【ITU TELECOM WORLD 2009】
ITU主催の国際通信イベント、スイスで開催
10月5日~9日にかけて、スイス・ジュネーブにて「ITU TELECOM WORLD 2009」が開催されている。国連の機関である国際電気通信連合(ITU)が開催する国際的な通信関連の展示・フォーラムイベント。本誌では携帯電話関連の話題を中心にイベントの模様をお届けする。
■NTTドコモ
NTTグループのひとつとしてブースを設置 |
NTTドコモはNTTグループのなかに出展する形となっていた。夏商戦モデルの展示もあったが、来場者の多くは日本で展開されているサービスの紹介に注目していた。
「おサイフケータイ」は、NTTドコモがNFCフォーラムの幹事メンバーを務めていることもあり、NFCとの互換性を強調。NFCとFeliCaとの互換性を持たせることで、世界でも日本のおサイフケータイを使えるようにしたいという。海外では、NFCは決済手段としてしか認識されていないことがほとんどのため「クーポンや会員証といったソリューションと組み合わせるメリットを紹介している」(説明員)という。実際、欧州の来場者が熱心に説明を聞いていた。
日本で開催されているCEATECで展示されている「TOUCH WOOD」のデザインモックや、LGエレクトロニクス製と富士通製のLTEデータ通信端末、「ソーラー充電ケータイ」、FeliCaを用いたウェルネスサポートも出品されていた。
おサイフケータイは決済とともに電子クーポンなどのメリットを解説 |
また、海外ならでは展示といえばローミングにおけるLBS(Location-Based Servise)を紹介するコーナーが設置されていた。
このほか同社では、GPSに加えて基地局からの情報で測位する「A-GPS(Assisted GPS)」やGlobal Open i-areaを紹介。A-GPSはGPSのみの測位が約1分かかるのに対し、A-GPSでは10秒程度で測位できるメリットを開設していた。Global Open i-areaはNTTドコモと業務提携関係にある韓国・KTとはお互いに基地局の位置情報を連携できることから、日本のユーザーが韓国に行っても、基地局の場所からiエリアの情報を引き出せるようになっているという。
ほかにもWIRELESS JAPANされていた、HT-03Aを使ったAR体験として「直感検索・ナビ」や、星空を観られるアプリもセットを使って紹介していた。
iチャネルの紹介では「ひつじのしつじ」が英語を喋っていた | 骨伝導レシーバマイク「サウンドリーフプラス」も海外では珍しいとあって、多くの関心を集めていた |
HT-03Aの星空を検索できるアプリも紹介されていた | 「直感検索・ナビ」も展示。ワイヤレスジャパン同様のデモが行われていた |
■KDDI
KDDIの社名と共にデータセンター「TELEHOUSE」を表記 |
KDDIは、海外で認知度の高いデータセンター「TELEHOUSE」を中心したブースを展開。「KDDIよりもTELEHOUSEのほうが海外では名が知れている」(説明員)ということもあり、看板や配布物にはKDDIの社名と共に「TELEHOUSE」の名称を入れてアピールを行っている。
携帯電話関連では、iidaの草間彌生モデルである「私の犬のリンリン」をはじめ、G9やPLYなどを展示。また、夏モデルとなる「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」やソーラー充電の「SH002」の展示を行っていた。
サービスとしては「au Smart Sport」や「LISMO」を紹介。新規受付が停止となる「au BOX」も展示されており、海外では珍しい携帯電話対応のセットトップボックスということで来場者たちの関心を集めていた。
実空間透視ケータイのデモでは4キロ先にレマン湖を表示。デモ用に撮影してきたのだという |
また、UQコミュニケーションズとしてモバイルWiMAXの概要についても展示を行っていた。国際的展示会と言うこともあり、WiMAXの世界的展開についての説明を実施。「すでにアメリカ、ロシア、マレーシア、韓国などでサービスを行っており、いずれ国際ローミングができるようにしていきたい」(説明員)とのことだった。日本では2.5GHz帯が使われているが、アメリカ、ロシアも同じ周波数帯となっているため、ローミングの技術的な課題は少ないという。「あとは運営面をどうするかの詰めの段階」(説明員)なのだという。
技術的なパネル展示では「Multi-site MIMO」という技術が紹介されていた。MIMOの発展型として位置づけられ、これまでセルエッジで干渉波となっていたものを活用することで速度を上げるというものだ。モバイルWiMAXやLTEなどでの導入を進めているという。
WIRELSS JAPANなどで展示していた「実空間透視ケータイ」は、3Dマップに埋め込んだ写真をレマン湖や展示会場周辺で撮影されたものになっていた。
KDDIの世界に広がるネットワーク網を紹介 | ブースの目立つところに「私の犬のリンリン」を展示 |
新規受付が停止となるau BOXに関心を寄せる来場者が多かった | UQ WiMAXブースではWiMAXの世界における普及状況なども聞くことができる |
■チャイナモバイル
Dopod A6188の外観はNTTドコモのHT-03Aとまったく一緒だ |
会場内で存在感を放っていたのが中国移動(チャイナモバイル)。話題のOPhoneや、ソフトバンクモバイルやボーダフォン、ベライゾンが参加するJIL(Joint Innvation Lab)による「モバイルウィジェット」が公開されていた。
OPhoneブースには、すでに発売となっているHTC製「Dopod A6188」を筆頭に、レノボ「01e」、デル「Phototype」、LGエレクトロニクス「GW880(TD)」が触れる状態で展示。さらに、Hisense「TM99」とフィリップス「V900」がケースのなかでおさめられ参考出展されていた。
レノボ製やデル製は「来月には発売する」(説明員)というが、LG製については「年内には発売したい」と語る。HTC製やレノボ、デルはいずれもGSM対応なのだが、LG製はTD-SCDMA対応であるため、販売が遅れているようだ。
OPhoneは、チャイナモバイルがAndroidをベースとして開発したプラットフォームで、ほかにもモトローラやサムスン、ZTEなどが端末を開発する予定だ。Androidをベースとしているため、ミドルウェアやアプリケーション開発者が参入しやすい状況になっている。実際、OPhoneではアプリケーションマーケットのメニューがあり、ここからアプリを追加できるようになっている。
モバイルウィジェットは、OPhone、シンビアン、Windows Mobileの3つのOSで動作していた。モバイルウィジェットはプラットフォームに依存せず、多くの端末で稼働するのが特徴だとされている。
「4つのキャリアで10億の契約者がいる。開発者はすべての国でウィジェットを提供できるようになる」(説明員)という。チャイナモバイルの展示によれば、ボーダフォンが「Superstore」、ベライゾンが「Vcast APP Store」、ソフトバンクモバイルが「SBM Store」という名称でモバイルウィジェット配信サービスを行うようだ。
(石川 温)
2009/10/7/ 14:54