【Mobile World Congress 2010】
Android端末の投入も宣言――次世代通信を語るKDDI小野寺氏


KDDI 代表取締役兼会長、小野寺正氏

 「Mobile World Congress 2010」の2日目には、「Broadening the Ecosystem through Mobile Broadband(邦題:モバイルブロードバンドで広がるエコシステム)」と題したキーノートセッションが開かれ、日本からはKDDI 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が登壇した。

 小野寺氏は、まず日本でのデータトラフィックの伸びを説明。「3.5G端末(WINシリーズ)を導入してデータ通信量がものすごい勢いで伸びている。3年間で2倍ほどになった」といい、ネットワークのキャパシティが、最も重要なテーマであることを語った。その背景として、日本のケータイがスマートフォンの機能を兼ね備えていることを指摘。小野寺氏は次のように話す。

 「日本ではフィーチャーフォン(一般的なケータイ)がもっとも重要。我々のケータイはEメールとWEBブラウジング機能があり、多くの顧客はそれで十分だと認識している。そのため、スマートフォンはビジネスユーザー向けだと思われており、メジャーになっていない」

データトラフィックの伸びを説明日本のモバイルで定着したサービス
Android端末の投入を明らかにした

 ただ、日本でも「iPhoneは少し違う」(小野寺氏)とし、今後、Android端末も一般的になっていく可能性があることを示唆する。さらに小野寺氏は「このような顧客に向けたスマートフォンを、我々も開発している」と続け、日本製のAndroid端末を投入する意向を明らかにした。


次世代通信に向けたロードマップ

 次に、小野寺氏はKDDIのモバイルブロードバンドの取り組みを説明。2012年にLTEを導入する背景を、「ハイスピードなことも大切だが、それ以上にキャパシティとコストが重要」(小野寺氏)と語った。小野寺氏は「ノートPCからのインターネットアクセスの主流はWi-Fiだが、WiMAXが重要になってくる」とし、周波数や帯域の制約から、LTEとWiMAXが共存するとの見方も示している。


夜間のデータトラフィックが増加

 また、日本では「データトラフィックのピークタイムは深夜で、家の中での利用が中心」(小野寺氏)で、固定と携帯の組み合わせたFMC(固定と携帯を融合させたサービス)が鍵になるという。

 小野寺氏は「FTTHやCATVとのコンビネーションが、家のネットワークでは重要になってくる」とし、KDDIが目指すFMCの姿をスライドで披露。その上で、KDDIは「“For now, Right here, Only you”のアンビエント社会」(小野寺氏)を目指しているとした。

FMCの概念を示すスライドKDDIの目指すアンビエント社会
キーマンと対談する小野寺氏

 キーノートスピーチのあと、小野寺氏や、チャイナユニコムの社長であるLu Yimin氏、エリクソンの社長であるHans Vestberg氏、ファーウェイのCSOを務めるGuo Ping氏らが参加するパネルディスカッションが開かれた。

 この中で、モバイルの次のステップを問われた小野寺氏は、「AmazonのKindle(電子ブック端末)のように、ネットワークとコンテンツをバンドルするのは、アプローチの1つ」と語っている。

 

(石野 純也)

2010/2/17/ 14:19