【IFA2012】
スマホの新UIを発表したファーウェイ、Ascendシリーズ新機種も


 中国メーカーのファーウェイはプレスカンファレンスを開催。新たに開発したハイエンドAndroid向けの「Emotion UI」や、ローエンド~ミドルレンジに相当するAscendシリーズのスマートフォン3機種を発表した。

ファーウェイで欧州地区を担当する、VP Device Western EuropeのLars-Christian Weisswange氏。会社の概要や、製品ラインナップを発表したUIのデザインを担当した、Global UI Design DirectorのDennis POON氏。中国・深センを拠点に活動

ハイエンド機種向けの新たなUI

 「Emotion UI」の発表に先がけ、同社のグローバルモデルに搭載されるUI(ユーザーインターフェイス)を開発したDennis POON氏がソフトウェアのデザインに対する考え方を紹介した。同氏によると、ファーウェイでは「ユーザーをアシストするためのデザインに考え方を大きく変えた」という。具体的には、まず人間の行動を「Discovery(探求)」「Enjoy(享受)」「Share(共有)」の3つに分解。試しに入ってみたレストランで出された料理を食べて、美味しければSNSへ写真をアップする、というような一連のサイクルをスマートフォンでサポートしていく。こうした要素を、クラウド技術やカスタマイズ性の高さ、操作性のよさなどでバックアップするのが、ファーウェイの目指すUIだ。また、同社はスピード重視の方針も掲げている。Emotion UIに関しては「2週間に1回ベータ版を出し、1カ月に1回、製品版を提供する」(同氏)という。

人間の行動を3つに分類ファーウェイの持つ技術でユーザーの行動を支援する

 このようなコンセプトに基づいて開発された「Emotion UI」は、「Uni Home」が最大の特徴だ。Androidの作法ともいえる「ホーム画面」と「アプリ一覧」を廃し、画面にダウンロードしたアプリがすべて並ぶ仕組みを取り入れている。POON氏は「ホーム画面とアプリ一覧が分かれているのは、ユーザーが本当に混乱するところ」と、Uni Homeを採用した背景を語る。

 一見するとiOSに近いが、Androidの特徴であるウィジェットは残されている。また、ビジネス用、女性用、節電用などの壁紙をプリインストール。設定などを丸ごと切り替えるプロファイルも搭載し、カスタマイズ性を高めている。「フィーチャーフォンから乗り換えたユーザーは、ジェスチャーやロングタップ(画面の長押し)も分からない」(同氏)といい、シンプルなインフォメーションを表示させるヘルプ機能も搭載した。

ホーム画面とアプリ一覧という概念を取り払った「Uni Home」が特徴画面遷移時のエフェクトも独自に開発
パターンを変更することもできるウィジェット配置時の画面もカスタマイズされている
設定画面上部にタブを用意し、パーソナル設定やアプリへのアクセスがスムーズ設定キーを押すと現れるメニューも、アイコンでシンプルにまとめられている

 「Emotion UI」は、8月30日からベータ版として、同社製の「Ascend P1」や「Ascend D1」などで利用でき、ユーザーのフィードバックを得たうえで、2012年第4四半期に提供が始まる。ただし、「すべてのデバイスをカバーするわけではない」(同氏)。同じプレスカンファレンスで発表された、エントリー~ミドルレンジの端末には非対応となる。ファーウェイ関係者によると、Emotion Uを快適に動作させるには端末のパフォーマンスも必要となるため、ハイエンドモデルに適用対象を絞ったようだ。

Ascendシリーズの3機種

Ascendシリーズは、4つのラインに分かれる

 新端末は、同社のVice President、Lars-Christian Weisswange氏が特徴を説明した。ファーウェイではAndroidスマートフォンに「Ascend」(アセンド)というブランドをつけ、展開している。NTTドコモから発表された「Ascend HW-01E」という名称も、ここに由来する。

 一方で海外ではローエンド~ハイエンドまで幅広い機種を投入しているため、Ascendをさらに4つのアルファベットでカテゴリー分けしている。ローエンドのものから順に「Y」「G」「P」「D」となり、プレスカンファレンスではYシリーズやGシリーズのスマートフォンが新たに公開された。

 若年層向けで、戦略的な価格を特徴としているのが「Ascend Y201 Pro」だ。IFAが開催されたドイツでは、キャリアとの契約なしで「129ユーロ(1万2700円)程度になる」(同氏)という。800MHz駆動のCPUを搭載し、OSはAndroid 4.0となる。ディスプレイが3.5インチと小さく、手の中に納まるサイズ感を実現。ドイツ市場で10月の発売を予定している。

手のひらサイズの「Ascend Y201 Pro」。価格も非常に安く、普及を目指す端末だ

 「Ascend Y201 Pro」よりスペックが高く、ミドルレンジに相当する機種が、「Ascend G330」だ。ディスプレイは4.0インチで、OSにはAndroid 4.0を採用。CPUは1GHz駆動のデュアルコアで、5メガピクセルカメラを搭載する。こちらの機種は11月発売で、価格は契約なしで「199ユーロ(1万9500円)程度になる」(同氏)見込みだ。Gシリーズには「Ascend G600」という機種もラインナップされている。CPUは1.2GHz駆動のデュアルコアで、10.5mmと薄型なのも特徴。4.5インチのディスプレイを搭載し、発売は12月を予定する。

ミドルレンジの「Ascend G330」。こちらの実機は、プレスカンファレンスで撮影できなかった1.2GHzのデュアルコアCPUを搭載した「Ascend G600」

 このほか、プレスカンファレンスでは発売済みの「Ascend P1」や、2月に開催されたMobile World Congressで披露されたクアッドコアモデルの「Ascend D1 Quad XL」が紹介された。また、同社の7インチタブレット「Media Pad」を軽量化した「MediaPad Lite」も、新たに発表されている。

自社製のクアッドコアCPUを搭載する「Ascend D1 Quad XL」も、ついに発売される7インチで約380gとなる「MediaPad Lite」




(石野 純也)

2012/8/31 12:03