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Apple Payは個人間送金、iPadのUIも進化、AR対応やApp Store強化も――アップルがiOS 11発表、今秋公開へ
2017年6月6日 06:19
アップルは5日(現地時間)、開発者向けカンファレンス「WWDC17」の基調講演で、iOSの最新バージョンとなる「iOS 11」など各プラットフォーム向けOSの新バージョンを発表した。いずれも本日より開発者向けに公開され、6月中にパブリックベータも公開され、一般向けのアップデートは今秋に配信される予定。
Apple Pay、ユーザー同士で
iOS 11の新機能としては、Apple Payによるユーザー間の送金が可能になった。「メッセージ」アプリのiMessageでTouch ID認証で簡単に送金し、受け取った「Apple Pay Cash」はApple Payとして別の決済に利用したり、銀行口座に送金もできる。ただしこの個人間送金はアメリカのみの対応で、iPhone SE/6以降、iPad Pro、iPad Air 2/mini 3以降、Apple Watchで利用できる。
メッセージングアプリはマルチデバイスで同期
メッセージアプリは会話内容をiCloud同期できるようになり、多数のデバイスで共有したり、乗り換え時に過去の会話を保存したり、各デバイス上でのストレージを最適化することが可能になっている。
カメラの強化
カメラ機能としては短い動画付き写真「Live Photos」の編集機能が強化され、好きな瞬間をキーフレームとして設定したり、ループやバウンス(逆再生ループ)、長時間露光写真などを作れるようになった。また、ポートレート写真も強化される。動画と写真の圧縮にも、H.265/HEVCやHEIFといった新技術を採用することで、圧縮効率を向上させている。
マップアプリ
マップアプリも強化され、カーナビ時は車線指示に対応したほか、大きな商業施設などでインドアマップにも対応している。どちらの機能も日本でも対応予定。また、運転中であることをiPhoneが認識すると、自動でモードが切り替わり、通知を表示しなくなったり、運転中である旨を自動返信するような機能も搭載される。
App Storeが新デザインに
App Storeは完全新デザインとなり、とくにニーズの大きい「ゲーム」が独立したタブとなった。開発者向けにもアプリレビューの高速化やレビューの改善などの新機能が提供される。
Siriに翻訳機能、ただし日本語非対応
Siriも強化され、ベータ版として英語から中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語への翻訳機能が追加された。また、ニュース(日本提供予定なし)、キーボード、Safariといったアプリでも、機械学習により最適な推測提案が行なわれる。
新しいUIで「Dock」
UIの変更としては、コントロールセンターが大幅にデザイン変更されたほか、とくにiPadではmacOS風のDockが採用され、Appスイッチャー画面もアプリの縮小画面が並ぶmacOSの「Mission Control」のようなデザインとなった。
iPadのマルチタスキング機能であるSlide OverとSplit Viewも強化され、2つのアプリ間でドラッグ&ドロップ機能も強化されている。デモでは複数の写真をマルチタッチで選択し、そのままAppスイッチャー画面でアプリを切り替え、別のアプリにドロップする操作などが披露されている。
サードパーティのクラウドも
またiPad上のiOS 11の新機能として、各アプリのデータを横断的に扱えるファイルアプリも追加される。従来から「iCloud Drive」アプリではiCloud Driveを扱うアプリのデータを横断的に扱うことが可能だったが、新しいファイルアプリではDropboxやOneDrive、Creative Cloudといった、サードパーティのオンラインストレージのファイルも扱えるようになっている。
iPad ProではApple Pencil強化
iPad ProではApple Pencilの機能も強化され、スクリーンショットやPDFに簡単に注釈を加えたり、ロック画面で簡易メモの作成、メールやメモアプリのインライン手書きスケッチ、カメラによる書類の読み取りと手書きの追加などの機能が強化されている。手書きメモはインデックス化され、あとで検索も可能となる。
また、iPadのスクリーンキーボードは下フリックにより記号入力が可能になる。
ARのAPIも
アプリ開発者向けの新機能としては、サードパーティアプリとSiriの連携の強化やiPhone 7 Plusのデュアルカメラなどに加え、機械学習やARなどの新しいAPIも提供される。
iOS 11の対応機種はiPhone 5s以降、iPad Air/mini 2以降、第6世代iPod touch。iOS 10に比べると、Apple A6チップセットのiPhone 5/5cと第4世代iPad(Lightning端子搭載のRetinaディスプレイモデル)が除外され、32bitCPU機種がサポートされなくなっている。
WWDCではこのほかにも、watchOS 4やmacOS High Sierraも公開された。watchOS 4はアクティビティ機能が強化されるほか、Siriのウォッチフェイスが追加され、Siriが学習した各データをリスト表示したりできる。