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クアルコムが「aptX HD」などオーディオ技術を解説、対応製品は今冬拡大

LG「isai beat」やオーディオテクニカのBluetoothヘッドホンが対応

 クアルコム ジャパンは、Bluetooth用コーデックとして開発されている「aptX HD」や、オーディオ製品向けのデジタルアンプ「DDFA」(Direct Digital Feedback Amplifier)など同社のオーディオ関連の技術を解説する説明会を開催した。対応製品は今冬に拡大する予定で、スマートフォンやヘッドホンのメーカーから担当者も登壇、技術や製品の特徴を語った。

「aptX」とは

 「aptX」(アプトエックス)は、Bluetoothで標準搭載されるオーディオ用コーデック「SBC」(SubBand Codec)とは異なり、オプションとして提供されているコーデック。「aptX」を利用するにはスマートフォンなどの送信側、ヘッドホンなどの受信側の双方で規格に対応している必要があるものの、SBCとは異なるアルゴリズムにより、高音質なオーディオの再生が可能になっている。

 SBCは聴覚心理モデルに基づき、16kHz以上の高音域を一律にカットすることが知られている。AACも同様に聴覚心理モデルを採用しており、256kbpsでは20kHz以上がカットされる。AAC 320kbpsでは高音域もカットされないとされるが、iPhoneでは再生時に256kbpsに再エンコードされるため、ユーザーの利用シーンにおいては、多くのケースで20kHz以上がカットされた再生になるという。

 aptXはこれら聴覚心理モデルと比較して、4:1の固定圧縮アルゴリズムを採用し、高音質を担保している。また録音スタジオや放送局の無線設備に採用されるなどプロの音響分野で実績があるほか、サラウンド規格のDTS 5.1chなども、aptXの圧縮アルゴリズムがベースになっているという。

 パケット構造も、SBCはBluetoothパケットに最適化されていない側面があるが、aptXは「aptX ワード」として細切れにしたデータをBluetoothパケットに詰め込んで無駄を省き、デコードは随時行うなど効率化されているのが特徴になっている。

 aptXは、低遅延に対応したaptX Low Latency(aptX LL)、そして24bit対応を果たした「aptX HD」と、規格を進化させている。

解説を行ったクアルコムCDMAテクノロジーズ マーケティングマネージャーの大島勉氏

「aptX HD」

 「aptX HD」は、aptXの圧縮アルゴリズムなどはそのままに、16bitから24bitに8bit分だけ拡大したという規格。プロの音響分野などで実績のある24bitのアルゴリズムをBluetoothに採用したと位置づける。24bit 48kHz(576kbps)にまで対応し、S/N(SNR、SN比)は129dBを実現。独自のパケットエラー補正アルゴリズムも搭載した。

「isai beat」に「aptX HD」搭載

 対応製品の解説では、LG Electronics Japan マーケティングチーム 部長の金 東建(キム・ドンゴン)氏が登壇し、auから発売されたばかりの最新モデル「isai beat」(LGV34)が、「aptX HD」対応であることが解説された。HDではないものの、同社の「isai vivid」も「aptX」対応として紹介されている。

 LGはまた、スマートフォンに先駆けて、「aptX HD」対応のBluetoothイヤホン「HBS-1100」も発売しており、こちらも高音質モデルとして案内された。

 オーディオテクニカの担当者からも、Bluetooth対応ヘッドホンとして「aptX HD」もサポートしたモデル「ATH-DSR9BT」などが紹介され、今冬にこうした高音質なBluetooth対応ヘッドホンが多数登場することをアピールした。

オーディオテクニカ マーケティング本部 広報宣伝課 マネージャーの松永貴之氏

オーディオ製品向けデジタルアンプ「DDFA」

 説明会ではこのほか、オーディオ製品向けのデジタルアンプ「DDFA」も解説された。「DDFA」は音質面でアナログアンプに劣るとされてきたデジタルアンプに、独自のフィードバック回路とマスタークロック、高いプロセッサーパフォーマンスによる誤差解析を組み合わせて、S/Nが117dBなど、静特性などでアナログアンプを超える特性を実現したというアンプ。

 出席したディーアンドエムホールディングスの担当者からは、DENONブランドで小型のプリメインアンプやDACを、DDFA搭載モデルとして2015年からラインナップしていることが紹介された。まもなく発売されるというDAC/ヘッドホンアンプ「DA-310USB」にはDDFAの最新バージョンのチップが搭載され、この仕様などは2017年1月の「CES 2017」で詳細が明らかにされるとしている。

ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室マーケティンググループ マネージャーの宮原利温氏