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サムスン、「Galaxy S8」「Galaxy S8+」を発表

「Gear 360」の新モデルも登場

 サムスン電子は、同社のAndroidスマートフォンのフラッグシップモデルとなる「Galaxy S8」「Galaxy S8+」の2モデルと、360度カメラ「Gear 360」の新モデル(SM-R210)を発表した。Galaxy S8シリーズは4月21日より販売が開始されるが、日本での発売についてはアナウンスされていない。

画面はより縦長・細長い比率18.5:9を採用

 いずれのモデルも、従来のスマートフォンに一般的な16:9よりもさらに縦長な、サムスン電子が「Infinity Display」と呼ぶ、縦横比18.5:9のSuper AMOLED(有機ディスプレイ)を搭載している。同様のコンセプトとしては、2月末に発表されたLG電子の「LG G6」(縦横比18:9)があるが、Galaxy S8シリーズの方がやや縦長となっている。

 ディスプレイの解像度はいずれのモデルも2960×1440。前モデルのGalaxy S7(2560×1440)から横解像度は同じだが、ディスプレイが縦に長くなった分、解像度も縦に長くなっている。

 ディスプレイのサイズはGalaxy S8が約5.8インチ、Galaxy S8+が約6.2インチとなる。いずれも左右端が曲面となっているエッジディスプレイで、Galaxy S7シリーズではラインナップされていたフラットディスプレイモデルは、S8シリーズでは用意されていない。

 0.1インチ以下の数字は公表されていないため誤差があるが、計算上のディスプレイの横幅は、Galaxy S8+が約68.9mmで、Galaxy S7 edge(5.5インチの16:9ディスプレイ)の約68.5mmとほぼ同等となる。Galaxy S8は約64.4mmで、5.2インチの16:9ディスプレイの横幅とほぼ同等になっている。

 面積で全モデルGalaxy S7 edgeと比較すると、Galaxy S8は約2.4%増、Galaxy S8+は約16%増となる(縦横比率が違うので、長さの二乗比にならないことに留意)。

 端末自体の横幅は、Galaxy S8が68.1mmで、日本未発売のGalaxy S7(5.2インチのフラットディスプレイ搭載)の69.6mmよりもやや小さい。Galaxy S8+の横幅は73.4mmで、Galaxy S7 edge(5.5インチのエッジディスプレイ搭載)の72.6mmよりやや大きくなっている。

 ディスプレイが細く、縦長になったことで、横画面(ランドスケープ)表示のときは、映画などのより横長ワイドの動画を再生する際、何も表示されない黒帯の領域を狭く、画面を最大限に使って表示できる。

 Webブラウザやメール、各種アプリのメニュー表示など、横幅が決まっており、縦にコンテンツが伸びるタイプの表示では、1度に表示できる情報量が16:9ディスプレイに比べ、約15.6%増えている。ただし従来のGalaxyと異なり、ホームボタンがソフト表示になったので、通常のアプリではその領域にコンテンツは表示されないが、残りの領域だけでも16:9ディスプレイよりも縦長になる。

 マルチウィンドウ機能で2つのアプリを並べて表示できるのは従来機種や他のAndroid 7.0搭載端末と同様だが、その状態で文字入力する際、シングルディスプレイに切り替わらずに、マルチウィンドウ状態のままソフトキーボード表示が可能となった。

 アプリの特定の箇所を切り取って、画面上に常時表示させておける「Snap Window」機能も用意されている。

メカニカルなホームボタンを廃止し、ソフト表示に

 従来のGalaxyシリーズではディスプレイの下に搭載されていたホームボタンは、画面内のソフト表示に変更された。ホームボタンが表示される位置には感圧センサーも搭載され、ロック解除時などは押し込むことでロックが解除される。押し込んだときに押し込んだ感覚を震動で表現するハプティック機能もある。指紋認証センサーは本体背面、メインカメラ部の右に搭載される。

 Galaxyシリーズではホームボタン左右のバックボタンと履歴ボタンが一般的なAndroidと左右逆だったが、ホームボタンを画面内のソフト表示とすることで、その左右のボタンの位置を入れ替えることが可能になった。

 ディスプレイの縦長化とホームボタンのソフト表示化により、従来のモデルに比べると、本体の上下が大幅に狭額縁化し、デザイン面での特徴になっている。ホームボタンがシンボルとなっていた従来のGalaxyシリーズはもちろん、他者のスマートフォンともひと目見て違いがあるデザインとなる。

 Galaxy S8/S8+ともに、ディスプレイは左右端が曲面となったエッジディスプレイを採用し、左右のベゼルの狭い狭額縁デザインとなっている。前面側の左右は、エッジディスプレイのため曲面になっているが、背面の左右も同様に曲面となっており、上下から断面方向を見ると、左右端が前後対称の半円状となり、手にしたときに手に馴染みやすい形状となっている。

 背面はガラス、側面はメタルフレームが採用されていて、カラーごとにメタルフレーム部の色も異なっている。前面パネルはカラーを問わずブラックで統一されている。

 ただしディスプレイの上下のベゼルはかなり狭額縁化しており、前面パネル部は非常に面積が小さくなっている。面積は小さいが、ディスプレイ上側にはインカメラと虹彩認証カメラ、通話用スピーカーなどが内蔵されている。

