MWC Barcelona 2023
ディスプレイを巻き取る“ローラブルスマホ”のお披露目、レノボのデモを見てきた
2023年2月27日 16:12
レノボは、2月27日(現地時間)に開幕したMWC Barcelonaに合わせ、ローラブル(巻取り式)スマートフォンの実機でデモを行った。また、1月のCESで発表されたモトローラの「ThinkPhone by motorola」もMWCに出展している。
ローラブルスマートフォンも、モトローラブランドの端末。同コンセプトモデルは、22年10月に開催された「Lenovo Tech World 2022」で公開されたもの。同イベントはオンライン開催だったため、実機が一般向けにお披露目されたのは初となる。
ローラブルスマートフォンは、ディスプレイを背面側に巻き取る形で、縦の長さが伸縮するのが特徴となる。フィーチャーフォン時代にあったスライド式の端末を、スマートフォンに置き換えたようなイメージだ。レノボによると、メインディスプレイの画面サイズは5インチから6.5インチまで“伸びる”という。ディスプレイはガラスの代わりにプラスチックを用いた有機EL。コンセプトモデルのため、耐久性などは考慮されていないという。
ディスプレイの巻き取りには、モーターが使われている。側面の電源ボタンをダブルクリックすると、自動で画面が伸び縮みする仕組みだ。実際には、6.5インチのディスプレイの下部を背面側に巻き取っているが、正面からだと、あたかもディスプレイが伸縮しているかのように見える。現時点では、手動での巻き取りには対応していないという。
ディスプレイがもっとも小さいときには、余った部分を背面側に巻き取っている形になる。ユーザーインターフェイスの工夫としておもしろいのは、この巻き取った側の“余り”を、サブディスプレイ的に活用できることだ。背面側には一般的に、インカメラより画質の高いメインカメラが搭載されている。巻き取った背面部分のディスプレイを活用することで、メインカメラでの自撮りができるという。コンセプトモデルながら、こうしたソフトウェアはすでに実装されていた。
サイズが変わっていくと、アプリが自動的にユーザーインターフェイスを切り替えることもできる。例えばYouTubeで本体を縦位置にしている場合、伸びていくに従い、自動で画面の下の方が表示されていく。また、横位置で動画を再生している際に伸縮させると、アスペクト比に合わせて自動的に動画が全画面になる。RAZRのような縦折りのフォルダブル端末とは異なり、サイズやアスペクト比を1つのディスプレイで可変できるのは、ローラブル仕様のメリットだ。
また、同じローラブルディスプレイの技術を用いたWindows PCも展示されていた。こちらは、ディスプレイサイズが12.7インチから15.3インチの間で変動する。スマートフォンと同様、ディスプレイは縦方向に伸縮する仕組み。端末のサイズや搭載されているOS、キーボードの有無は異なるが、コンセプトはスマートフォンに近いと言えそうだ。
スマートフォンでは、CESで発表したThinkPhoneもあらためて公開された。同モデルは、ビジネスマン向けのThinkPadブランドを冠するスマートフォンだが、端末を開発したのはモトローラ。ThinkPadの象徴で“赤ポチ”とも呼ばれる赤いトラックポイントをモチーフにしたサイドキーを備え、あらかじめ指定したアプリやPC連携機能の「Ready For」を呼び出すことが可能。ThinkPadと連携し、PC側からスマートフォンを操作したり、通知をPC側に表示したりといったことが行える。
また、スマートフォン側のカメラをPCのカメラとして使用する機能や、ファイルをドラッグ&ドロップで移動させる機能などにも対応。Androidスマートフォンは、Windowsの「Windowsにリンク」で一部機能を連携させることが可能だが、それ以上に踏み込んだカスタマイズを行っている。端末本体に、「ThinkPad X1 Carbon」シリーズをほうふつとさせる、カーボン調のデザインを施しているのもThinkPadならではだ。