできない)本格的なトラブルやクレームに対応するものとして、電話通訳サービスが「ili インバウンド」すべてのプランで提供される。プロの翻訳者が受話器越しに対応する形で翻訳が提供され、24時間365日、15言語に対応する。
プラン
「ili インバウンド」の「ライトプラン」は月額2980円、初期費用は5000円。「ili PRO」が1台のみ提供され、カスタマイズ機能では「ili ローカライズ」が利用できる。電話通訳は毎月10分まで。翻訳ログの閲覧、端末補償/交換サービスが提供される。
「ベーシックプラン」は月額5980円、初期費用は1万円。「ili PRO」が2台提供され、追加は1台につき月額1980円。カスタマイズ機能は「ili ローカライズ」「ili ショートカット」「ili カスタマイズ」の3つすべてを利用可能。電話翻訳は毎月20分まで。翻訳ログの閲覧、端末補償/交換サービスが提供される。
「プレミアムプラン」は法人からの要望に応じて提供されるプランで、費用や提供台数は要望により異なる。翻訳コンサルや翻訳データの解析にも対応する。
確実に「現場で使える」オフライン翻訳機
7月31日には都内で記者向けに発表会が開催された。ログバー 代表取締役CEOの吉田卓郎氏は、主に旅行者向けとして、個人向けの翻訳機「ili」を提供し、好評を得てきたとする一方で、訪日外国人観光客の増加を受け、「接客に使えないか」という問い合わせが1万3000通以上にも上ったことを紹介。日本での接客向けとして「ili PRO」を開発した経緯を語った。
同氏はまた、ボタンひとつで使える非常にシンプルな使い勝手や、画面が無いことで相手の目を見て会話できるというコミュニケーションの促進、オフラインで確実に動作するという安心感、さらに電話通訳サービスにより専門用語が必要なトラブルになった場合の安心感も提供することを紹介し、「機能を増やすことは簡単だが(そうはせず)、“現場で使える”翻訳機になった」と自信をみせた。