 端子類は下端に集中していて、中央にUSB Type-C端子、その脇にイヤホン端子がある。右側面には電源キーがあり、左側面には音量キーに加え、新機能のBixbyのためのキーも搭載される。SIM/microSDカードスロットは上端側で、形状はトレイタイプ。

カメラはGalaxy S7に引き続きデュアルピクセル対応

 Galaxy S8シリーズはいずれのモデルも、メインカメラには前モデルで好評だった12メガピクセルのデュアルピクセルカメラを引き続き搭載。F1.7の明るいレンズや光学式手ブレ補正機能、3枚の写真を合成し、ブレを抑え、コントラストを最大化するマルチフレームテクノロジーで、さまざまな場面を美しく撮影できる。

 F1.7、8メガピクセルのインカメラにもオートフォーカス機能が搭載され、手ブレを抑えたセルフィーを撮影できるようになった。

 カメラまわりの機能では、さまざまなフィルターやフェイスマスクで撮影の楽しさを演出するほか、シャッターアイコンをスライドさせることでズーム操作が行える機能も用意。

 ギャラリーアプリも進化し、クラウド連携によりフォルダを細かくカテゴライズする機能や、スクリーンショットを記録したWebサイトにアクセスする機能、ストーリーを自動作成してシェアする機能などが追加されている。

インテリジェントなユーザー支援インターフェイス「Bixby」

 ユーザーインターフェイスとしては新たに「Bixby」(ビックスビー)を搭載。商品やランドマークなど、調べたいものにカメラを向けるだけで検索できる「Vision」、話すこととタップ操作を組み合わせて複数のアプリにまたがる作業が行える「Voice」、ユーザーの行動履歴からTPOに合わせたレコメンドを行う「Home」、側面のBixbyキーからアクセスでき、時間だけでなく場所にも紐づいた備忘録「Reminder」といった機能を用意し、スマートフォンの新たな使い方を提案する。

 ホーム画面1ページ目を右にスワイプして表示される画面は、従来はプリインストールのニュースアプリなどだったが、Galaxy S8シリーズではBixbyの画面となっている。Bixbyの音声は、現状では日本語に対応していないとのこと。

 Galaxy S8/S8+は、専用クレイドル経由でHDMI接続のディスプレイやマウス、キーボードをつなぐことで、デスクトップPCのように使える「Samsung DeX」という新機能に対応する。DeX対応の各種AndroidアプリをパソコンOSのように、マルチウィンドウ表示で利用できる。

 このほかにも、IoT機器と連携を簡易化するSamsung Connect、健康管理やフィットネス管理を行うSamsung Health、全世界で870以上の銀行などと提携しているSamsung Payなどの機能も搭載している。

 パフォーマンスの面では10nmプロセスのチップセットを搭載。性能の向上とともに低消費電力化を図っている。メモリー(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は64GBで、外部ストレージは最大256GBのmicroSDに対応する。

 Galaxy S8+の本体サイズは159.5×73.4×8.1mmで、重さは173g。Galaxy S8の本体サイズは148.9×68.1×8.0mmで、重さは155g。

 バッテリー容量は、Galaxy S8が3000mAh、Galaxy S8 Plusが3500mAh。充電端子はUSB Type-Cで、WPC(Qi)とAirfuelの非接触充電にも対応する。IP68の防水防塵にも対応。ボディカラーは、Galaxy S8/S8+いずれもMidnight Black、Orchid Gray、Arctic Silver、Maple Gold、Coral Blueの5色。パッケージにはAKGの高音質イヤホンも同梱される。

「Gear 360」の新モデル、Gear VR向けコントローラー

 サムスンは、360度カメラのGear 360の新モデルもあわせて発表。丸い独特の形状だった前モデルと比べると、球体のレンズ部が小さくなり、下にグリップ部が設けられた。レンズ部をコンパクトにすることで、歪みの補正やスティッチングの性能を向上させ、処理時間の短縮にもつながったという。

 4K(4096×2048ドット、24p)の360度動画の撮影や、15メガピクセルの360度静止画の撮影に対応。YouTube、Facebook、Samsung VRといった対応サイト上で、1920×960ドットの360度映像をリアルタイム配信することも可能になった。

 接続できるデバイスについては、従来はGalaxyのフラッグシップモデルのみとなっていたが、新たにA5、A7(2017年モデル)をサポート。さらにiOSでも利用できるようにした。パソコンも従来のWindowsに加え、macOSもサポートされる。

 大きさは100.6×46.1×45.1mm、重さは130g。前モデルと同じくIP53の防滴防塵に対応する。こちらも充電端子はUSB Type-Cとなっている。

 専用コントローラーの付属したGear VRも登場する。Gear VR自体は変わっていないが、コントローラーにはモーションセンサー、カーソルキー、トリガーボタン、ホームやバックボタンがあり、Gear VR装着中でもさまざまな操作が行えるようになっている。