インタビュー
中古スマホの最新動向
中古スマホの最新動向
買取価格アップの秘訣、SIMとのセットも~ドスパラに聞く
(2014/6/10 10:00)
スマートフォンが普及してから数年が経過し、スマートフォンからスマートフォンへ買い換えるケースが増えてきた。各キャリアの割引もあって、2年おきに新しい端末を購入する人も多いと思われる中、そろそろ2台目、3台目のスマートフォンを手にする人が増える、という時期になりつつある。
そうして買い換えていくと、手元にはかつて使っていたスマートフォンが徐々に余っていく。そうしたスマートフォンを中古として買い取る市場も盛り上がりを見せつつある。とくに最近はMVNOのサービスが話題になってきたことで、中古スマートフォンのニーズが増えている。たとえば2年ほど前に登場した、いわゆる“型落ち”のモデルでも、機種によっては買い取り金額は1万~2万円くらいになるという。そして“1年落ち”ならば3万円を超える機種も珍しくない。こうなると余ったスマートフォンを家で眠らせるくらいなら、売らない方が損という考えをする人もいるのではないだろうか。これから新品を手にする際も、売却を想定して高く売りやすい機種を選んだり、傷が付かないように扱ったりするといった工夫も効いてくる。
中古スマートフォンの分野には、パソコンなどで中古電子機器を取り扱ってきた事業者が多く参入している。今回は、中古スマートフォンの買い取りと販売について、全国各地に店舗を持つ「ドスパラ」を運営する、株式会社ドスパラのドスパラパーツ館 店長の鈴木 敏広氏と店舗事業部 リユース推進課の中谷 等氏、DLS事業部 DLS1課 サービス開発グループの倉内 順ノ介氏に話を聞いた。
「次に使う人が気持ち良く使える状態」
――スマートフォンの買い取りでは、どのようなお客さんが持ち込まれるのでしょうか。
鈴木氏
多いのは30代男性ですね。女性もいらっしゃいますが、ごく少数です。でも利用される方はどの世代でも利用されています。
――持ち込まれる端末はどのようなものが多いのでしょうか。
鈴木氏
そのときどきによって違いがありますが、やはりiPhoneはどんな時期にもあります。少し前まではiPhone 4sでしたが、いまはiPhone 5以降が増えています。
――キャリア各社も買い取りを実施していますが、その買取価格を見ると、一般の中古買い取り事業者の方がお得な感じがしますね。
鈴木氏
買い取り金額は私たちの方が高いですね。(ユーザーにとって)その点のメリットは大きいかと思います。あとは傷や付属品などの状態にもよりますが、高額買い取りができるので、売却をお考えの方は一度ご利用いただければと思います。
――持ち込まれる端末の状態はいろいろでしょうが、なるべく高く買い取ってもらうためには、どうしておくと良いのでしょうか。
鈴木氏
まず付属品はあった方が高くなります。しかし、それよりも一番重要なのは、実際に使えることです。あとは画面など目立つところに傷がないことですね。購入される方もそういったところは気にされます。傷が目立たないものであれば、付属品がなくても買い取り金額は高くなります。
――次に使う人が気持ちよいかどうか、ですね。
鈴木氏
はい。買い取ったものは当店でも整備しますが、やはり、(中古スマホを求める)お客さまはよりよいものを選ばれます。ケースや保護フィルムを使い、傷や汚れが少なければ、高くなる傾向があります。
ただ逆に、「動けば良い」という方もいらっしゃいますので、傷の目立つ端末も値段が安ければ買われる傾向があります。どのくらいの価格になるかは状況次第ですが、要らなくなった端末は是非一度、見せていただければと思います。
――バッテリーやディスプレイの劣化は?
鈴木氏
買い取りの査定で重視しているのは、次に買われる方が満足されることです。ディスプレイは重要なポイントなので、そこに問題があると厳しい査定金額になってしまいますね。
データの取り扱いは?
