【Mobile World Congress 2017】
MWCでやけに増えていた防水スマホの展示。可能な限りチェックしてみた
2017年3月3日 19:37
Mobile World Congress(MWC)には世界中から、さまざまな規模のメーカーが出展する。サムスンやファーウェイ、ソニーといった大手メーカーが集う「ホール3」は、1つでちょっとした体育館くらいの広さのブースが立ち並ぶが、ホール5~8になると中・小規模のブースばかりで、正直言って筆者などはまったく知らないようなメーカーが山ほど出展している。
そうしたホール5~8のブースでもスマートフォンを展示するメーカーは少なくないが、ブースを巡ってみると、今年はやけに防水端末が増えたと感じられた。
数年前まで、防水というと日本メーカーのお家芸で、日本以外で防水ケータイに取り組んでいるメーカーなど稀だった。しかし昨年、スマホ界のトップ2とも言えるGalaxy S7 edgeとiPhone 7が防水対応として揃ったことで、日本以外でも防水スマホのトレンドが形成されつつある。MWCに出展する中小規模のスマホメーカーにも、そのトレンドが及んでいるようだ。
そこでここでは、ホール5~8で見つけた、あまり知られていないメーカーの防水スマホや関連技術を簡単に紹介していく。なお、LG G6やXperiaなど、発表会が開催された防水モデルは、別記事を参照いただきたい。
実はいろんな端末に使われてる撥水ナノコーティング
いきなり端末の話ではないが、防水スマホ関連で、MWCには撥水ナノコーティングを提供するイギリスの企業、P2iも出展している。P2iはファーウェイやレノボ、プラントロニクスといった有名企業の製品にも技術を供給しているとのことで、撥水・簡易防水としてかなり手堅い技術となりつつある。
しかし、ここで提供されている撥水ナノコーティングは、「筐体内に水が入り込んでも基板の腐食を防ぎ壊れにくくする」というもので、筐体を密閉するタイプの防水仕様とは根本的に発想が異なっている。端子部やカメラセンサなどはコーティングできないので、完全な防水とも言えない。ちょっとした結露や水滴でも壊れにくくする、といったものだ。
建設重機で有名なキャタピラー社の「CAT」ブランドスマホの最新モデル「CAT S60」も展示されていた。CATブランドのケータイ/スマホは2013年ごろから展示されているので、MWCでのタフネスケータイとしては歴史のある部類だ。しかし最新モデルのS60はFLIR社と提携して熱赤外線カメラを搭載するという、ナゾの方向性へ進化を遂げている。価格は629.99ドルと、コンシューマーも手が出る価格で、熱赤外線カメラ入りと考えると安いのだが……。
フランスのCROSSCALLは「TREKKER」シリーズを展示。いろいろなモデルがあるが、例えば5インチでクアルコムのオクタコアチップセットを採用する「TREKKER X3」は、気温や気圧などの環境センサを搭載している。G'zOneやTORQUEを彷彿とさせる、アウトドアアクティビティ向け機能だ。同社はスマホだけでなく、タフネス仕様のフィーチャーフォンもラインナップしている。
スマホではないものの、アメリカのMAXCOMはいくつかの防水ケータイを展示していたが、その中のひとつは水に「浮く」ケータイだった。浮くケータイというと、筆者には2002年にドコモ向けに発売された日本無線製の「R692i」くらいしか思いつかないが、かなり珍しい印象だ。
サモアに本社を置く(でもオフィスは中国深セン)AGMグループの「AGM X1」は、5.5インチフルHDディスプレイ搭載のタフネススマホだ。Snapdragon 617搭載でシステムメモリは3GBと4GBのモデルが用意され、指紋認証センサーやデュアルカメラを搭載している。重さは205g。
近日中にSnapdragon 835を搭載する上位機種のAGM X2シリーズが発表される予定で、予告では最高スペックモデルは8GBメモリを搭載し、「1?99.99ドル」(?は未公表、だいたい10~20万円?)と、かなり強気な価格付けがされている。
中国のE&Lは複数の大きさの防水スマホや防水フィーチャーフォンを展示しているが、最大サイズの「W9」は防水端末としてはかなり大きい、6インチディスプレイを搭載している。
Skyworthの「Slim Rugged X55」は、それほどゴテゴテしないデザインの防水スマホだ。Skyworthのブースでは、MWCの防水スマホでは珍しい、分解展示も行なわれていた。
myPhoneのHAMMERはタフネススマホ/ケータイのシリーズで、最上位モデルの「HAMMER AXE PRO」は、5.5インチフルHDディスプレイにMediaTekのHelio P10を搭載し、最大2.0GHzのオクタコア、4GBのシステムメモリ、5000mAhの内蔵バッテリと豪華なスペックだが、268gとけっこうなヘビー級となっている。
中国のBlackviewはブース前面に金魚も泳いでいる大きな水槽を置き、スマホを水没させての展示もしていた。タフネススマホは3機種ほどラインナップしているが、どれもタフネスっぽいデザインを採用している。
DOOGEEは5インチの防水モデル「T5」シリーズと4.7インチでレザー調デザインの「T3」などを展示していた。背面パネルと側面パネルはネジ留めを外して交換することができる。
ACCENTの「TANK」は防水タフネススマホ/ケータイのシリーズで。A40は4インチワイドVGAディスプレイ搭載のスマホとなる。同名で4.5インチや5.0インチのモデルもある。
中国のPHONEMAXの「R1/Rocky 1」はカラフルなカラーバリエーションのあるタフネススマホだ。しかしこれ、先に紹介したE&LのW9とまったく同じデザインなので、どちらかがODM元なのか、あるいはどこか同じODMから供給されているものと思われる。さらに別会社のロゴ(ulefone)の入った同一デザインのものも展示されていた。
中国のTianlong Centuryの「uphone」も防水ケータイシリーズだ。展示ブースでは「uphone」の表示以外はすべて中国語で、英語が公用語なMWCでは、小規模ブース群のホールでもさすがに珍しいパターン。以前はこのようなターゲットを絞ったり商談前提と思われるブースを取材しようとすると、「ノーフォト! ノーフォト!」とカメラを遮られたりしたが、今回はそれが減っただけ、時代はだいぶオープンになったと感じるところではある。
こちらはイギリスのRugGearの最新モデルRG740。タブレット製品もあったが、そちらは写真を撮ろうとしたら断わられてしまった。
こちら、いきなりお馴染みの企業、パナソニックのFZ-N1。バーコードリーダー搭載の、ガチな業務用モデルである。バーコードリーダー無しモデルやWindowsモデルなどもラインナップ。
京セラは商談スペースを確保しているが、ブースは出展していなかった。しかしMWC会期初日に別会場で行なわれていた「Mobile Focus」(MWCとは直接関係のない併催イベント)には、ブースを出展していた。