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「HUAWEI P9」で目指した妥協なしのスマホカメラ――Leica×HUAWEIの開発秘話

HUAWEI P10 Plus LEICA M10
HUAWEI P10 PlusとLEICA M10

 ファーウェイ・ジャパンとライカカメラジャパンは、スマートフォンカメラついての説明会を実施。「HUAWEI P9」にて、両社がコラボレーションした取り組みの背景を紹介した。

 カメラレンズに「Leica」を冠した初のスマートフォン「HUAWEI P9」がグローバルで発表されたの2016年4月。ファーウェイとライカの物語は、その2年半前から始まる。

 きっかけは2013年の冬、カメラ品質の向上を目指していたファーウェイがライカに共同開発を持ちかけたことだった。ファーウェイの度重なるアプローチに対し、カメラの名門ライカは断りつづけた。

 風向きが変わったのは翌2014年の夏。この頃ライカは、シェアが拡大するスマートフォンにカメラの技術を投入したいと考えるようになり、ついにファーウェイとライカのトップ同士の対談が実現した。即座に提携が成立し、両社合同の開発チームが立ち上がった。

 そこから「P9」の発表までは約2年弱。“Leica水準”をスマートフォンに適用するため、両社はひたすら品質改善プロセスを重ねてきたという。

 そもそもスマートフォンのカメラモジュールは、厚さ5mmにも満たない部品にすべての機能が詰めてこまれているもの。ライカの持つデジタルカメラの製造ノウハウをそのまま利用することはできない。

 一方で、そのスマートフォンのカメラで実現しようとしたのはライカの試験基準と同水準のもの。ファーウェイの基準の数倍厳しいもので、例えば色彩の再現性では、ファーウェイ基準の数倍多い色数を正確に再現する必要があった。

 結果、量産に難航し、当初の「HUAWEI P9」のプロトタイプのカメラユニットは、100個作って基準をクリアしたのは10個以下という状況だった。

 製品発表の直前まで試作を続け、ついにLeicaの厳しい品質基準をクリアしたのが「HUAWEI P9」だ。その後両社は、「HUAWEI Mate 9」「HUAWEI P10/P10 Plus」とLeicaブランドを冠する端末を投入しながら改良を重ねている。

 ファーウェイ端末のライカカメラでは、ライカオリジナルのカメラとは違ったアプローチで、“ライカ画質”を追求している。もっとも特徴的なのはモノクロとカラーの2つのセンサーを搭載するダブルレンズカメラになっていること。モノクロ撮影のくっきりした写真とカラー写真を合成することで、スマートフォンのカメラながら解像感の高い写真を撮影可能とした。

 ほかにも、人物の顔の特徴点を認識して露出を調整するポートレートモードや、背景を抽出してぼかしをかける機能など、スマートフォンならではのアプローチも取り入れられている。

 色彩、フォーカス、ひずみなどさまざまな観点から客観的、主観的な評価を重ねるライカの品質検査「ライカスタンダード」は、ファーウェイのLeicaレンズ搭載端末においても実施されている。主観的な画質評価では、約100カットの指定された写真をライカの専門家が評価し、お墨付きを与えているという。

 また、ファーウェイからは11月28日に“次世代スマホ”を発表すると予告された。グローバルではライカブランドを冠する新たなスマートフォンとして、「HUAWEI Mate 10/Mate Pro」が発表されており、この端末の日本への投入が見込まれる。

ライカカメラジャパン 企画部 リーダー 米山和久氏

 ライカからはライカカメラジャパン 企画部 リーダーの米山和久氏が登壇。100年におよぶライカの歴史や近年のラインナップが紹介された。米山氏のプレゼンテーションではファーウェイとの取り組みに対する直接的な言及はなかったが、記者からファーウェイとの提携の意義を問われた際には、「大きく1つには、ライカの名前を広げること。お互いいいものづくりを行うことでWin-Winの関係になっていくのではないか」(米山氏)と語られた。

ライカ銀座店のショーケースにはHUAWEI P10も並ぶ