――買い取りを希望して、手元の余ったスマートフォンを持ち込む側としては、中のデータ消去が不安だったりします。ここはどのような対策を取られているのでしょうか。
鈴木氏
まず確実なのは、持ち込まれる方がご自身でデータが消えていることを確認することです。買い取り時、店頭での確認も行います。お預かりしたあとも消去し、データが残っていないことも確認します。さらに店舗だけでなく、別の部署でも消去作業を行います。そうして消去を確認できたものだけが、店頭で販売されます。心配される方もいらっしゃるかも知れませんが、責任を持って二重三重とチェックする体制を整えています。
中谷氏
別の部署での消去には、当社はRITEA(情報機器リユース・リサイクル協会)で認定された「Re-secure」というシステムを使っています。それを使い、全ストレージエリアにゼロデータを上書きすることで消しています。情報の消去は確実にやっています。
――おサイフケータイのデータ、つまりFeliCa内のデータはユーザー以外がアクセスできないかと思うのですが、そこはどうしているのでしょうか。
中谷氏
FeliCaに関しては消去できない部分になるので、お預かりするとき、お客さま自身がデータを移行・消去されているかどうかを確認しています。消去できていないものに関しては、私どもでは消去できませんので、一度お返しして、消去確認してからお持ちいただくようにしています。
買い取り価格がアップする日も
――買い取りにはどのくらい時間がかかるのでしょうか。
鈴木氏
店舗の状況によりますが、空いていれば早いです。空いている時間帯ならば、1時間かからないこともあります。
――そのあいだに買い物や食事に行くというのもいいですね。
鈴木氏
そういう方が多いですね。秋葉原ですと、ほかを回っているだけで1時間や2時間は経ちますからね。
――買い取りと端末購入を同時にすると割り引きになる、といったサービスはないのでしょうか。
中谷氏
現在はやっていません。しかし、ときどき買い取り金額アップのクーポンやキャンペーンなどをやっています。
鈴木氏
毎月3のつく日(3日/13日/23日)は通常の買い取り金額から5%アップというサービスを実施しています。そういった日をご利用いただくのとお得になります。
――人気が高いモデルは買い取り価格も高いのですか?
中谷氏
そうですね。
――MVNOというと、auのネットワークを使ったサービス(ケイ・オプティコムのmineo)も登場しました。au端末の買い取りや販売への反響はあったでしょうか。
中谷氏
まだそれほどの影響は出ていません。MVNOサービスが始まってから増えるかも知れませんが、ドコモほどの目に見える影響はありませんね。
――フィーチャーフォンの買い取りもされているのですか?
鈴木氏
はい、行っています。
中谷氏
フィーチャーフォンは新規販売が少なくなっていますが、欲しいという方は多いので、中古でお求めいただく方が多い傾向があります。ですので、当社でも買い取りをしています。
――フィーチャーフォンは昔の機種の方が高性能だったりしますしね。
中谷氏
そうですね。人気は根強いです。
海外端末は……
――海外端末の買い取りはされているのでしょうか。
中谷氏
基本的に日本の、いわゆる技適マークを取得していない海外端末は買い取りしていません。最近では国内で販売されているSIMフリー端末、iPhoneやNexusは買い取りをしています。
――たとえばiPhoneだとキャリアモデルよりSIMフリーモデルの方が高くなったりするのでしょうか。
中谷氏
いまだと1万円くらいの差がありますね。SIMフリー端末については、今後も新しく登場したものを買い取るなど、対応できる機種を増やしていく予定です。
――ドコモショップでSIMロック解除してから売ると高くなったりしますか?
中谷氏
SIMロック解除された端末は買い取りはしていますが金額は変わりません。ただし不正に解除された端末の買い取りはお断わりしています。
中古スマホの人気機種は?
――中古端末を購入するユーザーには、どのような方が多いのでしょうか。
鈴木氏
たとえばいま使っている端末に何かトラブルがあったとか、あとは必要な機能を目当てに、たとえばテザリングがない機種からの買い換えるような方もいらっしゃいます。
――買い取りを利用する方と、中古端末を買う方で、その傾向に違いがあったりするのでしょうか。
鈴木氏
店頭で良い端末を見つけたから、その場でいまの端末を買い取りに出し、新しい端末を購入する、というお客さまもいらっしゃいます。
あとはメインでスマホを使っているけど、そこと使い分けする端末選ばれる方もいらっしゃいます。たとえば持ち歩く端末は小さいものを選び、自宅のWi-Fiで使うために大きな画面の端末を選ぶとか。
――タブレットやファブレットが人気ということでしょうか。
鈴木氏
お客さんに「タブレットはいかがですか」とお聞きすると、「大きいよね」となることもありますね。片手で持てるサイズが良いけど、iPhoneだと小さい、と。そうした端末を自宅のWi-Fiで使われる方もいらっしゃいますが、そこにSIMを挿して外に持ち出す方もいます。そこでMVNOの格安プラン、という方もいらっしゃいますね。
――MVNOのSIMの販売などはされているのですか?
