【Mobile Asia Congress 2010】
ZTE、NECなどが端末や基地局などを展示


Mobile Asia Congressの展示場

 不況の影響を受け端末やサービスの展示が少なかった2009年の「Mobile Asia Congress」だが、今年は打って変わって出展企業のブースが広がっている。

スマートフォンやタブレットの展示に積極的なZTE

 なかでも展示に力を入れていたのが、日本でもソフトバンクモバイルなどに端末を納入しているZTEだ。同社のブースには販売中のAndroidスマートフォンのほか、Androidのタブレットも展示されていた。来場者の注目を集めていたのが、「V9」と呼ばれる7インチ液晶を搭載したタブレット端末。「3GやWi-Fiに対応し、電話もできる。重さはiPadの半分で軽い」(ZTEの説明員)という特徴を売りにしている。背面には3メガピクセルのカメラを搭載し、OSにはAndroid 2.1を採用した。会場の説明員によると「今は2.1だが、来年早々にアップデートする」とのこと。マルチタッチはサポートしない。もう1つのタブレットが「AD8070」で、「Z-Pad」という型番を持つ。こちらもディスプレイは7インチ。OSにはAndroid 2.1を採用し、前面に1.3メガピクセルカメラを搭載する。V9との最大の違いは「『Rock』と呼ばれる中国製のチップを採用しており、500MHzでローエンドだがその分安い」(説明員)ところにあるという。なお、Z-Padは現在「オペレーターと交渉中」(説明員)とし、市場への投入時期は未定だという。ただし、こちらも来年にはAndroid 2.2へアップデートされる。

Android 2.1を採用したハイエンドタブレットの「V9」
「Z-Pad」は中国製のチップセットを採用
スリムなスマートフォンの「V880」。独自UIも搭載

 スマートフォンは、2機種を用意。Android 2.2を採用した「V880」と、2月にスペインで開催された「Mobile World Congress 2010」でも出展していた「X850/Racer」の実機が置かれている。V880は「スリムでシンプルなスマートフォン」という位置づけ。ZTEが開発した「My Favor」と呼ばれるUIを内蔵し、ここにはMP3プレーヤーやSNS用のソフトも含まれる。一方のRacerのOSもAndroid 2.1となり、320万画素カメラやHD撮影機能などに対応する。このほか、ZTEのブースには、フィーチャーフォンやモデムも多数展示されていた。フィーチャーフォンの1つとして、ソフトバンクが販売する「かんたん携帯 840Z」もあり、ZTEの内部型番である「E550」という名称で紹介されていた。

バルセロナの「Mobile World Congress 2010」でも出展されていた「Racer」「かんたん携帯 840Z」は「E550」として展示
タブレットの説明を受ける小野寺氏

 17日には、講演を終えたKDDIの代表取締役兼会長、小野寺正氏が同社のブースを訪れ、タブレットやスマートフォン、基地局などの説明を受けいていた。タブレットを紹介する際には、担当者が「EV-DOも使えます」と積極的にアピール。小野寺氏も「EV-DOも使えるのか」と驚きの声をあげていた。

NECはAndroidタブレットや3D液晶を紹介

「LifeTouch」のグローバル版を参考出展

 日本メーカーは、NEC1社のみがブースを構えていた。同社はLTEのソリューションや、フェムトセル、Androidタブレットのほか、3D液晶のデモを展示。来場者の関心を集めていた。Androidのタブレットは日本で「LifeTouch」と呼ばれているもののグローバル版。参考出品だが、スペックなども紹介されていた。この機種には、「3Gモジュールを内蔵することも可能」(NEC説明員)だとし、オペレーターに納入する際には各社のネットワークに対応できるようだ。Androidのバージョンは2.1ながらも、「Flashには独自に対応した」(説明員)という。

 3D液晶は「2Dと3Dを混在して表示できる」(説明員)のが、最大の特徴。技術的には、「1つの画素を2倍にすることで、解像度を下げずに3D化できる」(説明員)という、「HDDP」を採用している。このほか、「ソフトバンクで商用展開しており、フランスのSFRでも使われている」(説明員)というフェムトセルの基地局を出展。「世界的にフェムトセルがブームになりつつあり、分かっているだけでもすでに数十のオペレーターがオペレーションを開始している。ソフトバンクやSFR以外にも、数社に納入している」(説明員)とし、日本での実績が海外での評価につながっているようだ。

「HDDP方式」を採用した3D対応液晶
フェムトセルの基地局は機能別に複数種類を用意する

チャイナモバイルや新興メーカーのG'FIVEも出展

 主に中国本土で事業を展開するキャリアのチャイナモバイルもブースを構えていた。チャイナモバイルは、AndroidやSymbian、Windows Mobileといったマルチプラットフォームに展開するアプリケーションストアを展示。同社がラインナップとして揃える「OPhone」の実機も置かれていた。

サムスンの「GALAXY S」がベースと思われるOPhone端末。OSはAndroidを独自にカスタマイズしたものチャイナモバイルはアプリケーションの展示に力を入れる

 また、世界シェア10位で現在急成長中のG'FIVEが端末を展示していた。G'FIVEは香港を拠点とする新興メーカーで、「工場は中国の深センにあり、台湾のメディアテックのチップを使って端末を製造している」(G'FIVE説明員)という。メディアテックのプラットフォームを利用することで、端末コストを下げ、新興国や途上国を中心に販売を積極化している。特に「インドではトップ3メーカーに入る」(説明員)ほどで、エジプトやサウジアラビアなどでも普及しているそうだ。スマートフォンにも取り組んでおり、来年にはAndroid端末を市場に投入する。

G'FIVEの端末。このメーカーは毎“週”新機種を発売している来年発売を予定するAndroid端末はモックアップを展示


(石野 純也)

2010/11/18/ 16:33