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ソフトバンク2017年度上期決算、仕切り直しのSprint事業などを解説
2017年11月6日 20:22
ソフトバンクグループは、2017年度上期(4~9月期)の決算を発表した。11月6日に開催された決算説明会には、ソフトバンクグループ 代表取締役会長兼社長の孫正義氏が登壇し、直近の取り組みや決算について解説した。
ソフトバンクグループの2017年度上期の売上高は前年同期比3%増の4兆4111億円、営業利益は前年同期比35%増の8748億円、当期純利益は前年同期比87%減の1026億円になった。当期純利益については、前年同期のアリババとスーパーセルの売却益およびデリバティブ損失を除いた場合、“実質42%増”の4491億円になるとしている。
国内通信事業は、2017年度上期の営業利益は4340億円で、前年同期比で7%減。その要因については、順調に進んでいるという新規顧客の拡大のための費用が先行投資としてかかったとし、具体的には「おうち割 光セット」の顧客獲得費用や、「Yahoo!ショッピング」におけるポイント10倍といった施策の費用を挙げている。
一方、大容量プランが「じわじわとヒットしている」(ソフトバンクグループ 代表取締役副社長の宮内謙氏)ことなどもあり、スマートフォンの純増も拡大、2017年度上期は前年同期比33%増の81万件の純増になったとしている。
国内事業ではこのほか、FinTech事業として手がける、みずほ銀行との合弁事業で開始したAIスコア・レンディングのサービス「J.Score」が好スタートを切ったとしたほか、国内向けに、セキュリティ関連などさまざまなサービスが今後登場することを予告。これらの多くは、10兆円規模で始めた「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)による投資の結果、もたらされるサービスであることを示した。
SprintとT-Mobileの合併交渉打ち切り、今後について
孫氏からは、決算説明会の冒頭に、米Sprintと、北米第3位のキャリアであるT-Mobieとの合併交渉を正式に打ち切ったことが報告された。
孫氏は、下位の通信事業者を合併するなどして、北米の2大キャリア(AT&T、Verizon)に対抗していくことが、そもそも北米の通信事業に進出する際の基本戦略だったと振り返った上で、合併後の事業の経営権を持つことにこだわり、「単独の経営権でなくても(T-Mobileと)イコールの立場での合併も選択肢としてあった」とするものの、T-Mobileとは最後まで話がまとまらなかったことや、ソフトバンクの取締役会でも「経営権を手放してまで合併するべきではない」との意見でまとまったことから、合併交渉を見送ることになったと、経緯を語った。
一方で、孫氏は、ソフトバンクグループやSVFが進める、地球規模のIoTやAI関連の戦略において、市場の大きな北米の通信キャリアの経営権を維持することは、「根幹的」で「戦略的」なことと改めて位置付け、合併交渉の中止にあわせて同社はSprintの株式を追加取得、北米で通信事業を自ら手がけることについて「その意思を明確にした」(孫氏)としている。
Sprintは5G時代に有利とする2.5GHz帯の周波数帯を多く持つことから、「5Gになると最も有利。先行きが楽しみで、これから数年でそれがやってくる」と、今後の事業展開も有利とするコメントを残している。
なお、今後のSprintと他社の合併などについては、「なんでもあり」とあらゆる可能性があるとした。また、すでに話が上がっているUberへの出資については「前向きに検討している。だが、最後までわからない。条件次第では投資先をLyftにすることも十分あり得る。ぎりぎりまでわからない」としている。
孫氏からはこのほか、SVFの「1案件が平均1000億円規模」という直近の投資案件が紹介されたほか、サウジアラビアが新たな沿岸都市を造成する計画に参画することや、同国の電力の独占企業であるサウジ電力に大株主として参加する計画で、太陽光発電などを大規模に展開する方針を明らかにした。