中谷氏
店頭で格安SIMのセット販売もしています。
倉内氏
現在、別々に購入するよりもいくらか安くなる、独自の割り引きも行っています。いまはMVNOもデータ通信専用が主流なので、VoIPサービスも一緒にして、“中古端末+格安データSIM+VoIP通話”といったものもおすすめしたりしています。
――販売側から見ると、どういった機種が人気なのでしょうか。
中谷氏
やはりiPhoneが根強いですが、MVNOの格安プランが増えている影響で、MVNOのサービスが使えるドコモのスマートフォンの人気が高まっています。その中でもXperiaシリーズの人気は高いですね。去年の春モデル、Xperia Z SO-02EやXperia A SO-04Eの人気が高いです。
――そのほかの機種はどうでしょう。
中谷氏
シャープのIGZO液晶搭載モデルなども、ものによっては安価で販売されていたりするので人気があります。また性能のわりに安いモデルはよく売れる傾向にあります。
独自サポートも実施
――中古端末を購入したあとのサポートはどうなっているのでしょうか。
中谷氏
通常保証として1カ月は初期不良対応をさせていただいています。そのほか、その端末の購入代金の割賦が支払われていない、いわゆる「赤ロム」もありますが、そちらは永久保証で対応させていただきます。
倉内氏
「モバイルセーフティーサービス」というドスパラ独自の保証サービスも用意しています。通常のスマートフォンなどの保証サービスは契約・購入時にしか加入できませんが、ドスパラの保証は、購入した店舗や時期を問わず、保証いたします。
――つまりその独自保証サービスでは、ドスパラ以外で買った端末でも加入できる?
倉内氏
大丈夫です。さらに「スマホお見舞い金サービス」として、通常の保証サービスでは対応できない物損や水没といった事故でも、修理代金に対して最大3万円までを保証いたします。こちらは、月額680円のサービスとなっています。
――キャリアの提供するサービスより若干高めですが、あとから入れるのは良いですね。
倉内氏
キャリアの保証サービスはたしかに安いのですが、物損や水没だと修理費が取られてしまいます。しかし当社のサービスではそこもサポートし、修理代金が3万円以下だった場合は全額保証できます。
――ネットでも買い取りや中古端末の販売をされているのでしょうか。
中谷氏
やっています。ただし、ネットでの買い取りと言っても、各店舗に問い合わせて送っていただく、という形式になります。通販に関しても、各店舗の在庫をWebに掲載しているので、そちらから注文していただく形式です。
――店頭と通販だとどちらが多いでしょうか。
中谷氏
やはり店頭ですね。端末の状態を実際に見ることができるので。やはり通販ですと、担当者が端末の状態を記載していますが、そうした記述と、お客さまの捉え方との食い違いがまったくないわけではありません。やはり実物を見て買われる方が多いです。
――未使用品といったものもあるのでしょうか。
中谷氏
あります。キャリア各社の割引キャンペーンなどで安く販売されていた機種を、そのまま新品同然で持ち込まれる方はいらっしゃいます。
――端末の「売り時」ってあるのでしょうか。
中谷氏
人気があるのは、1年ほど前に登場した機種ですね。
――たとえばキャリアのサービスに関連するところで人気に差が出たりするのでしょうか。
中谷氏
そうですね。LTE対応といった機能があれば人気になります。auでは、WiMAX対応のGALAXY(GALAXY S II WiMAX、2012年1月発売)がまだまだ売れていたりします。やはり独自の機能があると人気がありますね。
――いま店頭に在庫が多いのはどのくらいの世代なのでしょうか。
中谷氏
2013年冬あたりに登場した機種はキャリアのキャンペーンもあって、数が多く出回っているので、在庫も多い傾向があります。2013年夏モデルの在庫は少なくなっていますが、その世代からこれから買い換えをされる方もいて、そこから中古市場に端末が登場するという流れもあります。
――本日はありがとうございました。
※後編では実際に中古スマホを購入し、MVNOのデータ専用SIMカードを装着して利用するレビューをお届けします。