【WIRELESS JAPAN 2010】
ワンセグで避難/キャリアフリーで安否確認、KDDIの災害対策


 KDDIブースでは、災害時にキャリアをまたいだ通信を実現する「災害時誘導型キャリアフリー通信」を参考出品した。

 「災害時誘導型キャリアフリー通信」として展示されたデモは、ワンセグを利用したものと他社携帯電話を利用したものの2タイプが披露された。

 ワンセグを活用した誘導システムは、災害時に携帯電話基地局の倒壊などによってその場で通信圏外となってしまった場合に、通信可能エリアの情報や避難情報などをワンセグを利用して配信するというもの。

 たとえば地震が発生した場合、ワンセグのデータ放送で地震情報が配信される。GPSが利用可能であればGPS位置情報を通知し、GPSが利用できない場合は選択式でユーザーの現在地を指定すると、ワンセグのデータ放送を利用して最寄りの通信可能エリアと地震避難場所が送信される。担当者によると、一般的に携帯電話の基地局よりも、放送用設備の方が倒壊などに強いとされており、災害時のワンセグ利用を考えたという。

 他社の携帯電話を利用したシステムは、たとえば災害などによってある携帯電話事業者の携帯電話が使えなくなった場合に、接続可能な他事業者の携帯電話に協力を申し出て、安否情報を送信できるというもの。専用アプリでメールタイトルや宛先、メッセージなどを入力し、接続可能な他社携帯電話宛に赤外線やBluetoothでデータを送信する。中継した携帯電話側にはメールの履歴は残らず、メールを受信した安否情報を受けた人にも、中継した携帯電話のメールアドレスは表示されない。

 携帯電話事業者各社は、災害用伝言板サービスなどで相互連携を図っている。「災害時誘導型キャリアフリー通信」は、こうした災害時の取り組みを加速させるもので、メールの中継送信などは他社が協力しなけらば実現しない仕組みとなっている。担当者によれば、電気通信事業者協会(TCA)などを通じて関係各所に働きかけているところだという。商用化および商用化時期については未定。


 



(津田 啓夢)

2010/7/15/ 14:16