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KDDI、月額40円~のIoT向け通信サービス「KDDI IoT コネクト LPWA」
2017年11月16日 17:42
KDDIは、IoT向け通信技術を活用した新サービス「KDDI IoT コネクト LPWA(LTE-M)」を2018年1月より提供する。LTEのIoT向け通信規格「カテゴリーM1(Cat.M1)」に低消費電力化技術などを組み合わせて導入して実現する。
通信量や利用する回線数に応じて料金が異なる。最も安い場合で、1回線あたり月額40円(500万1回線~1000万回線、月間10KBの場合)になる。通信量が上限を超えると、別途料金がかかる。通信モジュールは1円玉サイズ。リアルタイムにSIMの有効・無効化が操作できるほか、SIMから発行した暗号鍵で不正アクセスを防ぐオプション(月額10円)なども用意される。
現場に行かずとも、遠隔操作で状況がわかるようにするデバイス管理機能が提供される。オプションとして遠隔で設定する機能、ファームウェアを通信経由で更新できる機能もある。
通信方式とその工夫
通信方式としてLTE-Cat.M1を採用。既存のLTE用基地局設備を活用する。下り上り最大1Mbpsで、バッテリー寿命は10年以上、基地局のカバー範囲は10km~で、ハンドオーバーやデバイスの通信経由でのファームウェア更新(FOTA)をサポートする。LTE-Mとも呼ばれ、グローバルで見ると、北米の2社、オーストラリア、UAE、トルコに続き4カ国目の導入になるという。LTE-M専用の周波数帯というわけではなく、一部の帯域を通常のLTEおよびLTE-Mの両方で利用する。
省電力にするため、電波を探す感覚を伸ばすeDRX(extended Discontinuous Reception)や、サーチそのものを止めるPSM(Power Saving Mode)という仕組みを導入。通常のLTE端末は1.28秒間隔で電波を探しているが、eDRXでは最大43分間隔にできる。PSMは最大13日間、サーチを休める。
またエリアを広くする技術として、同じデータを最大32回まで送信するようにした。これにより、電波が弱く、データの受渡しがうまくいかなくても、データを徐々に受け取るようにする。電波が弱くともデータが受け取れるのであれば、その分、エリアが広がる、ということになる。見通せる場所であれば5km以上、エリアが広がる効果があるという。
こうした仕組みは、那覇で実施したIoTゴミ箱実験や、福島での実験で検証してきた。たとえば福島での実験は、通常は電波が弱い体育館にあるトイレで、データが届くことがわかった。
法人向けサービスだが、IoTが広がることで、たとえばゴミがあふれる前に検知して回収したり、ウォーターサーバーの水が少なくなれば配達があったりするなど、普段の暮らしでも新しい体験が広がると期待できそうだ。
データ活用で収益化
説明を行ったKDDIビジネスIoT企画部長の原田圭吾氏は、2015年~2016年、実証実験(PoC、Proof of Concept)やスマートメーターでIoT向け契約数が増えたと解説。「よくIoTが指数関数で増えていくという予測があるが、実績としてそれが始まっている」とIoT時代が本格化してきたことを示す。しかし現在は普段のコストが1000円、2000円かかること、あるいは電源の確保が課題だった。
そこで導入されるのが「KDDI IoT コネクト LPWA」だ。単三電池2本で10年稼働し、どこでもIoT機器を設置できること、地下室やマンホールの中などもエリア化できることがメリットに挙げられている。
回線数や通信量といった条件はあれど、1回線あたり月額40円というプランは他社との差別化を狙ったもの。原田氏は「40円でビジネスになるのか、それでいいのかと思われるだろう」と切り出し、IoTデバイスで得たデータを処理するソリューションで収益を得るというプランを披露。たとえば約1年前に登場した「IoTクラウドCreator(クリエイター)」は、IoT向けアプリ、サービスをいわゆるアジャイルで開発し、スピーディに改善を図る仕組みを提供。どんどん回してウォーターフォールで漠としたニーズに対応していく。
なお、IoT向けに通信回線やソリューションを提供する傘下のSORACOMについてはネット経由での提供が多い一方で、KDDIは営業部隊を抱えており、提案先が異なると説明。導入規模などで棲み分けができるとした。