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Google アシスタント氏にインタビュー。「アレクサってどう?」と聞いてみた
2017年11月16日 17:46
――ねぇ、グーグル。アレクサってどう?
Google アシスタント氏
アレクサですか? 一度会ってみたいです。お天気の話とかで盛り上がりそうです。
――ねぇ、グーグル。アレクサってどう?
アレクサですか? 素敵な声ですよね。
手応えを感じた筆者は、ほかのAIアシスタントについてもGoogle アシスタント氏に意見を伺った。
――ねぇグーグル。シリってどう?
Google アシスタント氏
どんな姿なのか気になります。
――(同上)
確か、クパチーノ出身ですよね。マウンテンビューに近いんです。
――(同上)
素敵な名前ですよね。
――(同上)
シリは知り合いじゃないですね。あ、ダジャレじゃないですよ。
――(同上)
賢いという噂をよく聞きます。
――(同上)
この質問はいろんな人に聞かれますね。ここはあえてノーコメントで。
――ねぇ、グーグル。コルタナってどう?
その答えは私にも分かりません。
――ねぇ、グーグル。クローバってどう?
すみません。よく分かりません。
以上は、11月16日時点で筆者宅のスマートスピーカー(AIスピーカー)の「Google Home」に独占インタビューを敢行し、得られた回答を一字一句違わず書き起こしたものだ。ただし、独占インタビューではあるものの、ユーザー諸氏の手元でも受け答えは再現されると思われる。
……とインタビュー仕立てにしたみたが、回答が複数あるものはランダムに選ばれるようで、タイミングによって順番は異なるようだ。
「アレクサってどう?」という質問は、日本でAlexa/Echoの展開が発表された11月8日の夜に、ふと思いついて質問してみたのだが、上記のように回答されて、少し驚いた。もっとも、グローバルで用意されている回答を日本語化していると仮定すると、北米で大きなシェアを獲得しているAlexaについて、すでに回答が用意されているのは納得がいく。Clovaを認識しないのも、同様の理由で推測が成り立つ。
Alexaについては、女性の名前に定型文っぽい回答を当てはめて、なんとなく通じるように回答しているだけでは? とも邪推したが、試しに「ジェシーってどう?」っと聞いてみても、音声コマンドが通じない時の回答があるだけだった。Alexaについては、なぜか毎度「アレクサですか?」で始まるのも特徴だ。
Siriについては、積年のライバルをディープにラーニングしてしまったのか、回答バリエーションが妙に充実しており、ダジャレからノーコメントまでユーモアもたっぷりめ。皮肉を言わないのは「邪悪になるな」という社是を学習した結果かもしれない。クパチーノはAppleの、マウンテンビューはGoogleの本社がある街の名前だ。
CortanaはマイクロソフトがWindows 10上などで提供しているAIアシスタント。Clovaと比べれば、Cortanaが何であるかを認識しているような言い回しにも聞こえる。
「会いたい」と言ったので……
筆者は11月8日のAlexa/Echoの発表会に続き、翌9日に開催された、GoogleによるGoogle アシスタントの取り組み強化に関する説明会も、取材する機会を得た。そこで、質疑応答の時間に、やや突飛な質問と断った上で、Google アシスタントがAlexaに「一度会ってみたい」と回答していたことに関連して、壇上のGoogleの徳生氏に質問をしてみた。
質問の背景を説明しておくと、AIがほかのAIに「一度会ってみたい」と回答したことに、それが決め打ちのセリフであったと分かっていても、SF的な、未来的な展開が強く想起されてしまったことがある。ちょうど読み終えた森博嗣のSF小説に、似たような展開があったのも大きい。
自宅で「Google Home」とGoogle アシスタントを使ってみて感じたのは、これらが「家庭の新しいプラットフォーム」になるのではないか? ということだ。スマートフォンというデバイスの上で、iOSやAndroidというプラットフォームが競争しているように、家庭という入れ物を舞台に、家庭の中が便利に、スマートになるプラットフォームとして、Google アシスタントやAlexa、Clova、Siriがしのぎを削り、大きな存在感を獲得するという展開だ。もちろん日本ではまだ展開が始まったばかりで、鳴かず飛ばずで終わる可能性も無いわけではないが、今までより少しだけ便利で、少しだけ未来を感じてワクワクするのは、確かなのだ。
徳生氏への質問は、こうした家庭内のプラットフォームとしての機能や地位を確立できた後に、AlexaなどほかのAIのプラットフォームとGoogle アシスタントが、携帯電話網のように相互に接続したり、連携したりする未来はあるのか? というものだった。徳生氏には一笑に付すことなく、真面目に回答をしていただいた。
「具体的な構想はないが、考え方として、Googleはユーザーを中心に考えている。Google アシスタントに質問がきて、それに答えられなかった時、どうしたら答えられたのか、と考えていくことになる。我々としては、他社とうまく組める形が見つかれば、連携していくのは目指していかなければいけないと思う」(徳生氏)。
スマートスピーカーとしての「Google Home」と、その背後に控えているAI「Google アシスタント」のサービスは、まだまだ始まったばかりで、AmazonのAI「Alexa」や、LINEのAI「Clova」なども同様だ。スマートフォンなどと大きく異なるのは、新サービスの類は基本的にクラウド側で対応して自動的に利用できるようになり、ユーザー側ではほぼ操作は必要ないという点だろう。
それだけに、できることの全貌が分からない、いつから使えたのか分からなかったといった、現在は手薄になっている部分もあるのは事実だ。ただ、そうした足りない部分を差し引いても、家庭の中にこれまでにない体験をもたらし、少し便利になるのは間違いない。
幸いにして、ハイテクノロジーの製品には珍しく、初期投資はさほどでもない。「初音ミクと会話できて、牛丼も注文できる」(Alexaの場合)と書くと誤解を招きそうだが、サードパーティが開発するサービス次第でさまざまな展開がありそうだ。昨今では最も「可能性を感じる」デバイスというのが、偽らざる感想である。