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公取のメスは入るのか? 意見交換会・第2回のテーマは「接続料」

 公正取引委員会は、携帯電話分野の競争政策上の課題や考え方を整理する「携帯電話分野に関する意見交換会」の第2回を開催した。

 4月13日に開催された第1回の会合のみ非公開となっていたため、前回の議論は資料が公開されるにとどまっているが、第2回以降は原則公開される。開催概要としてすでに案内されていたように、5月15日に開催された第2回のテーマは「接続条件及び接続料等における競争政策上の課題について」で、MVNOがMNOに対して支払う接続料を中心に議論された。

mineo、接続料が圧迫「100万人でも利益が出ない」

 第2回は議論の中心がMVNOであることから、事業者としてインターネットイニシアティブ(IIJ)、ケイ・オプティコム(mineo)、日本通信の3社が出席、競争政策上の課題の有無などについてプレゼンテーションを行い、有識者からの質問にも回答した。

 出席したMVNOの中で、接続料について具体的に課題を示したのはケイ・オプティコム(mineo)。同社は、1加入者あたりの収入において、接続料が占める割合は極めて大きく、その中でもデータ利用料が約半分と大きくなっている状況を示す。

 さらにデータ通信について、帯域あたりの利用料(接続料)は下がっていても、1加入者あたりに必要な帯域(1人が利用するデータ量)はそれを上回って増加しており、至近ではトラフィック対策を行うことでデータを削減、増え続けるデータ利用料(MNOに支払う料金)をなんとか抑制している状況であることを明らかにした。

 またMVNOにおいては、安さと速度がサービス競争上で非常に大きなポイントになっており、平日昼間の改善の重要度がさらに増していることを指摘。ケイ・オプティコムは「100万の契約者数でも、MVNO事業単体で利益を出すのは難しい」と窮状を訴え、接続料について継続的に議論するのは非常に重要なことであるとした。

公取委 vs. 総務省?

 3時間におよぶ会は、前半が件の事業者のプレゼンと質疑応答に当てられ、後半はこれらの議論をもとに有識者と公正取引委員会の事務局、オブザーバーの総務省の3者で議論を行った。

 公取委は提示した資料の中で、4つのポイントを示している。1つ目は接続料の引き下げについてで、それを誘引するような策が必要ではないかと指摘し、接続料に影響する設備コストの削減についても、3社寡占の状況では競争が十分に促進されていないとしている。

 2つ目のポイントは、総務省の周波数の割り当てに際してで、接続料の引き下げの実績も考慮すべきではないかと提案された。これについては、オブザーバーの総務省から、公取委の考えは新規参入の事業者には大きく不利になることや、MNOが割り当てに必ずしも名乗りを上げるとは限らないこと、割り当てが定期的に行われるものではないこと、審査の項目がその時々の情勢に応じて変わっていることなどを解説。公取委の提案は、実効性が伴わない可能性があると、反対に近い意見が出された。

 なおこの議論に関しては有識者から、周波数の割り当てについて、総務省が裁量的に決めるのではなくオークションで決めたほうがいいという意見も多い、と指摘されると、総務省からは、(接続料などとは)別の観点からオークションを現在検討している段階であると回答された。

 3つ目のポイントは、接続料の検証や透明性の確保が重要とするもので、有識者や専門家からなる定期的な議論をもとに、接続料が適正な水準かどうか、具体的かつ定期的な検証を行うことを提案している。

 有識者からは、接続料の算定基準に関連し、例えば申請されたコスト通りの設備が導入されているかどうかを検証するといった、現在よりも厳しい検証体制が必要という声も聞かれた。

 4つ目は、接続料の算定は実績に応じて年度末に決まり、MVNO側が年初に事業計画を立てづらい点を解消すべきというもので、4月に閉会した総務省主催の検討会でも議論されたように、当年度精算の実現に向けて動き始めていることが総務省から紹介された。

 第2回の会の構成を俯瞰すると、公正取引委員会は「接続料」に関する議論を、改めて提起する狙いがあるとみられる。携帯電話業界では長く議論されてきたテーマではあるものの、ほかの業界や一般から見ると複雑な背景・要素が多いことや、携帯電話業界の中でも接続料に関して、議論や課題が、綺麗に決着していないという現状がある。公正取引委員会では、こうした現状は、総務省が及び腰を続けてきた結果とみているようだ。

 次回、公取委の意見交換会の第3回のテーマは「消費者アンケートの分析を通じた競争政策上の課題について」となっている。