世界最大のビール祭りでもスマホは手放せない

 KDDI総研 沖賢太郎
KDDI総研 調査1部 海外市場・政策G。海外のモバイルサービス動向を調査・分析。奇しくも9月にフィンランドへ出張することになった。携帯投げ大会が9月にずれ込んだ場合は「オリジナル」部門で参加し入賞を目指す。


Oktoberfest会場内の様子

 毎年9月に入ると、ドイツのバイエルン州ミュンヘンの人々はそわそわし始める(かどうかは分からないが、きっとそうに違いない)。9月半ばから10月上旬にわたって開催される世界最大のビール祭り「Oktoberfest」(オクトーバー・フェスト)がその理由だ。

 日本各地でも小規模に開催されるOktoberfestだが、ミュンヘンのそれは本家本元であり、1810年以来約200年の歴史を持つ伝統行事である。本家Oktoberfestは規模もケタ違いだ。東京ドーム約9個分の敷地で16日間の大宴会が繰り広げられる。そのスケールは以下の通りである。

【数字で見るOktoberfest】
・来場者数:690万人(2011年)
 (85%がドイツ人、残り15%が諸外国からの参加者)
・消費されたビール:750万リットル(2011年)
・調理された牛の数:171頭(2011年)
・消費されたソーセージ:23.8万本(2010年)
(出所:Discover Munich等)

参加者をサポートするOktoberfestアプリ

 Oktoberfestの会場では14の巨大テントが設置され、それらをドイツの6つの有名醸造会社が巨大ビアホールとして運営する。

巨大テント内の様子。この規模のテントが14個設置される提供されるビールの多くは1リットルジョッキ

 「ビアホールが14もあったらどこに入ったらよいか分からない」。そんな声に応えてか、スマートフォン向けのOktoberfestアプリが存在する。食べログ形式で利用者が各テントを5段階採点しているものであり、利用者によるレビュー等も見られる。

 ただし、大量のビールを飲んで気分が良くなった酔っ払い達による採点のせいか、いずれのテントも4点以上と高得点。このため、点数を基にしたテント選びは少々難しいかもしれない。

アプリ「Oktoberfest」アプリから各テントを閲覧(「Closed」となっているのは開催期間後のため)

乾杯、そして「つながり」へ

 どのテント内にもステージが設けられている。そこにスタンバイするバンドが色々な音楽で場を盛り上げる。特に、乾杯の曲「Ein Prosit」(アイン プロージット)が始まると、前後左右のテーブルの見知らぬ人同士も勢いよくジョッキをぶつけ合い、頑丈なジョッキが割れそうになるくらいに繰り返す。ホール内が一つになったことによる高揚感と解放感、そこにビールによるほろ酔いが加わり、場は何ともオープンな雰囲気につつまれる。

 すると、隣り合う他人同士でも自然に会話が始まる。互いにスマートフォンを取り出しその場でFacebookでつながるという光景はもはや珍しくない。たまたま海外のビール祭りで隣り合わせた現地の人と一生の友達に、なんていうことも十分あり得る。

乾杯!!隣合わせたドイツ人とFacebookでつながる

飲んだら忘れ物に注意!

 非日常的な解放感に浸ると当然いろいろな注意も緩んでくる。そのため、落し物の数もハンパではない。報道によるとOktoberfest 2011での落し物の数は4750にも上る。携帯電話をはじめ、どれも我々観光者が無くすと困る物ばかりである。来年のOktoberfest 2013にご参加予定のみなさまもお気をつけください。

【Oktoberfest 2011での落し物】
・落し物総数:4,750
・携帯電話:350
・パスポート:1,045
・財布:520
・入れ歯:1
(出所:Daily Edge 2011.10.5)

2012/11/27 09:00